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テンプレイヤーカエデ〜コドクノオウ〜  作者: いまむー
勇者御一行編
11/14

さよなら巻き込まれ系主人公




ダンジョンに潜りだして4日目。LVがさらに上がったカエデ達は第一層のモンスター達を余裕で狩れるようになっている。そんなカエデ達を見てジェイドは第二層に向かう事を提案した。それに賛同したカエデ達はジェイドに道案内をしてもらいながら歩みを進める。


「そういえばこのダンジョンって何層まであるんですか?」


「今現在確認されている階層は第67階層ですね。」


「ふすーっ けっこう深いね」


「67階層って何LVくらいの冒険者が適正なのかしら?」


「適切な構成のパーティーならLV120と言った所ですね」


「ん…?LV120ってもしかして…ジェイドが最下層の攻略組なのか?」


「ふふっ…よくぞ気づかれましたな。」


「ふすーっ へぇージェイドさん意外にやるじゃん」




警戒しつつも雑談をしながら歩みを進めるとやがて下りの階段がある部屋にでた。ジェイドが先行しつつ階段を下りきる。


「この先気をつけて下さい。落ちたら死にますよ。」


カエデ達がジェイドを抜いて先行しないように腕を上げる。ゆっくりと進むと2人の人がギリギリ立てるほどの足場がありその先には足場はなく真下へ大きな縦穴となっていた。縦穴の岩壁には等間隔で穴が空いており足場が2つの穴を繋いでいる。カエデ達が出てきた穴の足場も1つの穴へと続いていた。


「げっ…深いな…全然下が見えない。」


コウキが四つん這いになって縦穴を覗く。


その横でカエデが小石を拾い縦穴に放り投げる。石はスッと縦穴の闇に飲まれていった。耳を澄ませていたカエデ達に小石が底に当たったような音が返って来ることもない。


「ここに落ちたら確実に死ぬわね…」


「ふすーっ でもLVが高くてVITが高ければ死なないかもよ?」


「かもしれませんね…しかし今までに数名の冒険者がショートカットをしようとして落ちたと聞き及んでおりますが1人も生きて帰ってきた者はおりません。現在確認されている最下層が67…しかし第67階層の縦穴から下を覗いてもまだ底は見えず闇が広がるばかり…下に行けば行くほどモンスターが強くなるダンジョンでは仮に高LVでVITが非常に高く、この縦穴を落ちて何とか命を落とさなかったとしてもとてもじゃないですが生きて戻ってくるのは不可能でしょう。」


「へぇ…落ちたらアウトって事か」


「まぁモンスターは不思議な事に階層を繋ぐこのエリアには足を踏み入れてこないのでこの場所で戦闘によって落ちるというような事はないでしょう。次の階層は虫系のモンスターが出る階層です。私もフォローに入りますが毒を回復するポーションの準備を忘れないで下さい。」


「ふすーっ 虫かぁ〜あんまり近づきたくないなぁ」


「といってもアカネは盾役(タンク)だからな。よろしく頼むよ」


「……」


「カエデ どうしたの?」


ジェイド達が話をしている間縦穴の暗闇をじっと見つめていたカエデにレイナが声をかける。


「ん?あぁ なんだろ?この縦穴の底の方…何か暖かいものを感じるんだ」


「暖かいもの?……何も感じないわね。むしろどこまでも続く暗闇を見ていると寒気さえ感じるわ…」


「まぁ普通そうだよな…なんなんだろ…?」







その後第2階層で人の頭程の大きさのクモや蛾のモンスターに叫び声を上げまくったカエデ達はグッタリとした様子でワドニア城へと帰って来たが食事をしている最中には元気を取り戻していた。


「それにしてもカエデの驚き様ったらないわよね」


「ふすーっ マジウケたよね!きゃーって女の子みたいな叫び声あげてたし」


「フフッ カエデ様そんな声を上げられたんですか?」


「いやいや!体をバカデカいクモが這ってんだそ!?叫び声くらいあげるだろ!」


「ちっ…」


ギリギリ











数日後第2階層のモンスターに慣れて来たカエデ達は次の階層へ行くために階層と階層を繋ぐ縦穴へと来ていた。


「さて次の階層はアンデットが主なモンスターとなります。出てくるのはスケルトンやゾンビというモンスターが主なんですがどちらも動きが遅いので落ち着いて対処すれば問題ないので心がけておいてください。ちなみにこの階層に出るゾンビに噛まれてもゾンビにはなりませんのでご安心下さい。」


「その言い方って事は噛まれるとゾンビになっちゃうゾンビもいるって事ね?」


「そうですね。第52階層に出るゾンビはそういう能力を持っています。なのでまずはこの階層でゾンビがどの様な動きをするかしっかりと把握し、噛んでこようとする動作に対して無意識の状態で対処できるようになってもらいます。」


「ふすーっ それってどうやって身につけるの?」


「噛まれても感染しないこの階層の内に噛まれまくって下さい。もちろんただ噛まれればいいという訳でなく避けようとしながらもどうしようもなく噛まれる…というのが経験を積む…ということですよ。」


「げっ…マジかよ」


「oh…」






そして第2階層の出口の穴からジェイドが歩き出しコウキ、レイナ、アカネ、カエデと続く。




「ん…すまんブーツの紐が緩んでるみたいだ。結ぶから先に行っててくれ」


コウキが壁際に寄り壁の方を向いてしゃがみ込む。

その横をレイナ、アカネが通り過ぎてカエデが通り過ぎようとした時…


ボソボソ……


「……っ!?」


コウキがお尻を突き出す様に立ち上がりカエデにぶつかる。体に衝撃が加わりカエデは二歩、三歩とたたらを踏んだが三歩目には足場はなくカエデの体は縦穴に投げ出される。


「なっ!?カエデ殿!」


「くっ…!」


何かがぶつかるような音を聞きジェイドが振り返った時にはすでにカエデの体は縦穴方向へ大きく傾き足は地面についていない。ジェイドが急いでアカネとレイナを隙間を抜けてカエデへと手を伸ばす。それを見たカエデもとっさに手を伸ばした。しかし互いの手は虚空を切り掴まれる事はなかった。


「カエデ殿おおぉぉぉ!」


「「カエデーーーっ!」ふすーっ」


「………」





















「俺の女達に手を出しやがって…お前なんかいらない…」


コウキがぶつかってくる直前にした言葉。


縦穴に投げ出された時のジェイド、アカネ、レイナの驚いている表情とコウキの不気味な笑顔。


(参ったね…まさかここまでの実力行使をしてくるとは…)


縦穴を落ちている最中だというのにカエデは何故があまり動揺していなかった。それは縦穴の底の方から感じる暖かい何か…のせいだろうか。


(つーかこの状況ってテンプレイヤーのせいか?巻き込まれ系かと思ったら追放系だったとは…オアシスちゃんにも気をつけるように言われてたのに完全に油断したな…)


時々冒険者達の放つ光や洞窟やダンジョンに生えるヒカリゴケの微かな光を一瞬目にするが暗闇の中を落ちていくカエデはいつの間にか意識を失ってしまった。
























鳥の鳴き声が時々上がる青々とした木々に囲まれた渓流で岩場に座り釣りをする男。見た目は40〜50代といったところで白髪の長髪を後ろでまとめてその毛先は腰あたりまで伸びている。服装はクリーム色で薄手のチャンパオのようなものに黒のズボン。あぐらをかいて竿を持ち、目を閉じて姿勢は脱力しているのか少し背は丸まっている。竿の先から垂れる糸に少しの力が加わった瞬間目を見開き竿をすっと引いた。水面から15cm程の魚が引き上げられて男は魚がかかった釣り針の上の方の糸を掴む。


「ふむ…まぁこんなもんじゃろ」


男は魚から釣り針を離すと横に置いてあった動物の皮で作られたバケツに入れ込む。その中には水がはられていて10匹程の魚が泳ぎまわっていた。


釣竿を回して垂れる糸を竿に巻きつけるとバケツの取っ手を持ち渓流の岩場を次々と飛び移り渓流から離れて林に入っていく。


「ん…?」


林の中を歩く男はふと足を止め藪の中に入っていき小さな池にたどり着く。池の岸には16.7歳の青年が打ち上げられていて意識を失って倒れている。


「ふむ…」


男は2、3度指でアゴをかきバケツを持っている側の脇に釣竿を挟み、空いた手で青年のベルトを掴み軽々と持ち上げるとそのまま来た藪を戻って行った。


















「う〜ん…」


ぼんやりとした視界からはっきりとした視界に変わった時カエデの目に映ったのは木の板で作られた天井だった。


「ふむ…ようやく目覚めたようじゃの」


声が掛けられた事に反応しカエデは仰向けに寝ていた体勢から上半身を勢いよく起こした。

カエデが声が発せられた方を見るとそこにはちゃぶ台の側にあぐらをかいて座り湯呑みでお茶を飲んでいる白髪の男がいた。


「へ?あれ?」


カエデは辺りを見回す。自分が今まで寝ていた煎餅布団に畳の床、ちゃぶ台に湯呑み。木の板で作られた壁に天井そして白髪を後ろで縛った40〜50代と思われる男。


「えっと…助けて頂いた…んですよね?ありがとうございます。ちょっと聞きたいんですけどここってダンジョンの中ですよね?」


「いや、ここはダンジョンの中ではないぞ」


「え?(ダンジョンの中じゃない…??どうなってるんだ?)」


「ここはジャポネじゃ」


「ジャポネジャ…」


「違う… ジャポネ じゃ」


「??…ジャポネッジャ?」


「ジャポネ という国じゃ!」


「あ、そういう事ね…ん?日本って事ですか?」


「ジャポネと言っとろおもん!」




カエデは今までの経緯を話し自分が何故ここにいるか分からない事を告げる。

それに対し白髪の男の答えはおそらくダンジョンの縦穴の底には龍泉(りゅうせん)があり龍泉に落ちて龍脈を流されこの近くの龍泉に流れ着いたのではないか…という事だった。


「龍泉…龍脈…?」


「そう。お主の持つ龍脈術のスキルと密接な関係があるものじゃ」


「!?」


カエデが驚いた表情を見せる。


白髪の男は自分の左目を指差して口角を上げた。。


「ふぉふぉ…ワシは神眼スキル持ちでな。悪いがお主のステータスは見させてもらっとる。まぁ助けた代金と思っとってくれ。ちなみにワシの名前はハオ クァンじゃ。にしてもお主は数奇な人生をおくっておるようじゃのぉ」


勇者召喚に巻き込まれし者 や テンプレイヤー の称号を思い出して白髪の男は苦笑いをした。

スキル構成や称号は無闇に人に教えたりしないのがこな世界の常識である。カエデはハオに自分のスキル構成が知られている事に対して少し構えたがハオの雰囲気から悪い人ではないと思い警戒の色を解いた。


「あの…もしかして コドクノオウ というスキルについて何か知ってますか?」


「お主のアクティブ化していないスキルのことじゃな?すまんがそれに関しては見たことも聞いたこともないのぉ。他のスキルに関してはワシが待っておるスキルもあるし持っていないスキルや称号でも多少なりの知識はあるんじゃがな…」


「そうですか…」


カエデは コドクノオウ をアクティブ化する方法が分かるかもと思い期待したがどうやらハオは コドクノオウ を初めて見たようだ。だが逆に神眼を持つ者が初めて見るスキルだという事は コドクノオウ が理不尽な(アブソード)スキルである可能性が高いとも言えると思って気を取直した。


「もし良ければあなたが知っている俺のスキルや称号の詳しい事を教えてくれませんか?」


「構わんぞ…まずはワシも持っておる 仙術 のメインは物事に干渉する事じゃな。」


ハオはちゃぶ台に置かれた湯呑みに視線を送る。カエデもその視線に誘われて湯呑みをみた。

湯呑みの中のお茶だけがまるで無重力下の水分かのように球体の状態で空中に浮かび上がった。浮かび上がったお茶は球体から長細い棒状の形態をとる。さらにぐにゃぐにゃと動きながらとぐろを巻きつつ龍の造形になるとカエデの周りを二周したのち湯呑みの中へと帰っていった。


「と、まぁこんなもんじゃな。龍の造形に目をつぶるなら低いスキルレベルでも出来ることじゃ。スキルレベルが高ければ高いほどMP消費の効率を良くしつつ大きな物事に干渉出来るようになる。火を炎に、風を暴風に、濁流を清流に、岩を砂に…というようにじゃな。魔法が己のMPを消費する事で0から1を生み出すと言い表すならば仙術は1を0.5や1.5に変えると言ったところかの。」


「魔法が0から1…仙術は1を0.5や1.5に……それってもしかして自然界に起きている物事だけでなく誰かが発動した魔法にも干渉出来るって事ですか!?」


「ほぉ…勘がいい奴はキライじゃないぞぃ。その通りじゃ。といってもどんな魔法にも干渉出来るという訳じゃないぞ?属性付きで放出しきるタイプの攻撃魔法は大体干渉出来るが回復魔法や持続してMPを消費し続けて操作をする類の魔法はワシの経験上イマイチじゃな。まぁ魔法も仙術もそれぞれメリットデメリットはあるからの。ちなみに仙術のデメリットは0から何かを生み出す事は出来ない事じゃな。」


「魔法はMPを消費して魔法を発動するのに対して仙術は消費MPが少ない代わりに周りにある物や相手の魔法という制限の中からスキルを使うって事ですね?…結構面白そうですね」


「ふぉふぉふぉ。そうじゃろうそうじゃろう!」


ハオはカエデの言葉に喜んでいるようだ。


「おっとそうじゃそうじゃ。今後仙術を身につけていくお主には仙術スキルの持ち主の格言を送ろう。」


「格言?」




















「心頭滅却すればファイヤーもまた涼し じゃ」




う〜ん…和洋折衷




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