幽霊列車、誕生
夜。フィールドの空には月が浮かび、辺りは暗くなっていた。
最初にそのダンジョンを目撃したのは――レベル30を超えた、中堅冒険者の6人パーティーであった。男女比は3人が男、3人が女性である。
年齢は二十代後半くらいで構成されていて、ステータス及びスキル構成は平凡。
昔は冒険者一本で、大金持ちになってやる! という気概があったが、今では飯を食っていければいい……くらいの熱意に落ち着き、Dランクダンジョンでコツコツ稼いでいる、というよくあるパターンの冒険者達だ。格下を狩っても経験値はあまり増えないため、己のレベルアップはもう年単位で見ていない。といって、これ以上の難易度の狩場やダンジョンに向かう予定は、彼らになかった。彼らは過去、パーティーメンバーを失った経験を持つ。そのことから、これ以上攻めようという気力は湧かないのだ。
そんな事情を抱えた6人は――偶然にも、それと遭遇した。
「なんじゃ、こりゃ……!」
空になにか飛んでいるな……と思っていたら、それは列車であったのだ。
それも、現実世界だったらトンネルを潜れないような、ひどくデカい列車だ。それが、まるで空に線路があるかのように、美しい線を描くように走っている。
そんな列車が地面へと降り、ぷしゅうううう、という音と共に停車した。
まだ遠い距離。だが、写真を撮るには十分。パーティーリーダーの青年、佐藤は携帯のカメラ機能を使って列車を撮影した。
「お、おい、逃げた方が」
そんな声がメンバーから上がる。
列車のモンスターなんて、聞いたことがない。
未発見のレアモンスターであれば、強さは未知数。
しかし。この辺りはDランクダンジョンがあり、出現するモンスターもDランククラスのため、レアモンスターとて出現エリアに沿ったレベルで登場する。
「もう少し近づいてみよう」
「やだ、大丈夫なの?」
佐藤の恋人かなにかなのか、彼の服の袖を摘まみ、心配そうに見上げる若い女性。佐藤はこくりと頷いた。
「この辺りはDランクだ。僕達のレベルなら、危険は少ない」
トラウマが出来たとはいえ――彼は冒険者。久しぶりの冒険感に、恐怖と高揚感を覚えていた。
パーティーメンバー達が頷き合い「一緒に行く」と決断。佐藤と共に列車へと近づいた。
だが、近づいても……なにも起きない。列車はとても大人しかった。敵意を感じない。
「なんだ……? っ!」
佐藤は息を飲む。近くへ行くとわかった。
列車の近くには、空間の歪みが発生していたのだ。
出入口。つまり――これは、ダンジョンだ。
「列車のダンジョン……? まさか、レアダンジョンか!?」
レアダンジョン。短い期間限定で登場し、消えていくイレギュラーなダンジョンだ。
だが、それにしたって――列車の、移動するダンジョンなんて聞いたこともない。
トンデモ現象もあるとされる異世界、フィールド。その一端を目の当たりにした気分だ。
「メッセージだけ見てみるか」
歪みに触れる。システムが彼らへ、このダンジョンのことを告げて来た。
『乗車条件を満たしていません』
「……?」
メッセージは閉じられた。その後、何度かゲートに触れるも、同じように『乗車条件を満たしていません』で終わり。
やがて列車は仰々しい音を立てながら再出発し、夜空へ向かって走っていった。
そして後日。突如として現れたダンジョン「幽霊列車」は佐藤パーティーによって協会へ報告され、協会は入場条件が不明なダンジョンとして告知をしたのであった。
☆
オマケ 第一章終了時のステータス
五十嵐 桃 18歳 女
レベル10
HP 621
MP 143
攻撃力 160
防御力 158
俊敏 134
魔力 169
精神力 148
スキル 剣術LV3 回復魔法LV2 探知能力LV1 気配遮断LV3 攻撃魔法LV2 愛の手料理EX
武宮 昴 18歳 男
レベル10
HP 526(+130)
MP 14(+135)
攻撃力 173(+265)
防御力 114(+75)
俊敏 59(+190)
魔力 14(+80)
精神力 80(+90)
スキル 斧術LV2 状態異常耐性LV1 スーパーアーマーLV4 トレースアーツEX
工藤 文也 18歳 男
レベル10
HP 660
MP 81
攻撃力 147
防御力 166
俊敏 182
魔力 79
精神力 155
スキル 格闘術LV3 アクセルLV1 騎乗LV2 獲得経験値上昇EX
基礎ステータス 比較
武宮 昴(合計値)五十嵐 桃 工藤 文也
レベル10 レベル10 レベル10
H 656 H 621 H 660
M 149 M 143 M 81
攻 438 攻 160 攻 147
防 189 防 158 防 166
俊 249 俊 134 俊 182
魔 94 魔 169 魔 79
精 170 精 148 精 155
第二章へ続きます。
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