集結する戦士たち。
「そうか。無事に聖女の試練を越えたか」
国に戻った私たちを、国王は優しく迎えてくれた。
最初にここへ来た時の様子とは大違いだ。あの時は本当に試されていたんだな。
ひとまずの報告を済ませて、私たちは街の宿屋で休むことになった。
ああ。やっとベッドで寝れる。とりあえずはすぐに寝よう。
「そうだ、君たち。少し前にヴェルオールから知らせが来ていてな。全軍が到着するまで、もう数日かかるとのことだ。それまでは我が国でゆっくりするがよい。おそらくこれが、決戦前の最後の休息となる」
なるほど。もう何日かは寝られるということか。
そうと決まれば、ベッドの上で食べられる食料も買い込んでおこう。
* * * * *
一週間が過ぎて、街には続々と戦士たちが集まっていた。
私たちの故郷、火の国。旅をして回った水の国、雷の国。別の部隊が回っていた、風の国と土の国の人たちもいる。
そして今、私たちがいるこの氷の国。すべての勢力が合わさって、魔物の領地へと攻め込むのだ。
決戦の地への出撃は、もう間近に迫っていた。
私はというと、この一週間ぐうたらを十分に満喫した……、ということはなく……。
何かにつけて王宮に呼ばれていた。
「兄弟子の言うことは聞くものだ」
王様はその謎の権限を使って、何度も私を呼び寄せた。
そしてたまに手合わせなんかもさせられて、なんだか無駄に疲れてしまった。
一国の王様に本気で戦えるわけなんてないが、それなりに手加減はしたものの、王様はその見た目の通り強かった。
さすがカタリナの訓練を受けただけのことはある。
こうして私ののんびりタイムは、ぐうたらに活用することなく終わったのだった。
「待たせたな、ラグナ君」
「ミラさん!」
声の方を見ると、そこには我らが生徒会長の姿があった。
「会長おおおおお!!!」
どこからか、クライブがすごい速度で走ってくる。
「副会長。苦労をかけたな」
「いえ! もったいないお言葉です!」
生徒会長に会えて、クライブはとても嬉しそうにしている。もう暑苦しいぐらいに暑苦しい。
それにしても、心強い人たちが来てくれたものだ。きっと他の生徒たちも一緒に来ているのだろう。
「また色んな国を周って大変だったんじゃないですか?」
「いや、君たちのほうこそ。先行してもらってすまなかった。それで無事に試練は終えたのか?」
「はい。もうばっちりです!」
「そうか。君たちなら大丈夫だと思ってはいたが……、それでもよくやってくれた。みんなも君たちに会いたがっている。この後一緒に行こう」
王様への報告をしに行ったミラを待って、その後私たちは学園のみんなと合流した。
「おお。ラグナ、生きてたか」
「ベジタボ! みんなも」
遠征してきた生徒の中には、友人たちの姿もあった。
それにしても多い。学生の半数以上は来ているのではないだろうか。
それに加えて各国の戦士たち。
これ……、この国に入り切るの?
ここまで遠征してきた戦士たちの疲れを癒すため、これからまた数日が休みとなった。
偉い人たちは、その間に魔物たちとの戦い方を決めるらしい。
ということは……、ここからは本当にゴロゴロタイムだあああ!
私はダッシュで宿屋に戻って、ベッドの上に転がり込んだ。
「はあああ。至福ううう」
ふかふかに包まれて、私は秒で眠りに落ちたのだった。
「おい、ラグナ! 訓練に付き合え!」
だがすぐに起こされた。
「あのー、会議に出ないんですか?」
「あんな退屈なものに出ていられるか!」
勢いよく入ってきたヴァンに掴まれて、体ごとズルズルと引きずられていく。
服を引っ張るよりも、ぜひ手を握ってほしい。
「おわあ」
訓練場のような場所に連れてこられた私は、思わず声を出してしまった。
目の前には、予想外に多くの人がいた。
「時間が惜しい。お前がみんなの訓練を指導しろ」
「えええ。そんなの無理ですよ! 自分人に教えるとか苦手ですし」
「グダグダ言うな。悔しいが、今はこの中でお前が一番訓練されている。その方法を伝えればいいだけだ」
そんな簡単に言われても……。こんな大勢の前で話をするなんて恥ずかしすぎる。
おや? あれは――。
「ほわあああ!!」
フィンレー、ディラン、ファーガス、ヒューバー、マルセス、ランディー、他にも色々。
攻略対象のメインキャラクターが、全員集合だあああ!!!
なんてこと。こんな光景、今まで生きてきて初めてだ。初めてだあああ!
目の前にはイケメンの津波。最高の光景。転生してよかった。
「お前……、大丈夫か?」
「はっ!」
気付けばみんなが変な目で私を凝視していた。




