# 第11話 ## 「最強の師匠」
# 第11話
## 「最強の師匠」
敗北から七日。
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修司たちは旅をしていた。
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王都を離れ。
山を越え。
森を抜け。
向かった先は――
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《天剣山》
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伝説の修行場だった。
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「本当にいるの?」
エルナが聞く。
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「いるらしい」
修司が答える。
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「らしいって」
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「王女情報だ」
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セリアが胸を張る。
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「信頼度高そうで不安になるな」
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すると。
山頂近くで声が響いた。
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「うるさいぞ小僧ども」
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全員が振り向く。
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そこにいた。
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白い髭。
ボロボロの服。
木の杖。
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どう見てもただのおじいさん。
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「迷子か?」
ミーナが聞く。
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「お前が言うな」
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老人はため息をついた。
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「最近の若者は礼儀がない」
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「失礼しました」
修司が頭を下げる。
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老人は目を細めた。
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「ほう」
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その瞬間。
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空気が変わった。
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修司の背筋が凍る。
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強い。
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今まで会った誰よりも。
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圧倒的に。
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老人が言う。
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「お前が無限成長か」
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修司は驚く。
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「知ってるのか?」
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「知っとる」
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老人は笑った。
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「お前は弱い」
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即答だった。
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エルナが怒る。
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「修司さんは強いです!」
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「弱い」
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セシリアも言う。
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「S級魔物を倒しました!」
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「弱い」
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ミーナも言う。
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「パンならいっぱい食べる!」
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「関係ない」
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老人は修司を見る。
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「お前は力に頼りすぎじゃ」
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「……」
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「だから負けた」
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修司は何も言えなかった。
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図星だった。
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老人は杖を持ち上げる。
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「かかってこい」
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「え?」
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「全員でな」
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沈黙。
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エルナが笑う。
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「勝てるわね」
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セシリアもうなずく。
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「勝てます」
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ミーナも言う。
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「ご飯代くらいは稼げる!」
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「なんの話だ」
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そして。
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五分後。
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全員地面に転がっていた。
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「ぐはっ」
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「嘘でしょ……」
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「規則です……」
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「お腹すいた……」
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全滅。
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修司だけが座ったままだった。
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信じられなかった。
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見えなかった。
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攻撃が。
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老人は笑う。
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「まだまだ青い」
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その言葉が妙に刺さった。
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老人の名は。
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## ガイアス
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かつて魔王軍を壊滅させた伝説の英雄。
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レベル99。
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王国最強。
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そして。
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修司の新しい師匠になった。
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その夜。
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焚き火の前。
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ガイアスが言う。
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「修司」
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「はい」
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「お前の才能は特別じゃ」
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修司は驚く。
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初めて褒められた。
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だが。
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次の言葉で固まる。
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「だから死ぬ」
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「え?」
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「そのままでは確実に死ぬ」
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ガイアスの目は真剣だった。
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「黒い塔の敵はそんなに甘くない」
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「……」
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「成長するだけでは勝てん」
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修司は聞く。
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「じゃあ何が必要なんだ」
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老人は静かに答えた。
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「仲間じゃ」
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焚き火が揺れる。
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エルナ。
ミーナ。
セシリア。
セリア。
ルナ。
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修司は振り返る。
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みんな眠っていた。
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仲間。
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いつの間にか増えていた。
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一人だった五十歳のおじさんに。
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こんなにも大切な人たちが。
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ガイアスは笑った。
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「守りたいものがある者は強い」
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「……」
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「だが守りたいものが増えるほど苦しむ」
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修司は黙っていた。
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その言葉の意味を。
まだ完全には理解していなかった。
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だが。
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近いうちに知ることになる。
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黒い塔の幹部。
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《七災将》
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その一人が。
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仲間たちを狙い始めていることを――。
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## 次回予告
### 第12話
### 「七災将、襲来」
修行開始!
しかし平穏は続かない!
黒い塔最初の幹部が現れる!
圧倒的な強さ。
絶望的な戦力差。
そして狙われるミーナ――!
「仲間は渡さない」
修司、怒りの覚醒へ――!




