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モンスターイーター ~ヤンデレ幼馴染の異世界料理を食べる日々~  作者: 音有五角
第二章 レアダンジョン「幽霊列車」編
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4人での冒険

 森を抜ける。ポニーで平原を駆けると、ものすごい冒険感がある。人数も2人から一気に4人になったのも、その印象を強くした。風を感じながら、広大な地を走るのは気持ちが良い。


「この辺りは、コカトリスとかが出るのか。どうする?」


 工藤の問いかけに、先導する武宮が答える。


「スルーだな」

「りょーかい」

「ただ、戦ってみたい奴が目に入ったら、随時戦うからな。その時はみんなよろしく」


 この辺りの敵は大体食べたため、次のエリアに差し掛かったら初喫食ボーナス狙いで戦うことになるだろう。


「幽霊列車と出会ったりして~。なんか、Eランク帯のエリアにも出たっていう噂もあるらしいよ?」


 如月が今話題の「幽霊列車」を話題に出す。侵入不可のダンジョンということで、協会が強めに告知をしているので、武宮達も存在は知っていた。


「挑みたいのか?」


 武宮が問うと、まあね~、と如月が答える。


「まだ、誰も入れてないらしーじゃん? 行ってみたーい。しかも絶対映えるし! それにレアダンジョンって、早く消えてなくなっちゃうかもしれないんでしょ?」

「たしかにな……もしあれがレアダンジョンなら、なにか限定の報酬も手に入るかもしれない。まだランクすらはっきりしてないから、情報がない分かなり危険だけど、未開のダンジョンは冒険者として胸躍る」

「でしょー? リーダー、あーしと気が合うじゃん!」


 後ろの方で五十嵐がむくれているのを、見なくても感じ取ったので、武宮は瞬時にそちらへも話を振った。


「桃は幽霊列車興味あるか?」

「すーくんが行くなら、どこまでもついていく」

「そっか。本当に潜入するなら、一旦俺が囮になって様子見た方が多少は安全か……」


 バブルマン・クラブの攻撃は中々にキツかった。料理ボーナスを耐久へ振ることもアリだが、MP問題もある。特にステルスは大活躍であったし、もう少し扱えるMP量を確保したいところだ。


「追放マンはどうだ?」

「そのネタ引っ張んなよ!? 面白くもねーし! まあ、お前らが行きたいなら、一緒にいくぜ」

「しかし乗り物のダンジョンなんて、なんでもアリな世界だよな……」


 話をしつつ、大きく盛り上がった丘を登りきる。すると広い草原の中央に、白い卵の形をしたダンジョンが遠くに見えた。

 今回目指すEランクダンジョン「エッグペガサス」。ランクは変わらないが、前回のバブルマン・クラブより強力なボス、推薦レベル25の「マジックペガサス」がいる。


「見えてきたな。あとついでに、モンスターもいる」


 工藤の言う通り、走った先に4体の体長1メートルほどの杖を持ったゴブリンがいた。赤のゴブリン、青のゴブリン、黄色のゴブリン、黒のゴブリンだ。


「戦おう」


 武宮が宣言する。4人はポニーから降りて、武器を構えた。

 ここに来る前に、武器スキルのLVアップにより、装備を新調している。


 武宮 変更前 アイアンアックス 攻撃力+30 要求 斧術LV1以上

 変更後 ブロンズアックス 攻撃+80 要求 斧術LV2以上


 五十嵐 変更前 エナジーブレード 攻撃力+40 HP+100 要求 剣術LV2以上

 変更後 ガッツソード 攻撃力 +70 HP+180 要求 剣術 LV3以上


 工藤 武器 シルバーナックル 攻撃力+80 俊敏+10 要求 格闘術LV3以上

    装飾品1 緑の腕輪 俊敏+15 装飾品2 赤の腕輪 攻撃力+15


 如月が構えているのは杖であった。そして彼女は、ここで出てくるゴブリンの性質を解説する。


「あのゴブリン、メスならしーよ。好みのイケメンだと、目がハートマークになるって」

「「「「ゴブぅ!!!」」」」


 4体のメスゴブリンは、杖を構え一斉に詠唱を開始した。

 特に変わった行動ナシ。その目はしっかりと敵意に満ちていた。武宮と工藤は好みじゃなかったようだ。


「……なんかわからんが、うぜーな」


 工藤の言葉に、武宮がこくりと頷く。


「ゴブリンに好かれても嬉しくないはずなのに、イラっとくるな」


 苛立ちと共に、前へ駆けた。武宮はバフをかけるのを思い出し、スキルを発動させた。


「スーパーアーマー!」


 LV4になったことにより、1回の発動でパーティー全体へそれぞれのHP25%ぶんのバリアを配る。工藤が驚いた様子で目を丸くする。


「っ!? 一度の発動でこれかよ……要求LV4とかじゃなかったか……? おっと、魔法が飛んでくるよな。アクセル!」


 炎、水、雷、闇の下級魔法が飛んでくる。加速した工藤と、潤沢な基礎ステータスを持つ武宮はそれらを回避し、接敵した。


「よっと」


 武宮が斧を振り下ろし、赤のゴブリンを一撃で撃破。杖を前にかざしてガードしていたが、杖ごと砕かれて、胸を切り裂かれた形だ。


「――ハイパーストレート!」


 工藤が強力な右拳を青のゴブリンへ放った。ゴブリンは杖を瞬時に前へかざし、ガードする。数歩後ろへ仰け反っていたが、上手く攻撃をガードされた。


「ウィンドカッター!」


 ウィンドカッター 消費MP 7

 詠唱時間は2秒。クールタイム5秒。風の刃を放つ。


 五十嵐が攻撃魔法LV2で習得した風の魔法を放つ。風の刃は、黄色のゴブリンの肩と胸を斬る。しかし威力が足りず、黄色のゴブリンは再び魔法の詠唱を開始した。


「それじゃ、あーしも――ホロテックブレイド!」


 ホロテックブレイド 消費MP 18

 詠唱時間は4秒。クールタイム7秒。光の剣を放つ中級魔法。


 如月は攻撃LV3のホロテックブレイドを放つ。現状は火と風の五十嵐とは習得する属性が違うようで、彼女は闇と光の攻撃魔法の取得が多い。

 光の大剣が、黒のゴブリンの頭を貫く。一撃で絶命し、その場でばたりと倒れた。


(攻撃魔法の火力はやっぱり高いな。回復は1って言っていたし、如月は火力担当になりそうだ)


 武宮がそんなことを考えつつ、五十嵐が仕留めそこねた黄色のゴブリンを倒す。

 そしてその間に、工藤も青のゴブリンを討伐した。


「うし。特に危なげねーな」

「そうだな」


 武宮は言いつつ、とあることが脳裏をよぎった。如月と工藤に「ちょっと、桃と相談事していいか」と言って、五十嵐とその場を少し離れた。


「一応、喫食ボーナスと料理ボーナスは、持ち帰って食べれば解決だけどさ……」

「うん。一口サイズとかね」

「ただ、一個問題点があるんだ」

「なに?」

「これからいくダンジョンのレアモンスター、どうしても厳選行為が必要でさ。レアモンスターに出会うメリットはもちろんあるけど、そこまで追う必要があるのか? って不審がられると思うんだよな」

「うーん……」

「工藤に明かすのは良いとして、如月はゲストだし。どうするかなって」


 いっそ明かしてしまうのがめんどくさくないが、武宮のステータスはいよいよイレギュラーなものとなりつつある。

 鑑定スキルなど、いつかは目をつけられる、バレる可能性は回避できない。そもそも、圧倒的な攻撃力など戦闘での活躍は、数字で見られなくても手を抜かない限りは隠し通せない。


「……スキルの説明だけ明かして、ステータスの上昇値は見せなくていいんじゃない? 如月って女、私達にスキル隠しているし。そんなに言ってこないと思う」


 うむ、と武宮は頷く。

 あとしれっとひどい呼び方をしているので、如月への好感度ゼロが現れている。

 根本的に合わない2人なのかもしれない。


「なるほど。じゃあそれでいくか。ついでにトレースアーツも出しやすくなるし」


 そういうわけで、武宮は如月と工藤へユニークスキル「愛の手料理」をざっくり話した。「モンスターの種類を多く食べると、ボーナスを得られるユニークスキル」といった感じだ。

 工藤がこくりと頷いた。


「そういや、ホーリーゴーレムの時は聞き逃したけど。バブルマン・クラブの時、お前、トレースアーツとか聞きなれないこと言ってたもんな。あれはそういうことだったのか」

「まあな。ちなみに姿を消すスキルはゴーストのスキルだ」

「色々納得だぜ……モンスターを食えば食うほど強くなるユニークスキルか。ってことは、やっぱステータスは嘘なんだろうな」

「……まあ、さすがにな」


 と、そんな話をしていると……ずいっ、と近くに寄って、如月が武宮の顔をじ~っと見つめてきた。


「おわっ、なんだ?」

「ん~。いや、そんな話よりさ~。マジ似ているなーって」


 そういえば、最初会った時もジロジロ見られていたことを思い出す。


「誰に?」

「あーしの好きな人。特に雰囲気が」

「ぶっ!?」

「喋り方の雰囲気とかも、ちょ~似ている。キュンとしちゃった~。あーしの好きな人、もう二度と会えない人だしさ~」


 なんて話をして。当然、五十嵐が荒ぶった。無言のまま、剣を大きく振り上げる。


「おっと、あっぶな~い☆」


 振り下ろされた剣を、ひらりと如月は回避した。五十嵐は目を丸くする。


「っ!?」

「ももちー、今、気配遮断したっしょ? ざんね~ん、あーし察知能力持ち~」

「こんの……泥棒猫! すーくんに色目を使うなぁぁぁ!」

「あはっ、こわ~☆」


 五十嵐が再び剣を振り下ろしたので、武宮は慌てて間に入り白刃取りした。


「待て、桃!? 落ち着いて!」

「すーくん、どいて。それに安心してほしいの。その女の首と大きな胸に穴を空けるだけだから」

「片方でも致命傷だから!? も、桃を世界一愛しているから! 子供の時からの付き合いだろ!」

「む……すーくんが、そう言ってくれるなら」


 むく~~~、と頬を膨らませながら、剣を引いた。

 その光景を見た工藤が肩をすくめた。


「こいつらなりの愛情表現なんだろうが、見ている方はやれやれって感じだぜ……」

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