# 第6話 ## 「王女様、家出してくる」
# 第6話
## 「王女様、家出してくる」
「乾杯!」
「乾杯ー!」
「乾杯です!」
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宿屋の食堂。
修司たちはゴブリンキング討伐の祝いをしていた。
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ミーナは肉の山に埋もれていた。
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「幸せ……」
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「何皿目だ?」
修司が聞く。
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「十五皿目!」
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「増えてる!」
エルナが叫ぶ。
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その時だった。
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バァン!!
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宿屋の窓が開いた。
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全員が振り返る。
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そこには。
一人の少女がいた。
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銀色の髪。
青い瞳。
白いドレス。
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どう見ても貴族。
いや。
それ以上だった。
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少女は叫ぶ。
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「お願いです!」
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「?」
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「かくまってください!」
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「は?」
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次の瞬間。
外から大勢の声が聞こえた。
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「探せ!」
「王女殿下を見つけろ!」
「城へお連れしろ!」
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宿屋中が静まり返った。
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修司たちはゆっくり少女を見る。
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少女は気まずそうに笑った。
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「えへへ」
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「王女なの?」
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「はい!」
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「家出?」
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「はい!」
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「即答するな!」
エルナが叫ぶ。
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少女は胸を張った。
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「私はセリア・ルミナス!」
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「ルミナス?」
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「王国第一王女です!」
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沈黙。
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宿屋のおじさんが気絶した。
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「王女ぁぁぁぁ!?」
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大騒ぎだった。
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しかし。
セリアはどこか寂しそうだった。
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「王女って大変なんです」
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「そうなのか?」
修司が聞く。
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「毎日勉強」
「はい」
「毎日会議」
「はい」
「毎日礼儀作法」
「はい」
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ミーナが震える。
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「地獄だ……」
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「地獄じゃないわよ!」
エルナがツッコむ。
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セリアは小さく笑った。
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「でも」
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笑顔が消える。
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「一度だけ自由になりたかったんです」
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修司は少し黙った。
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その顔。
昔の自分と似ていた。
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やりたいことがある。
でも立場や責任でできない。
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そんな顔だった。
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修司は言う。
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「一日だけならいいんじゃないか」
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セリアが目を丸くする。
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「本当に?」
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「ああ」
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「怒られますよ?」
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「その時は一緒に怒られる」
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エルナが頭を抱えた。
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「このおじさん絶対問題を増やすタイプだ……」
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その時だった。
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頭の中に文字が浮かぶ。
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【人望 Lv1獲得】
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「そんなのまであるのか」
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修司は苦笑した。
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その夜。
セリアは初めて屋台の料理を食べた。
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初めて射的をした。
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初めて夜の町を歩いた。
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ずっと笑っていた。
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「楽しい……」
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その笑顔を見て。
修司たちも笑った。
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だが。
平和な時間は長く続かなかった。
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翌朝。
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町の鐘が鳴る。
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ゴォォォォン!!
ゴォォォォン!!
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嫌な音だった。
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兵士たちが走る。
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人々が騒ぐ。
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宿屋の主人が青ざめる。
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「大変だ!」
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「どうした?」
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「北の鉱山が魔物に襲われた!」
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「魔物?」
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「それも大量だ!」
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さらに。
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「王国騎士団が壊滅しかけてる!」
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エルナの顔が変わった。
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セリアも立ち上がる。
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ただの魔物ではない。
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何かが起きている。
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そして。
頭の中に新しい表示が現れた。
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【緊急イベント発生】
『闇の軍勢の前兆』
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修司は静かに息を吐く。
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異世界生活。
仲間。
宿屋。
平和な日常。
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それはまだ始まったばかりだった。
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だが。
本当の冒険もまた。
今、始まろうとしていた。
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## 次回予告
### 第7話
**「騎士団長セシリア登場」**
壊滅寸前の騎士団!
鉱山で暴れる巨大魔物!
そして現れる最強の女騎士――
**セシリア・グランツ。**
「規則です!」
「まず人命優先だろ!」
「規則です!」
真面目すぎる騎士団長加入編、開幕!




