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蒼天の羽  作者: に
第一章 廻り・招かれて…
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1話 廻り・開き

「………え?」


 パーカーの袖で目をこする。目を覚ますと、見知らぬ砂浜が広がっている。

 

 波はゆらゆらと揺れ、塩の匂いが鼻をつく。辺り一面の砂は雪のように真っ白でさらさら。


     「ここどこやねん!」


 目が覚めたら急に砂浜の上なんて某無人島番組やアニメのような状況に思わず困惑した。


「え、あ?え、私打ち上げられたんか?」


 私は唖然としたが、気を取り直し砂浜を進む。


ザクザクザク


 周囲を歩いてみると壊れた車やテレビが落ちていた。見てみると随分と古いブラウン管テレビや冷蔵庫があり、一方で、私の知らない機械も打ち上げられていた。


私は違和感を覚えた。なぜこれほど大きなゴミがあるのに処理されていないんだろうか?と。


そのとき、上を見上げるとガードレールやコンクリートの道路が見える。


「上に行けば誰かしら人はいるやろ」


 私は少しほっとした。建造物があるということは人間がいる、もしくは人間がいたと考えられるからだ。



 私が上を目指して歩いていると、人影が見えた。


「あのーすみませーん」


???「誰?」


そこには短い白髪で大きな銛を携え、そして青い海のように美しい瞳を持った「人」がいた。


 その人は私を見て眉をひそめた。それもそうだろう、私の髪は生まれつき、藍色だ。それにパーカーとズボンを着ていて、外ではあまり見ない服装である。



「急に話しかけてすみません、目が覚めたらここにいて……」


 私はおろおろと説明しながら、まずこの場所について尋ねてみた。


「ここがどこなのかわかりますか?」


???「ここは「アマズモ」って言う場所だけど…」   


 私はその場所の名前を聞き覚えがなかった。私がその場所について聞こうとしたとき、その人はあることを問いかけてきた。


???「君、名前は?」


蒼「私の名前は蒼(あおい)っていいます!」


蒼「あなたは何でここにいるんですか?」


???「俺は少し依頼を受けてね……」


???「君はなんでこんな場所に?どこから来たの?」

白髪の人物は首をかしげた。


蒼「気がついたらここにいて、どうやってここについたかもわからなくて」


蒼「どこから来たのかってそりゃぁ…」


蒼「……わからない、いや覚えていない?」


 私は記憶がなくなっていることに気づいた。記憶喪失といっても、すべてを忘れている訳ではない。自分の名前や好きな物は覚えている。けれど、自分の家や住んでいた場所、ここまで来た経緯が思い出せない。



 戸惑う私に白髪の人物はある提案を出してきた。


???「あのさ!」


???「俺と一緒に行動しないか?この辺りの道には結構詳しいし、道案内もできると思う。それに」


???「もしかしたら君の帰る手がかりになるかもしれないからさ」


 私は初対面の相手に一緒に行動しようと言われ少し警戒したが、話しかけたのは自分だし知らない場所を一人でウロウロするよりは知ってる人と一緒にいた方が合理的だと考え、私はその提案を承諾した。


 数十分歩いたころだろうか、道路に上れる大きな階段を見つけた。階段を上りきった時、驚いた。


 崩れた建物や、廃墟となった家が多く、もう何年……いや、下手したら何十年、何百年も使われていないであろう建物が並んでいる。


蒼「…ねぇここっていつからこんな感じなの?」


???「いつからって俺が来る前からずっとこうだったよ」


白髪の人物は答えた。



 白髪の人物に対し私は今まで考えていたことを聞いた。


蒼「ごめん、聞き忘れたことがあるんだ」


???「何だい?」


蒼「今はどこに向かっているの?」


???「えーとね、多分もう少し進めば見えると思うけど…」


 階段から少し離れた場所まで進んだ時、あるものが見えた。私は一目見た瞬間それを怪異だろうと理解した。


蒼「……沈んでる?!」


 高層ビルやマンションなどの巨大な建物が海に沈んでいたのだ!しかも、建物は倒壊しツタも垂れ下がっている。


 その中でも、遠くからでもはっきりと見えるほどに大きなビルがあった。周囲の建物とは違う、言葉にはできない異質な何かを放っていた。

都市は崩壊しているが、いくつかの建物の頂上には光っているものが見える。


私はこの世界に対して恐怖か、驚きか、または畏怖かそんな感情に襲われた。


 私は今、完全に理解した。ここは普通の世界じゃない。


海に沈んだ都市……異世界だ。


 その時、あるものに気づいた。


蒼「あの真ん中の一番高い場所で光ってるやつってなんだ?」


???「あそこが目的地の「タワー」だよ」


 どうやらあの高い建物の名前は「タワー」と言うらしい。

タワーはいくつかの高い建物に囲まれていて、その中央にあるタワーは圧倒的な存在感を放っていた。


???「あのタワーが光ってるのってなんか怪しくないか?って思って、多分君がここに来たのにも関係があると思うんだ。」


蒼「それはなぜ?」


???「それは……」


         「勘!」

蒼「勘って……」


こいつ、意外とポンコツなんじゃね?


???「でも、あれ以外手がかりがないんだよね」


???「まあ、とりあえず何を探すにも「船」を借りに行こうか」


蒼「船?」


???「この世界は海に囲まれているだろ?だから移動手段として船が必要なんだ」


蒼「なるほどね、あと、ここらへんあんまり人がいないね」


???「まあ、もうすぐ行く港には人がいるよ?でも」


蒼「でも?」


???「ちょっと癖のある人だから、まあ、気にしないであげて」


 そういえば一番大事なことを聞きそびれていた。


蒼「君の名前は?」


???「名前?あー俺の名前は……」


ソラ「『ソラ』って言うんだ」



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