# 第17話 ## 「未来を救う旅」
# 第17話
## 「未来を救う旅」
夜。
天剣山の頂。
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仲間たちは眠っていた。
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焚き火の火が小さく揺れている。
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修司だけが起きていた。
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眠れなかった。
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未来の自分。
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黒塔の王。
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世界を滅ぼした男。
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それが自分だと言われて、平気でいられるほど強くはない。
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「……俺は本当に大丈夫なのか」
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小さく呟く。
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誰にも聞こえない声。
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すると。
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「珍しく弱気じゃの」
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後ろから声がした。
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ガイアスだった。
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酒瓶を片手に歩いてくる。
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修司は苦笑する。
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「聞こえてたか」
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「弟子の悩みくらい分かる」
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ガイアスは隣に座った。
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しばらく沈黙。
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焚き火がパチパチと音を立てる。
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やがて。
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修司が口を開いた。
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「師匠」
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「なんじゃ」
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「もし仲間を全部失ったら」
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ガイアスは答えない。
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修司は続ける。
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「俺は未来の俺みたいになるのかな」
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風が吹く。
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老人は空を見上げた。
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満天の星空。
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そして静かに言った。
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「なるかもしれん」
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修司は目を見開いた。
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予想外の答えだった。
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「否定しないのか」
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「しない」
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ガイアスは真っ直ぐ言った。
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「人間じゃからな」
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焚き火の炎が揺れる。
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「人は弱い」
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「悲しみに負ける」
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「絶望に飲まれる」
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「憎しみに支配される」
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修司は黙って聞いていた。
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ガイアスは続ける。
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「じゃがな」
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笑った。
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「それでも立ち上がるのも人間じゃ」
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その言葉は重かった。
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五十年生きてきた男の心に。
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静かに染み込んでいく。
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「未来は決まっとらん」
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「……」
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「今のお前には仲間がおる」
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修司は振り返る。
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眠っている仲間たち。
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エルナ。
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ミーナ。
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セシリア。
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セリア。
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ルナ。
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みんな静かに眠っていた。
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守りたいと思う。
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失いたくないと思う。
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その気持ちは未来の自分と同じかもしれない。
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でも。
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今の自分には仲間がいる。
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一人じゃない。
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それが決定的な違いだった。
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その時だった。
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ルナが飛び起きた。
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「っ!!」
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全員が目を覚ます。
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息が荒い。
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顔が真っ青だった。
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「ルナ!」
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修司が駆け寄る。
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ルナは震えていた。
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「見えました……」
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「何がだ」
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ルナの瞳が赤く光る。
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未来視だ。
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「三日後」
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全員が息を呑む。
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「三日後に」
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震える声。
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「王都が襲われます」
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静寂。
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「誰に?」
セシリアが聞く。
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ルナは答えた。
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「七災将・第一席」
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空気が凍る。
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グレンより上。
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七災将最強クラス。
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ルナの声はさらに震える。
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「未来では」
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「その戦いで王様が死にます」
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セリアが立ち上がった。
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「お父様が!?」
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王国の王。
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セリアの父。
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未来では死ぬ。
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ルナは頷いた。
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涙を流しながら。
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「そしてその日から」
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「王国崩壊が始まります」
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修司は立ち上がった。
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迷いはなかった。
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未来が見えたなら。
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やることは一つ。
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変えるだけだ。
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「王都へ向かうぞ」
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エルナが笑う。
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「そう言うと思いました」
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ミーナも拳を上げる。
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「王様助けるぞー!」
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セシリアは剣を握る。
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「全力で守る」
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ガイアスは笑った。
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「ふぉっふぉっふぉ」
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「やっと主人公らしくなってきたのう」
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修司は苦笑した。
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そして空を見る。
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黒い塔。
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未来の自分。
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迫り来る七災将。
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どれだけ困難が待っていても。
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挑戦する。
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何歳からでも。
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何度でも。
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人は成長できるのだから。
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その足で。
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未来を変えるために。
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修司たちは夜明けと共に王都へ向かった。
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## 次回予告
### 第18話
**「七災将第一席」**
王都に迫る最大の危機!
現れる七災将最強の男――
**《白滅のゼクト》**
そして王を守るため、修司たちは決死の戦いへ!
だがその時、未来の修司が初めて動き出す――。




