織田さん ちーっす
「次もワシが持っておるスキルじゃな。 龍脈術 は龍脈と呼ばれる世界中の地中に流れておるエネルギーを体内に取り込み己を強化するスキルじゃ。メリットは身体強化スキルや魔法や祈祷によるバフと違ってMPを消費しない事じゃな。デメリットは龍脈が薄い土地では使えないという事かのぉ。仙術と龍脈術はお主がその気ならワシが教えてやらんこともない。もちろんその代わりにワシの身の回りの世話なんかをしてもらうがの。」
「…はい。ぜひお願いします。」
カエデは少し考えたのちに提案を受け入れた。ワドニア王国には使い手がいないと言われている2つのスキルを同時に教えてもらえる…ハオの元から離れ別の土地で2つのスキルを持つ者と出会えるかもしれないがいるかもわからない人物と出会う前にモンスターに殺されない保証はどこにもない。この世界で生きていかないといけない以上、今この時に少しでも強くなっておく事が少なくとも効率が悪いという事はないだろうと考えての事だ。
「次に体術じゃな。体術スキルは…まぁそのまんまじゃな。体を使う事に対して効果があるスキルじゃ。万能故に器用貧乏じゃが使い勝手はかなり良い。
式神スキルは任意のモンスターや動物を式神とする事が出来るスキルじゃな。ワシの古い知り合いにこのスキルを持つ者がおったがその人物曰くこのスキルはLVは存在せずにスキルを獲得した時点で式神に出来る数が確定するそうじゃ。互いにステータスを補正する特殊効果があり、全てではないがスキルも共有することができるそうじゃ。コドクノオウというスキルはさっきも言ったが初めてみるスキルじゃな。内容は分からんがアクティブ化されていないスキルと言うものは異世界転移や転生した者が持っているスキルに多いと言われておる。レベル、ステータスが特定の値に達したり、特定の称号といったものが必要と言われておる。」
「あぁ〜、想像していたようにやっぱり特殊なスキルみたいですね。自分の予想では コドクノオウ は 孤独の王 じゃないかと思ってるんですが…」
「ふむ… コドクノオウ が 孤独の王 なのであれば式神を従えるのはコドクノオウがアクティブ化した後の方がいいかもしれんのぉ。次は称号のテンプレイヤーじゃな。この称号は事件などに巻き込まれやすくなるという特殊効果があるのじゃが、この称号はこの国じゃと結構有名でこの国の初代の女帝も持っておったそうじゃ。オリヴィア・エバートンという小国の1人娘が12歳の誕生日に自分は異世界から転生した者だと言い出した。はじめはその言葉に困惑した周りの大人たちだったがオリヴィアの次々に打ち出される革命的な政策によってその小国はあっという間に力を付け、隣国をどんどん吸収していくつもの小国によって形成されていたこの島国を統一してしまったのじゃ。いつの頃からかオリヴィアは自分を織田信長と名乗り、この国の者たちの名前や服装の形態まで変えてしまいおった。」
(っ!?まじか…知識チートで内政モノか…まさにテンプレイヤーだな。しかし織田信長と名乗るとは…どんだけファンなんだよ…)
「信長は1人の青年を森蘭丸と名を変えさせて寵愛したそうじゃ…信長はこんな言葉を残しておる「タチが良いと思っておったがウケも良いものじゃ」…と」
「本物か!?まさか本物なのか!?」
「さて残りの称号の 異世界転移せし者 や 追放されし者 は詳細通りで特殊な効果は確かなかったはずじゃ…」
「へぇ…ん!?」
カエデはハオの言葉に聞きなれない称号の名を聞き取りステータスボードを開きスクロールしていく。
カエデ クサカベ
種族 人族
LV 12
スキル
仙術 LV1
龍脈術 LV1
体術 LV2
式神 1
コドクノオウ(他と比べて色が薄い)
称号
テンプレイヤー
輪廻転生神の加護を受けし者(小)
異世界転移せし者
勇者召喚に巻き込まれた者
追放されし者 ←new
称号の欄に一つ見慣れない物が増えている。 追放されし者 に集中して詳細を出す。
追放されし者 所属するパーティーや国などから理不尽に追放された者に送られる称号
「はぁ〜」
カエデはため息を吐きながらうつむいて頭を抱える。
(マジで呪いじゃねぇの…)
カエデはテンプレイヤーという称号を呪いと評して現実逃避したい気分だった。
カエデがハオに弟子入りして2ヶ月と半月が経った。異世界に来ておよそ4ヶ月。その間カエデは髪を切っておらず少しクセのある髪を後ろで軽く結う程の長さになっていた。髪を切りたいとハオに言ったところ髪はある仙術を使う際に媒体として使うと言われ切らずに伸ばすようにと言われた。髪は伸びる際に己の魔力を微量に含みながら伸びるらしく、魔力が含まれた髪が長ければ長いほどとある仙術を使った際に使われる媒体としての効率がいいらしい。しかしカエデの仙術のスキルのLVではまだその仙術を使うことは出来ないらしくとりあえず伸ばしておけ…という状態だ。さらに皮の胸当てや皮のブーツでジャポネに流れ着いたカエデだったが今はハオと同じようなクリーム色のチャンパオのような上着に黒のパンツスタイルだ。
ハオに弟子入りしたカエデの修行で行われたのは自分が流れ着いた龍泉のほとりで座禅を組み龍脈の力を感じ取る事であった。地中を通って世界中に流れるエネルギー…まずそのエネルギーを感じ取り、次に呼吸と共に体内に取り入れ体内で巡らせる。まずそこから龍脈術は始まる。龍脈のエネルギーを取り込み巡らせるだけで身体能力は高まり、意識して体の一部にそのエネルギーを集めれば攻撃や防御の性能を飛躍させる事が出来る。意識せずとも常に呼吸で龍脈のエネルギーを取り込むことが出来るようになれば老化さえ遅らせる事が出来る。現にハオの見た目は40〜50歳だが実際には100歳を超えているそうだ。元々龍脈術のスキルを持つカエデは龍脈のエネルギーを何となく暖かいものとして感じ取ることが出来ていた。なので後はそれを呼吸と共に取り入れて、そしてそのエネルギーを体内で循環させていく。午前の修行はずっと座禅を組んでひたすらそれを行う。
午後からは仙術の修行がメインとなる。川の前に立ったカエデは懐から札を人差し指と中指で摘んで取り出すと仙術スキルを発動する。札がサラサラと崩れ去ると両手を突き出し何かを両手で持つかのような動作を行いその手を上げていくと川から直径で50cm程の球体がカエデの動きに合わせて浮き上がっていく。水球の中に数匹の川魚が泳いでいるのを目視すると水球を移動させながら無駄な水を意識して捨てていく。今度は手を下げていき用意しておいた革製のバケツに水球をおさめる。それを数度繰り返して川魚を50匹程捕まえるとバケツを持って家で待つハオの元へと戻る。
ハオの家にカエデが戻るとハオは縁側でぼんやりと遠くの空を眺めていた。すぐそばには竹の筒が転がっている。
カエデは竹の筒が一瞬水筒かと思ったが不快な臭いが漂っているのを感じ取り眉間にしわを寄せた。
「カエデよ…わしはとんでもない物を発明してしまったかもしれん…」
「………一体何を発明したというんですか?」
カエデが問うとハオはそばにあった竹の筒を掴みカエデへ放った。
カエデはその竹の筒をキャッチするとそれが一体何なのか目をやる。
竹の筒は上下共に節がある状態で切られており片方の節の中心に穴が開いてある。穴の大きさは直径で5センチメートル程、竹の中には何かが詰まっていて穴の中心部分には切れ目が見てとる事ができる。
「……………」
「フフ…流石のお主も分かるまい…その竹の中には先日討伐したソリッドスライムを加工して詰め込んでおる。切れ目の中は細かいヒダを螺旋状に、奥に行くにつれて大小の突起物が無造作に配置されておる。その切れ目に水草を煮出して作ったヌルヌルの液体を入れて己のイチモ
「ってオナホじゃねーか!!」
カエデはハオに向かってオナホを投げつける。
ハオが投げられたオナホに対し手をかざすとオナホは空中でピタリと止まった。
「たわけっ!投げたりすると中身が飛び散るじゃろうが!」
「しかも使用済みかよっ!!」
「全く…とにかくワシは後日これをもって商業ギルドへおもむき特許申請をしてくる。その時名前も申請せないかんのだが…ワシはこれに 天をも穿つ気持ちよさ から天穿と名付けようと思うのじゃがどうじゃろうか?」
「読み方を聞くと色々と問題が出そうなので聞きませんが他の名前にすべきだと思います」
「ぬぅ…そうか…では持っていくまでまた新たに考えるとしよう…」
ハオのせいで精神的に疲れたカエデは次に近くの農村まで馬車を引いて行き収穫が終わったいくつもの畑の土を仙術を使ってひっくり返す。帰りはお礼にもらった野菜を馬車に乗せて龍脈術を使って強化した体で馬車を引いてハオの家まで戻る。
その頃にはハオはカエデから預かった川魚を町まで持っていき売ったお金で米や肉を買って帰って来ており2人で夕食を作る。夕食を済ませた後は仙術スキルを発動する際に使う札の制作にとりかかる。仙術スキルのLVがまだ低いカエデは仙術を使った際の効果とMP消費の効率が悪い。その為MPを通しながら特殊な文字を札に書き込み仙術スキルの発動の補助に使う。お札に文字を書き込んでいるとあっと言う間にMPが底をつき目眩と倦怠感がカエデを襲うがハオ特製の激マズMPポーションで回復、書き込み、回復を繰り返しながら何枚ものお札を書き上げていく。MPが底をつく回数が多ければ多いほどMP量の成長率に上昇がつくのだ。
そんな日々が続き次第に慣れて飽きが来ていた頃にハオがカエデを呼び出した。
「そろそろ浪人組合の依頼を受注して妖魔で実践訓練をしようと思うのじゃがカエデは浪人登録はしておるんかのぉ?」
「…浪人組合?」
「ん?おぉ カエデは以前はワドニアにおったんじゃったな。浪人組合とはいわゆるワドニアでいうところの冒険者ギルドのことじゃ。ジャポネでは冒険者の事を浪人とよんでおってな。呼び方は国によって違いはあるが確か大元は同じ組織じゃから登録しておけばどの国でも使えるし身分証明にもなるはずじゃが」
「それなら登録してないですね。ワドニアでは城から出してもらう事さえ出来なかったんで…」
「ふむ…それならまずは登録せんといかんな。浪人組合は割と大きい街にしかないからの。明日は朝から近くの街まで登録に行くからそのつもりでおるように。」
「ゔっ…わかりました…」
カエデの返事が煮え切らない理由…もちろん称号のテンプレイヤーのせいだ。
(これはギルドで登録する際に絡まれるパターンのやつか…?はぁ…憂鬱だ…)
翌日カエデ達は浪人組合がある街まで来ていた。
塀に囲まれた街に入る際に門で役人による入町税の徴収、持ち物の検査などが行われていて冒険者登録をしていないカエデは検査をされ入町税をしっかりと回収された。街並みは和寄りの和洋折衷といったところで街行く人たちもアレンジされた着物のような物を着ている。そして街のメイン通りの商店街の一画に浪人組合はあった。ハオが躊躇いなく浪人組合に入って行くのに対してカエデは少し警戒しながらついていく。
中に入るとハオは受付らしき所まで一直線に歩いていく。カエデはそれについて行きながらチラリと建物内に視線をやる。浪人組合の建物は外観で分かっていたが周りの建物に比べると規模が大きい。理由は依頼受注や発注の受付、討伐した魔物や納品物の買取専用の受付だけでなく飲食店のスペースもあるからだ。飲食店のスペースには複数人の浪人達が飲み食いしている。カエデはそれをチラ見で確認すると絡まれたくない思いからすぐに目をそらせた。
「キョウコちゃんは今日も可愛いのぉ。仕事がおわったらお茶でもどうじゃ?あ、すまんがこいつの浪人登録と二つ三つ程依頼の受注を頼む。」
「はい。かしこまりました。ではこちらの登録用紙に必要事項をお書き下さい。」
ハオのナンパを受付嬢がにこやかにそして華麗にスルーしながら答えてカエデに紙と筆と墨を差し出す。
紙には名前、LV、スキル、称号などの項目がある。それを見たカエデがハオの方を見る。
「…これって正直に書いた方がいいんですか?」
以前ワドニア王国の騎士ジェイドからLVやスキル、称号を言い触らさない方がいいと言われていたからだ。
「一応浪人組合から他の浪人に浪人の情報を教える事はしないという決まりにはなっておるが…まぁ微妙なところじゃの。たまにスキルや称号を参考に依頼を紹介してもらえたりするが…そもそもまだお主はLVも低いしのぉ…あんまりメリットはないかもしれんのぉ…」
「ちなみに後から項目に追加で記入はできるんですか?」
「もちろん可能です。スキルや称号を登録時に所持していなくても後々新たに習得するかもしれませんからね」
それを聞いてカエデは名前とスキルに仙術
それだけを書いて受付嬢へと手渡した。




