3話 朝マズメ
グッドモーニング!と言いたいとこだがまだまだ朝の4時だ。あまり騒ぐとソラに怒られてしまう。
布団の中から木の天井と照明が見える。窓を見ると、空が少しずつ明るくなりはじめていた。
この世界はやはり現実だ。できれば夢であってほしかったが快眠オブ快眠なので良いとしよう。
そういえば、ソラの寝返りや寝言が聞こえないと思い横に振り向くとソラがいない。
蒼「え、どこ行ったねん!」
私は驚きつい素が出てしまった。私はすぐに服を着替えて、居間をみたが誰もおらず、どの部屋にも誰もいなかった。
蒼「え、ほんまにどこに行っとんねん…」
嫌な汗が頬を伝う、昨日のウミネコの話もあってかとても不安だ。
蒼「外にいるかもしれん」
外は徐々に明るくなり、海と空の境目が赤くなっていて、港には磯の匂いが漂っていた。港を見てみると、案外すんなり二人を見つけられた。
二人は釣りをしていた。
蒼「何してんの?」と私は怒り気味に言った。
ソラはこっちを振り向き、
ソラ「あ、ごめんごめん、ぐっすり寝ていたから起こしたらまずいかな〜って思って」
「マガモさんに『朝マズメだから久々に釣りでもしようやぁ』って誘われたんだ」
蒼「朝マズメ?」
マガモさんがこっちへ振り向いた。
マガモ「朝マズメっていうのは夜明けから日の出の時間で魚がいっっっち番良く釣れる時間なんだよねぇ」
マガモさんのバケツの中には10匹ほどの魚が入っている。
マガモ「あんたも釣りをしてみるかい?」
マガモさんに釣りをしないかと誘われた。
釣りは初めて経験するが、前から少し興味があったのでとてもワクワクしていた。
蒼「やります!でも初めてですが大丈夫なんでしょうか?」
マガモ「そうかい、なら「延べ竿」をあげるよ」
そう言い、マガモさんは家に戻っていった。
海の中を見てみると何匹か魚が泳いでるのが見えた。潮風は肌を撫で、朝日が気持ち良く感じる。
数分経った頃マガモさんが長い棒を持ってこっちへやってきた。
マガモ「あいよ、これがあんたの「延べ竿」だ」
マガモさんから「延べ竿」というものを渡された。私が想像していた釣り竿は糸を巻くやつが付いてると思ったが、見たところ、これは何の変哲もないただの長い棒だ。
マガモ「少し待ちな、仕掛けのつけ方を教えるよ」
マガモさんは釣り糸の輪っかの部分に親指と人差し指を入れ、器用に指を下に回して二つの輪を作った。その後、二つの輪を重ねて一つの輪にして、木の棒の先っぽにくぐらせた。そして、輪の下の糸を閉めた。
蒼「これで完成ですか?」
マガモ「いや、まだ完成ではない。」
マガモ「針とウキ、オモリをつけないといけないからねぇ」
マガモさんはさっきの釣り竿の糸に、小さいゴムのような物を通した。その後、小さいゴムのようなものに大きなウキを差し込んだ。その少し下の部分に、オモリ?だろうか。マガモさんはオモリの隙間に糸をいれて、マガモさんは慣れた手つきで、それを口に挟みこみ、ガリッとオモリを潰してしまった。
蒼「潰しちゃうんですか?」
マガモ「こうしないとオモリが外れちゃうからねぇ」
次に糸の先を針の穴に差し込み、上に5回ほど糸を巻き付けて、下の輪に糸をくぐらせて、糸を締めたら、余った糸を切った。
マガモ「ほら、できたで」
そう言いマガモさんは私に釣り竿を渡してきた。
蒼「え、どうやってやるんですか?」
マガモ「あぁ、釣り針にこのエサをつけて、すぐ下に優しく落とすんだよ」
マガモさんは釣り竿を私から受け取り、針に虫をつけて、海に優しく糸を垂らした。
椅子に座り、少し待ってみると、急にウキが下に沈み、糸がピン!と張った。私は釣りにものすごく興味が湧いた。
掛かった魚が泳ぎ必死に針を外そうとしている姿と釣ろうとしているマガモさんの姿に美しいとまで感じてしまった。
マガモ「かかったねぇ!」
ついにマガモは魚を釣りあげてみると、目がビー玉のように丸くて黒かった。上ヒレがトゲトゲして、若干茶色がかった魚が釣れた。
マガモ「お、これはメバルだねぇ」
「お刺身でも美味しいし、ぶつ切りにして鍋でも美味い!」
マガモさんは手袋をつけた手でメバルを掴みバケツに入れた。
マガモ「やり方はもう大丈夫かい?」
蒼「多分大丈夫です」
マガモ「そうかい、針が取れたらまた呼んでくれ」
そう言いマガモは5メートルほど先で釣りをしに行った。
釣り竿を返してもらい、私は釣りの準備をする。針にムニュムニュとしたエサをつけた。まだ動いているエサを見て、少しだけ顔をしかめる。釣り竿を海に向けて、糸を垂らす。
蒼「さあ、初めよう!」
私は初めて釣りをする。




