罪な男
ホージョーサンがいくつかの村に坐禅を広めた後、一時的に王城に帰ってきた。
今回のホージョーサンは随分痩せこけていたが、むしろシュッとしてかっこいい。作務衣から覗くちょっとアバラが浮きつつまだ残っている胸筋がチャーミングだ。
「お久しぶりです王女様。とりあえず坐りましょうか」
「フフフ、ホージョーサンすっかりやつれてるけど、その様子だと中身はまったく変わっていないようね」
「変わらないものなどありませんよ。私の内面も、私が気づいていないだけで変わっているのかもしれません」
「えー、じゃあ私のこと娶る気になった???」
ホージョーサンが、一瞬、ぐぬ。という顔になる。この人、尊敬できる人だけどやっぱり男の人ではある。
「私と結婚できたら王宮でぬくぬくだよー?」
「私は坐れたらどこでもかまいません」
「私と結婚したら王城の近くにオテラっていうのを作ってあげる! ソードー付きの、立派なやつ! そこで皆んなで坐禅しようよ!」
ホージョーサンが目を輝かせるが、頭をブンブン振る。私との結婚を想像したときより欲望が色濃く見えるなー? ムカつくなー???
「……とりあえず坐りましょう」
「あっ逃げたー」
苦笑いして流してくれる優しいホージョーサンに免じて、私は久しぶりに彼の隣に坐った。一人でも続けてはいるが、やっぱりホージョーサンと一緒に坐るのは楽しみだった。
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二炷を終えたあと、足をほぐしながらホージョーサンと雑談を始める。
ホージョーサンはこちらが黙っていると全然言葉を発しないが、話しかけても億劫がることなく必ず返答はくれる。私にとっても変な気を使わずに話せる相手だ。
「でもさー、仮に私と結婚したら、いいことしかないと思うんだよねー。どうしてそんなに避けたがるの? ……もしかして、私タイプじゃない?」
「……あなたは美しいと思いますよ」
「アハハ、いっぱいいっぱいな感じが逆に信用できるなー」
「こんなオッサンを困らせないでください」
「オッサンっていうけど、私はホージョーサンのことドタイプなんだけど」
「……」
あ、また背を向けて坐り始めてしまう。
「ゴメンて! 別に鎖に繋いでまで執着してないから! 坐禅モードにならないで!」
「……鎖に繋がれては、本当に困ります」
ホージョーサンはこちらに向き直ってはくれたものの、実に困った顔で横を向いている。ぁあ〜ちょっと色気のある大人の男の困り顔アガるわ〜↑
「比喩だよ比喩。でもね、一緒になれたら楽しそうだなって思ったのは本当。こういうことって言葉にしておいたほうがいいと思ったの」
「……」
「なんなら、私のこの気持ちも、ホージョーサンなら手放してくれるかなって? 恋する乙女の執着を罪な男のブッポーで解体してみせてよ?」
「……問答なら私よりあなたの方が上手くできそうな気がします」




