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VSホーリーゴーレム

 常に新しいモンスター・レアモンスターを生み出すこの世界は、確認されていないモンスターが突如出現することも、稀にある。

 目の前にいる白いゴーレム――ホーリーゴーレムは現在、協会のデータベースには乗っていないモンスターだ。


「なら、ラッキーってやつだな」


 武宮が呟く。こいつも初喫食ボーナスの餌食になってもらおうと思った。

 ホーリーゴーレムが右腕を伸ばす。

 魔法陣が2つ浮かび上がり、聖属性の弾丸が2つ同時に放たれた。


「「「っ!?」」」


 詠唱時間ゼロの、魔法の弾丸が放たれる。さらにホーリーゴーレムはどっしりとした見た目と裏腹に身軽で、室内を素早く移動しながら、ドンドン弾丸を放っていく。

 さながら華麗な二丁拳銃を操るガンナーのようであった。

 3人は距離をとりつつ、攻撃を回避した。


「機動力ある上に、弾幕張るのか! 厄介だぜ、どうする武宮!? データにねぇやつ相手にすんのは、結構こえーけど!」


 工藤の言うことはもっともだ。下調べ不足で一度ツインコカトリスに苦戦した武宮達としても、情報なしの危うさは身をもって実感している。

 だが、こんなチャンスは逃したくない。

 もしもトレースアーツとしてコピーできる技ならば、同じ詠唱時間0に見えるため、先ほどのバレットシリーズのほぼ上位互換だ。2発同時発射は、扱いやすさと当てやすさが上昇するだろう。


「倒すさ! 動き早いのは厄介だけど、技の威力と弾丸のスピードはそんなに変わってない。さっきのゴーレムと比べて、ズバ抜けて強いってわけじゃない!」

「了解! んじゃいくぜ――アクセル!」


 張り切った工藤が、前へと踏み出す。

 ホーリーゴーレムが照準を工藤へと絞る。襲い掛かる弾丸。だが、自己バフスキルによって上げたスピードによって、美味く回避しながらホーリーゴーレムとの距離を縮める。


(工藤の早さは頼もしいな)

「くらいやがれ!」


 右ストレートを放つ。

 だが、ホーリーゴーレムは両腕をクロスさせ、拳を受け止めた。そしてその両腕を払い、工藤を吹き飛ばす。


「ぐわっ!?」


 地面を何度も転がる工藤。さらにそこへホーリーゴーレムが素早く放った聖なる弾丸が襲いかかり、大きなダメージが入る。

 明らかに先ほどまでのホーリーゴーレムより、動きと戦い方が強くなっている。パワーもかなり高いようで、工藤のパンチが通用しなかった。入れ替わりで武宮が距離を詰める。工藤のおかげで、すでに近くへ移動出来ていた。


「桃! 工藤に回復を!」

「うん!」


 ホーリーゴーレムが聖なる弾丸を早撃ち。武宮はそれを正面から、斧で一閃した。


「その程度の威力、吹き飛ばしてやる!」


 どごおおおおっ!!! と、弾丸が高い攻撃による一撃で消し飛ぶ。

 脳筋な突破方法によって、ホーリーゴーレムとの距離が縮まった。ホーリーゴーレムは戦闘態勢に入り、格闘戦に備える。

 刹那、武宮が左腕を伸ばした。


「トレースアーツ、起動――ステルス」


 発動と共に、その姿を消した。ホーリーゴーレムは武宮の姿を見失ったことにより、困惑。だが、止まったらまずいと判断して、素早い動きで闇雲に場所の移動だけをしていた。

 しかしそんな乱雑な立ち回りでは当然、捉えられる。


「ここだ!」

「っ!?」


 武宮が突如右横に現れ、斧を振り下ろされる。ホーリーゴーレムの右足が一撃で切り落とされた。どすん、と体勢が崩れ、隙だらけになった胸元めがけ、斧を再び振り下ろす。

 だが、ホーリーゴーレムもタダではやられない。カウンターとして放った左腕が、武宮の体を吹っ飛ばした。


「っ、結構なパワーだけど――俺もそれなりに強くなってきたからな。これぐらいは余裕だ!」


 空中で全身を一捻りし、すたりと床へ着地。足を破壊された状態でのパンチは、ホーリーゴーレムの全力を発揮できなかったようだ。

 事前にかけたスーパーアーマーによって、本人へのダメージはない。再び前へ駆けた。ホーリーゴーレムが再び聖なる弾丸を放つも、斧の一振りによって豪快に振り払う。悪あがきの如くさらにもう一発放とうとするが、その時にはもう距離を詰め、斧を振り下ろした。


「トドメだ!」


 重い一撃が、ホーリーゴーレムの胸へ深い切れ込みを入れる。

 意識をあっという間にもっていかれたホーリーゴーレムは、力を失いその場で倒れた。

 パーティーへ経験値が入る。レベルが上がったのは、レアスキル補正のある工藤であった。


『――工藤 蓮のレベルが10へアップしました。HP+69、MP+8、攻撃力+15、防御力+18、俊敏+19、魔力+8、精神力+17』

『――工藤 蓮の格闘術のスキルLVが3へ上がりました』

『――格闘術「ハイパーストレート」を習得しました』


 ハイパーストレート

 攻撃技。消費MP20。魔力により、重みを増した拳を放つことが出来る。


 武器の基礎スキル上昇によって、その系列の攻撃技を習得することがある。今回のスキルレベルアップによって、工藤は初の攻撃技を得た。これで大幅な火力アップが見込める。

 協会がこのダンジョンの推薦レベルを10以上にしているのは、この攻撃技の習得がおおよそそのくらいのレベルで見込めるからだ。これがあれば、道中のモンスターも含めて、パワー負けや戦闘時間の長引きを回避することが出来る。装飾品や装備で攻撃特化にすれば、武宮のようにワンパン撃破を狙うことも可能だ。そこまでいけば、戦闘の安全性はかなり高く見積もれる。


「あのモンスター1体でレベルアップか。ってことは、レアモンスターか? よく倒せたな、武宮のやつ……」


 パーティー内で経験値は分与されるが、工藤はレアスキルによって成長が早い。

 彼は早くも、この2つの戦闘でレベルが2個も上昇したようだ。


「おし。なんとかなったな」

「うん。さすが私のすーくん」


 武宮と五十嵐がハイタッチをする。ツインコカトリスの時と比べると、明らかに戦力が上昇していて、レアモンスター相手でもあまり苦戦をしなくなってきた。


「実物は初めてみたぜ。あれ、レアスキルの「インビシブル」だろ?」


 工藤が勘違いを口にする。

 しかし無理はない……というか、それが無難な判断であった。

 レアスキル「インビシブル」は「ステルス」とほぼ同等の性能であり、ほぼ同様のスキル内容なのだ。


「まあな。それと工藤、度々申し訳ないが……」

「またかよ!? いいけどよ……この時間は一体、なんなんだ?」


 工藤が離れ、耳を塞ぐ。

 五十嵐がホーリーゴーレムの体を切りとり、それを食べる。硬い食感と共にヒリヒリとした強烈な辛みがあって、インパクトの強い味がするタイプのお菓子であった。


「うおっ、辛い!」

「大丈夫、すーくん?」


 桃がアイテムボックスから水の入ったペットボトルを取り出し、差し出す。工藤はそれを受け取って、一口飲んだ。


「ああ。すごい辛い。動画配信者とか好きかもな、これ。激辛だ」

「そうなんだ……じゃあ、私はパス」

『――グルメリストにホーリーゴーレムが追加されました。初喫食ボーナス、HP+10、MP+10、魔力+10加算されます。さらにスキルポイントが1加算されます』

『ホーリーゴーレムの「ホーリーツインバレット」がスロットに追加されました』

『スロットの枠は5つまでです。外すトレースアーツを選択してください』


 ホーリーツインバレット

 消費MP4。詠唱時間0。小さな光の弾丸を2つ射出。クールタイムは1秒。


(ポイズンブレスでもいいけど、唯一の範囲技だしな。バレットシリーズのどれかを外すのが無難かな。どれでもいいが……ファイアバレットにするか)


 トレースアーツ一覧

 ポイズンブレス

 ステルス

 ウォーターバレット

 サンダーバレット

 ホーリーツインバレット


「さて、スキルポイントも貰えたか」

「おお~。どのスキルへ振るの?」

「とりあえず、LV4目指しているスーパーアーマーかな」


 スーパーアーマー LV2

 バリアの強度が、最大HPの20%→25%へ上昇。


「よし。もういいぞ、工藤」

「あ、ああ……」

「このホーリーゴーレム、美味いぞ」

「そうなのか? まぁ、ゴーレムは甘くて有名な異世界お菓子だからなぁ。じゃあ1口だけ……」


 工藤は素手で無理やり、体の一部を取って一口食べた。


「って、ぎゃああああ、めちゃくちゃ辛い!!! 痛い、痛い、痛い!!! おいおい、美味くねーよ、罰ゲームみてーな味じゃねーか! 騙したな、この野郎!」

「まだいっぱいあるぞ」

「鬼か! ぜってー無理だから! 激辛チャレンジとか、そのレベルだぜ、これ」


 工藤がふーふー鼻息を荒くしながら、自身のアイテムボックスから取り出したペットボトルで水を飲んだ。

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