表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界禅僧はとりあえず坐る  作者: ホゲファイブ
二代目勇者編 ― 悪人正機
PR
25/94

きっと全員悪人で、みんなで仲良く地獄行き

今日もまた深夜まで坐って、それ以上は道安さんもなにも語らずさっさと寝てしまった。本当に寝るのが早い。昨日と違って、自分は全く眠くもないのに。


結局一睡もできなかった親平は、そのままの不思議なテンションで討伐に向かった。いつも通り、女神に授かったチートで剣を数回振り、あっさりと討伐を終えた。


実は、昨日の道安さんのやりとりから、自分は恐怖や葛藤から剣を振ることができなくなるのではないかと恐れていた。しかし、実際に戦場につくやそんなことは全くなく、剣はいつも通り振るわれ、敵を屠った。


強い義務感と裏返しの報酬への期待。それを全く感じず、まるで自分でない誰かが剣をふるう感覚。これは煩悩なのだろうか。よく考えたら、相手の命を毎日のように奪って、これは大罪なのではないだろうか。


「今日も早かったですね」


「そうですね」


戻ると昨日のことなど何事もなかったかのように道安さんが迎えてくれた。


「幾分スッキリした顔になったかと思いますが、まだ迷いはあるようですね」


「義務とか自分が特別だって気持ちは消えました 。でも……それが晴れたら、今度は俺が犯してきたことが、本当にこれで合っているのかって……」


「でも、止めることができないのですよね」


「そうです。結局、俺は人類のためと言われれば、今更魔族をなぎ倒すことを止められない。魅力的な女の子に迫られれば、きっと断れない……結局、なにも変わっていない」


「いいえ、あなたは変わりました。悪人のままですが、少なくとも自分を見つめる悪人になれた」


道安さんが畳を敷きだす。今日はその上に、丸い変な布団が二つ乗っている。


「元の世界では、妻帯している僧侶もいたし、肉食している僧侶もいたし、酒を飲む僧侶もいました。みんな悪人です。でも、それを批判する人も、おそらくは等しく悪人です。全員が悪人なら、必要なのは地獄でも罰ではなくて、戒めと修行です」


道安さんは片方の布団に腰を載せると、こちらを見て、微笑んだ。


「我々悪人には修行が必要です。とりあえず、坐りましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ