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充実してきた学園生活。

 入学から半年以上が経ち、徐々にだが私の学園生活は充実し始めていた。

 当時からいる数少ない友人に加え、周りには知られてはいながアメリアといった趣味友ができたことが大きい。

 そして何より、私は最近モテているのだ。女子に……。


 要因はいくつかあって、特に生徒会長であるミラからの信頼が厚いという部分が強い。

 ミラのパーティーに入ってダンジョン攻略をする機会は、あれからも何度か訪れた。


 控えめにはしていたが、都度それなりの成果を出していたので、学園内でもじわじわと私の存在が知られていったのだ。

 今では上級生からもよく声をかけられる。幸い上級生の人たちは、クラスメイトとは違って普通に接してくれるのでありがたい。


 そしてもう一つの要因は、どうやら私が他の男子よりも優しい人に見えることらしい。

 なんとなくだが、この世界は男の立場が高い傾向にある。そのため、態度の大きい男の割合が比較的多いのだ。


 おそらくゲームの設定も影響しているのだろう。

 超絶イケメンである攻略対象のメインキャラたちの多くが、そういったタイプで構成されているゲームだからだ。


 もちろん普通の性格のキャラもいるのだが、やはり俺様タイプのキャラのほうが多い。

 そんなキャラが、親密度を上げるごとにマイルドになっていく姿にキュンとする。それが主人公だけに見せる姿という部分にも、やっていて心がゾクゾクしてくるポイントだ。


 だがそれは、ゲームでの話。

 それが日常的に繰り返されると、人は何となく疲れてしまうらしい。イケメン溢れるこの世界の女子たちはみんな、そんなに男子に対してそこまで盛り上がっていない。

 私はヴァン様たちが、終始そんな態度でも大丈夫なのだが。


 問題は他のキャラたちだ。世界観がそんなだからなのか、他の男子たちも高圧的な人たちがいる。

 さすがにそれは、仏の心をもった私でも少しイラっとする。


 そこにきてこの私だ。

 私自身は普通にしてるつもりなのだが、そんな態度が他の男子と比べて優しいのだとか。


 加えてこのイケメン具合だ。

 気持ちは分かる。まあ、そんなの私だって惚れる。


 そうして私は、学園内で上位のモテキャラへとランクアップしていったのだった。

 ただし女子に……。


 間違ってはないのだが、どうしたらいいか分からない。

 嬉しいは嬉しいのだが、私にはどうすることもできなかった。


 学園内での知名度が上がるのとは反比例して、私のクラスでの評価は益々低まっていった。

 みんなあいつに騙されてる。誤魔化すのは得意な奴だからな。騙すスキルは一流。そんな事を、クラスメイトたちはヒソヒソと話しているのだ。


 ただ、最初からそんな感じだった気もするので、さらにダメージを受けることはなかった。

 悲しいけど……。


 なにより悲しいのは、ヴァンのパーティーに誘われなくなったことだった。

 初めての実地訓練から、課外授業は何度か行われた。


 しかしあれ以来、ヴァンから誘われることは無かった。

 仕方なく私は、ベジタボたちと一緒に授業を受けたのだ。一度離れても仲間に入れてくれた彼らには、もう感謝しかない。


 私はアメリアの言葉を思い出した。

 ヴァンの聖女に対するこだわり。私は知らず知らずのうちに、彼が憧れていたポジションを奪ってしまっていたのだ。


 代われるものなら代わりたい。

 でも、人の心はそんなに簡単ではない。これは、選択肢一つで変わるゲームではないのだから。


「ラグナさん、具合どうですか?」


 アリスがそう言って、私の部屋にやってきた。

 私はそれを、ベッドで横になったまま迎える。


「大丈夫です。わざわざすみません」

「あ、寝ててください」


 体を起こそうとした私を、アリスが慌てて押さえつけた。

 そうして横にあった椅子に、アリスはゆっくりと腰を下ろす。


「まだ熱ありますか?」


 心配そうなアリスの顔。

 そう。私は風邪をひいてしまったのだ。


「うーん、どうだろう。もう大丈夫だと思うんですけど」


 アリスの指が、私の額に触れた。

 冷たくて気持ちいい。私の体から、力がゆっくりと抜けていく。


「まだ熱いじゃないですか」


 アリスは少し困ったような顔をした。

 そんなに熱いのか? 自分では分からない。体温計があればいいのに。


 そういえば、異世界に行った人が現代知識で無双するって話あったな。

 ああいうの本当に出来るのだろうか?


 少なくとも私には出来ない。体温計という存在は知っていても、作り方が分からないのだ。

 欲しいもは他にも色々あるが、発明したりなんて出来るわけがない。そんなことが出来る人は、きっと元の世界でもすごいんだろう。


 一般人が異世界に来ても、なんのアドバンテージもないなと思った。

 私はこの世界が、たまたま自分の知っているゲームの世界だったのが救いだ。


「はやく元気になってくださいね」


 優しい笑顔でアリスが言う。

 なんて癒される笑顔だ。天使の様だ。聖女ではなく聖母だ。百パーセント優しさで出来ている。


 頭がぼーっとして、なんだかよく分からないことばかり考えてしまう。

 この世界は魔法で傷を治したり出来るのに、なんで風邪を治す魔法は無いのだろう。

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[一言] go alice .. Ragna 無意識のうちに he(her) herlem を作成しています...それでも私は team alice です
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