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# 第20話 ## 「黒騎士の正体」

# 第20話


## 「黒騎士の正体」


王城最上階。


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燃え盛る炎。


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崩れ落ちる天井。


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その中心で。


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黒騎士は静かに剣を構えていた。


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国王アルフレッドへ向けて。


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「ここで終わりだ」


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低い声。


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冷たい瞳。


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だが。


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なぜだろう。


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その声には迷いがあった。


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王は玉座の前に立つ。


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逃げない。


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王として。


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父として。


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堂々と。


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「来るなら来い」


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黒騎士の剣が震えた。


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ほんのわずかに。


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その瞬間。


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ドォォォォォン!!


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王の間の壁が吹き飛ぶ。


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「間に合えぇぇぇぇ!!」


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修司だった。


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エルナ。


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ミーナ。


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セシリア。


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ルナ。


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全員が飛び込んでくる。


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「お父様!!」


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セリアの叫び声。


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国王が目を見開く。


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「セリア!?」


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修司は黒騎士の前へ立った。


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「そこまでだ」


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黒騎士が振り返る。


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仮面の奥の瞳。


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その目を見た瞬間。


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修司の胸がざわつく。


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見覚えがある。


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いや。


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見覚えがありすぎた。


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黒騎士は静かに言った。


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「遅かったな」


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修司が眉をひそめる。


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「お前は誰だ」


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沈黙。


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炎が揺れる。


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誰も動かない。


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そして。


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黒騎士は仮面に手をかけた。


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ゆっくり。


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ゆっくり。


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外していく。


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カラン。


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仮面が床へ落ちた。


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全員が息を呑む。


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そこにいた男は。


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坂本修司だった。


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五十歳の修司ではない。


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六十歳ほど。


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傷だらけの顔。


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白髪混じりの髪。


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深い悲しみを宿した瞳。


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だが。


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間違いなく。


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修司だった。


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「嘘……」


エルナが呟く。


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「おじさんが二人……」


ミーナも固まる。


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セシリアも言葉を失う。


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ルナだけは泣いていた。


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知っていたから。


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未来で。


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何度も見た顔だったから。


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未来の修司。


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黒塔の王ではない。


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その配下でもない。


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もう一人の未来。


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絶望に抗い続けた修司。


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未来の勇者だった。


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「どういうことだ……」


現在の修司が聞く。


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未来の修司は苦笑した。


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「説明する時間がない」


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その顔は疲れていた。


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何十年も戦い続けた顔だった。


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「未来が壊れ始めている」


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「未来?」


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「黒塔の王が目覚めた」


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王の間が静まり返る。


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未来の修司は続ける。


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「俺は負けた」


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「仲間も守れなかった」


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「世界も守れなかった」


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その言葉は重かった。


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誰も口を挟めない。


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未来の修司は目を閉じる。


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そして。


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小さく呟いた。


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「エルナを守れなかった」


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エルナが固まる。


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「セシリアも」


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セシリアも黙る。


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「ミーナも」


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ミーナが唇を噛む。


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「誰一人……」


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その瞳から涙が落ちた。


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未来の修司。


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英雄。


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勇者。


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それでも。


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守れなかった。


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だからこそ。


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今ここに来た。


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未来を変えるために。


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その時だった。


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ルナが叫ぶ。


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「後ろです!!」


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全員が振り返る。


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王の間の空間が裂ける。


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バキバキバキッ!!


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空間そのものが割れた。


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その裂け目の向こう。


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漆黒の玉座。


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巨大な黒い塔。


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そして。


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一人の男。


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黒いローブ。


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漆黒の瞳。


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圧倒的な魔力。


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世界そのものを支配するような存在感。


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《黒塔の王》


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未来の坂本修司。


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その姿を見た瞬間。


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現在の修司は


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