40
意識を飛ばす。
もっと、薄く遠く。
無意識下での戦闘へと移行する。
神(笑)と戦うのだから、理性を保ったままでいられるわけがない。
むしろ、何も考えず本能のままに……
流血を厭わない。
負傷を厭わない。
非日常を厭わない。
今の俺には、ただ"勝利"の結果さえあればよい。
それで俺は、救われ──
「……そこだな」
フレイの刺突が飛ぶ。
それを俺は体をひねってかわす。
そこからの薙ぎ払い、斬り上げからの斬りおろし、踏み込み斬り──連携技。
俺はそれら全てを紙一重でかわす。
しかし、とてもフレイの攻撃とは思えぬ威力。
防いだ剣の重さが段違いだ。
だが──イザナミのものに比べればこんなのはチョロい。
「……悪いな、すぐに決めさせて貰う。俺の手で」
ピキン‼︎
空間に亀裂が走る音がする。
思わず、意識が覚醒する。
この音は、フレイの異能、『空間隔絶』。
だが、このタイミングでこの異能とは、一体どんな意味が……?
しかも、音はしたが、どこにも隔絶されている空間なんか──
「ッッッッッッ‼︎⁉︎⁉︎‼︎⁉︎」
確かに、空間は隔絶されていた。
俺の、肩口から腰にかけて。
「お前の体を、空間ごと分断した。再生不可能なほどにな」
「……~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~‼︎‼︎‼︎」
直後、血の海を見た。
凄い出血量と痛み。
「 」
声も上げられず、倒れ込む。
「 」
頭から倒れ込んだため、視界は確認できない。
だが、感覚だけで、俺の下半身がまるごと無くなっているのがわかる。
……これがッ、タガを外した、フレイの本気……ッ‼︎
「……」
フレイは、黙って俺を見下ろす──いや、見下す。
おそらく、隔絶された空間は元に戻っただろうが、それで俺の胴体も戻る道理などない。
俺はフレイに足蹴りを喰らい、無様に上半身だけゴロゴロと転がる。
「 」
意識が飛びそうだ。
死は近い。
──〔復讐は?贖罪は?友情は?おい、どうした?〕
……思考を停止させたい。
脳がうるさすぎる。
血なんかまともな量ないってのに、こういうときは思考は明瞭なんだな……
フレイは剣を持ち上げ、夜空の光を受けて輝くその切っ先を俺に向ける。
「……すまないな。これが俺なんだわ」
そこには謝罪の念など全くない。
表面だけの、冷え切った言葉。
──懺悔?
今さら、そんなもの───
燃えろ。
俺の体。
たかだか下半身がなくなったくらいで戦えないわけじゃなかろうな?
……いや、再生させればいいだけの話。
それなら、俺の───
急速に体が燃え上がる。
まるで、体の芯に眠っていたものを呼び起こすかのように。
力がみなぎってくる。
飛びかけた意識が段々とはっきりしてくる。
「 」
「 ‼︎」
俺は、微かに光の灯った右腕を動かし──
直後、突き刺さる剣。
「 」
微塵ほどはあった俺の体力と意識は、ここで尽きた。
ここでの「」内の空白は、表示上短くなってますが実際は「・・・・・・・・・・・・・・・・」
この点の数ぶんぐらいの空白があります
よみ辛くてスミマセン




