きっと全員悪人で、みんなで仲良く地獄行き
今日もまた深夜まで坐って、それ以上は道安さんもなにも語らずさっさと寝てしまった。本当に寝るのが早い。昨日と違って、自分は全く眠くもないのに。
結局一睡もできなかった親平は、そのままの不思議なテンションで討伐に向かった。いつも通り、女神に授かったチートで剣を数回振り、あっさりと討伐を終えた。
実は、昨日の道安さんのやりとりから、自分は恐怖や葛藤から剣を振ることができなくなるのではないかと恐れていた。しかし、実際に戦場につくやそんなことは全くなく、剣はいつも通り振るわれ、敵を屠った。
強い義務感と裏返しの報酬への期待。それを全く感じず、まるで自分でない誰かが剣をふるう感覚。これは煩悩なのだろうか。よく考えたら、相手の命を毎日のように奪って、これは大罪なのではないだろうか。
「今日も早かったですね」
「そうですね」
戻ると昨日のことなど何事もなかったかのように道安さんが迎えてくれた。
「幾分スッキリした顔になったかと思いますが、まだ迷いはあるようですね」
「義務とか自分が特別だって気持ちは消えました 。でも……それが晴れたら、今度は俺が犯してきたことが、本当にこれで合っているのかって……」
「でも、止めることができないのですよね」
「そうです。結局、俺は人類のためと言われれば、今更魔族をなぎ倒すことを止められない。魅力的な女の子に迫られれば、きっと断れない……結局、なにも変わっていない」
「いいえ、あなたは変わりました。悪人のままですが、少なくとも自分を見つめる悪人になれた」
道安さんが畳を敷きだす。今日はその上に、丸い変な布団が二つ乗っている。
「元の世界では、妻帯している僧侶もいたし、肉食している僧侶もいたし、酒を飲む僧侶もいました。みんな悪人です。でも、それを批判する人も、おそらくは等しく悪人です。全員が悪人なら、必要なのは地獄でも罰ではなくて、戒めと修行です」
道安さんは片方の布団に腰を載せると、こちらを見て、微笑んだ。
「我々悪人には修行が必要です。とりあえず、坐りましょう」




