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モンスターイーター ~ヤンデレ幼馴染の異世界料理を食べる日々~  作者: 音有五角
第二章 レアダンジョン「幽霊列車」編
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私とキス……して?

 夜。五十嵐はピンクのウサギ耳フードつきのパジャマを着て、この間ゲームセンターで獲得した黒いウサギさんのぬいぐるみを抱きしめながら、頬を膨らませて、むくれていた。カーペットの上で、ぺたりと女の子座りしながら、ジト目を向けてくる。うさ耳フードの下の顔つきは、なんだか鋭い。


「やだ。2人きりがいい」

「まあ、桃の気持ちはわかる。けど」


 武宮の部屋にて、2人は少しだけ揉めていた。

 というのも、武宮が工藤 蓮をパーティーへ加入させ、そこへさらにゲスト――野良募集を1人加えようという提案をしたのだ。


「ランクDぐらいで留まりたいなら、2人旅でも問題ないだろうな。けど、それ以上を目指すとなると、やっぱり4人……あわよくば、マックスの6人を揃えていきたいところなんだ」


 もちろん武宮達のようにソロ冒険者や、少人数での活動をする者もいる。

 だが、基本的にはそういったパーティーは上位ランクでの狩りは危険が伴う。

 やはり安全のためには、そして上位へ行くためには、仲間が必要なのだ。


「俺のトレースアーツも、桃の愛の手料理も、間違いなく上位を狙えるようなユニークスキルだと思う。地球のメシを遥かに上回るという、上位ランクのモンスターを狙うというのなら、強い仲間の力がほしい」

「うっ……」


 上位ランクのモンスターは、五十嵐としても狙いたいところだ。なので、その辺りを突かれると、あまり反論が出来ない。

 五十嵐の夢は、武宮に美味しい異世界料理を食べさせること。

 そしていずれは、それが最高のものであってほしいと考えている。そうすれば、ごはんが大好きな武宮をとても幸せに出来るから。

 そして武宮としても、大切な幼馴染の夢を叶えたい。今だって、毎日楽しそうに、そして幸せそうに愛たっぷりの異世界料理を作って、一緒に食べてくれる。そんな日常を守りたいし、力になりたいのだ。

 だからこそ、いつまでも2人きりの冒険というわけにはいかない。


「……わかった。いいよ」

「よし。じゃあ、ゲストの募集をかけるか」


 冒険者協会が提供しているアプリで、ゲストは野良募集出来る。

 特定のギルドやパーティーに所属しない冒険者……あるいは、別のパーティーとの戦闘経験の積み上げ。または、単純に気分転換などなど、様々な理由で野良募集のパーティーを探す冒険者はいる。

 レベルは同じくらいがいいので、10~15。

 携帯を操作し、そのくらいの条件で募集をかけた。


「でも、条件がある」

「なんだ?」

「私とキス……して?」

「っ!?」


 ベッドの上に座っていた武宮が、びくりと顔を携帯から上げる。うさ耳フードを被った五十嵐は、じっと真っ直ぐに武宮を見つめていた。


「いや……?」

「そ、そんなわけないだろ。けど、その、いきなりは」

「じゃあ、まずはハグして?」

「ハグだな。わ、わかった」


 五十嵐は立ち上がって、両腕を広げる。

 冷静に考えるとハグもかなりハードルが高いのだが、ベッドから降りて五十嵐をぎゅっと抱きしめた。五十嵐も伸ばした両腕を、武宮の腰へと巻きつける。


(やばい、やっぱ柔らかい……)


 パジャマ越しに感じる、女の子特有の柔らかな肌の感触。両腕で抱き寄せれば抱き寄せるほど、彼女が柔らかいのだと実感させられる。お風呂上りの温かい体温。お腹と胸の境界にムニュっと広がる、プルプルとした弾力のある膨らみ。その全てが艶めかしく、気持ち良くて背筋が甘くゾワゾワとした。


「すーくん、すーくん、すーくん。大好き、大好き、大好き。私だけのもの。誰にも渡さない。ずっとずっと私のもの」


 五十嵐が武宮の胸に、すりすりと頬ずりした。ぱさ、と被っていたうさ耳フードが落ちる。

 ドライヤーで乾かしたばかりの、ツヤツヤとしたピンク色のセミロングの髪が、甘い匂いを放つ。


「んっ、ぅぅ……すっごく、気持ち良い。ずっと、こうしていたい」

「も、桃……」


 五十嵐は抱きついた状態のまま、顎を武宮の胸に乗せて、とろんとした上目遣いをした。


「すーくん、チュ―は……? きっと、もっと気持ち良いよ……?」

「っっっ」


 トロトロに甘い声を出されて、武宮は体を離し背中を向けた。


「か、考えておくから。今日は、これで勘弁してくれ……」


 容姿端麗な女の子に言い寄られて、重いくらいの健気な愛を向けられて。それに答えるべきだと思う一方で、今の自分がそれに見合うのか、答えられるほどの器なのかと、疑問に思う心情もあった。


「えへへ、わかった。ゲストの件、これでとりあえずは満足してあげる。じゃあおやすみ、すーくん」

「ああ……おやすみ」


 ばたん、と扉が閉められる。緊張が解けた武宮は、ぼふ、とベッドに倒れ込んだ。


「心臓が張り裂けそうだ……」





 冒険者協会の中にて、待ち合わせをすることになった。工藤とは連絡先を交換したのだが、パーティーへ誘うと「オレを入れてくれんのか!? そいつは助かるぜ、よろしくな!」と嬉しそうに返事をしてくれたのであった。アプリの通知では、ゲストは1人マッチングしているので、今日は初の4人パーティーとなる。


「よう、お2人さん!」


 先に待っていた工藤が、人懐っこい笑みを浮かべながら右手を上げる。武宮も軽く手を上げた。


「おはよう。あともう1人来る予定だからな」

「おう。けど、意外だな。お2人さん、将来的には人集めるつもりなのか」

「まあ、いずれはな」


 とはいえ、狙うは上位ランクモンスター。質の良いメンバーでありたいところであった。


「長谷川達の件は解決しそうか?」

「ん? ああ。冒険者協会からは追放みてーだし、普通にお縄みてーだな」


 成功者どころか犯罪者。見事なまでの堕ちっぷりである。

 と、そんな会話をしていると――ゲストと思われる女の子が、3人へ話しかけた。


「――チ~ッス! パーティーリーダーの武宮 昴で合ってる感じ~?」

「え? あ、ああ」

「あーし、如月 姫花。今日はよろ~! イェーイ!」


 ウインクをして、ピースサインを逆手に出す、いわゆるギャルピースを女の子がした。

 金髪のセミロング。白い肌。ネイルがキラキラ光る指、首元に光る赤いネックレス。おヘソが見える、ブラウン色のクロップド長袖Tシャツに、ダメージのジーンズ。

 パーティーのゲスト……如月を見た3人は、同時に思った。


(((なんかノリノリなギャルが来た!?)))

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