# 第12話 ## 「七災将、襲来」
# 第12話
## 「七災将、襲来」
天剣山。
修行開始から一か月。
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修司は滝に打たれていた。
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「まだだ」
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ガイアスが言う。
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「呼吸が乱れておる」
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「はい」
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「心が揺れておる」
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「はい」
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「昼飯のことを考えておる」
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「それはミーナです」
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少し離れた場所。
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ミーナ。
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「お腹すいたー!」
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「やっぱりな」
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いつも通りだった。
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だが。
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修司は確実に強くなっていた。
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レベルだけではない。
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心も。
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技も。
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仲間との連携も。
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全てが成長していた。
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その日の夕方。
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山頂に赤い夕日が沈む。
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平和だった。
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本当に平和だった。
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だから。
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誰も気づかなかった。
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それが嵐の前の静けさだと。
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ドォォォォォン!!
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突然。
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山が揺れた。
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全員が立ち上がる。
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「何!?」
エルナが叫ぶ。
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空が黒く染まる。
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雲ではない。
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黒い炎だった。
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その炎の中から。
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一人の男が現れる。
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長い赤髪。
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黒いコート。
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燃えるような赤い瞳。
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笑っていた。
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不気味なくらい。
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「見つけたぞ」
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ルナの顔が青ざめる。
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「嘘……」
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「知ってるのか?」
修司が聞く。
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ルナは震える声で答えた。
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「七災将」
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空気が凍る。
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「黒い塔最強の幹部たち……」
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男は笑った。
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「紹介しよう」
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胸に手を当てる。
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「七災将・第三席」
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「災炎のグレン」
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その瞬間。
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周囲の木々が燃えた。
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何もしていない。
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立っているだけで。
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「化け物か……」
セシリアが呟く。
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グレンは視線を動かす。
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そして。
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ミーナで止まった。
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「見つけた」
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「え?」
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ミーナが首を傾げる。
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グレンは笑う。
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「獣王の血」
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「獣王?」
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「やはり生きていたか」
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修司の表情が変わる。
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狙いは。
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ミーナだった。
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グレンが一歩踏み出す。
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「その娘を渡せ」
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「断る」
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修司が前へ出た。
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グレンは少し驚いた。
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そして笑う。
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「面白い」
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炎が噴き上がる。
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山全体を包み込むほどの熱量。
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「なら力ずくだ」
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その時。
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ガイアスが前へ出た。
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杖を地面に突く。
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カンッ。
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たったそれだけ。
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だが。
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炎が消えた。
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完全に。
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七災将グレンの笑顔が初めて消える。
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「……」
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ガイアスは静かに言う。
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「若造」
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「?」
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「わしの弟子に手を出すな」
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空気が震える。
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修司たちは初めて見た。
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本気のガイアスを。
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山が揺れる。
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空が震える。
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グレンですら警戒している。
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「なるほど」
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グレンが笑った。
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「王国最強か」
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ガイアスも笑う。
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「まだまだ青いのう」
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次の瞬間。
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ドゴォォォォォォォン!!
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山頂が吹き飛んだ。
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伝説と災厄。
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二人の激突。
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その余波だけで修司たちは吹き飛ばされる。
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圧倒的だった。
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そして修司は知る。
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今の自分が。
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まだ世界の頂には程遠いことを。
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しかし。
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恐怖よりも先に。
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胸の奥が熱くなった。
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「いつか」
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拳を握る。
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「俺もあそこへ行く」
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ガイアスが笑った。
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まるで聞こえていたかのように。
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「その意気じゃ」
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七災将との戦い。
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そしてミーナに隠された秘密。
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物語は新たな局面へ進む――。
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## 次回予告
### 第13話
**「ミーナの秘密」**
なぜ七災将はミーナを狙うのか?
明かされる獣王の血。
泣き出すミーナ。
怒る修司。
そしてグレンとの激闘が始まる!
**「仲間は絶対に守る」**
五十歳の挑戦は、まだ始まったばかり――!




