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赤鎧之猫

獲物を見つけたのは太陽が真上を過ぎた頃だった。





初めて見る獲物だ。

姿は二又の猫、ケット・シーの同類か?しかし、全身を赤い鎧で包んでいる。

周りには自分たち以外の他の魔物は見当たらない。すぐさま仲間に合図を送る。


『───、────』


自分たちの出す声には他の生物には聞こえない特殊な『声』があるらしい。詳しくは知らないが自分達が出すこの『声』は確かに仲間以外に通じた事は今までにない。それだけで十分だ。

自分達はこの『声』を使い集団で獲物を狩ってきた。

今回の獲物は食うところが少なそうだが、なんせ初めて見る獲物だ。どんな味がするか楽しみだ。


『──、──』

『───。──』

『──。──、───』


リーダーからの返事も返って来た。後は隙を伺いリーダーの合図を待つだけ。

その間、自分の武器である爪と牙の調子を確かめて問題がないことを確認する。



『────!!』


合図が来た!





クロガネ様の勅命により食料となる獲物を探索していると草むらから魔物が数匹飛び出してきた。


『≪照合≫』


【名前】レッサーコヨーテ

【解説】

メルキオール大陸の各地で確認される魔物。主に四、五匹の集団で行動する。


【名前】コヨーテ

【解説】

メルキオール大陸の各地で確認される魔物、レッサーコヨーテの上位種。主に集団で行動するレッサーコヨーテを統率する。


『レッサーコヨーテ…カ。久シイナ。数ハ五匹。ン?一匹ハコヨーテカ。』


この時代にもまだ残っていたのか。そう思うと感慨深い。

さて、本来の姿なら拳一つで終わるがあの姿だと手加減が効きにくい。それだとクロガネ様の糧を確保することができない。

…成程、その事を考えてこちらの姿で向かわせたのですか。ご慧眼感服します、クロガネ様。

そうなるとどの様に狩るとするか。


『ガァルル!』

『ガァッ!』

『グルァ!』


前方に二匹、後方は一匹。

その奥にコヨーテ──おそらくはリーダーとその横に一匹。

では、始めようか。





やばい。

やばい、やばい、やばい、やばいやばいやばいやばいやばいやばい!


リーダーの合図に合わせて草むら奇襲を行い獲物と思っていたモノ、ソイツと眼が合ったその瞬間、


焔球ホムラダマ


相棒が火の玉に包み込まれ、一瞬にして黒い亡骸に変わっていた。


『……加減ヲ間違エタカ。灰ニナッテシマッタナ』


今まで獲物と思っていたソイツが後ろを振り向くと


火玉カギョク


仲間がまた火に包まれた。


『フム、今度ハ成功シタナ』

『─、───!』


その瞬間、リーダーが撤退の咆哮を挙げる。すぐさま転身し全力で逃げる。


『グギャァァァァァァァ………』


背後から聞こえる声、リーダーの断末魔と思わしき咆哮を無視し全力で駆ける。

全身を小枝で傷つけながら駆ける。

血塗れになりつつ駆ける。

仲間を残して駆ける。

恐怖を感じて駆ける。

ただ命が惜しいから駆ける。

そして、この先にいる仲間に危険が迫っていることを伝えるために駆ける。

その先に、





『逃ガスハズガナイダロウ?』



地表に浮く無機質な青い魚がいた。





『一匹逃シタカ…』


しかし、目的はあくまでも皆殺しではなく食料の確保であるからほっといてもいいだろう。

戦果はコヨーテとレッサーコヨーテの丸焼きが一体ずつ…か。


『問題ハクロガネ様ノオ口ニ合ウノカドウカ…カ』


………。

左右確認、前後確認。

………カプ。

モグモグ、ゴクン。


65点。

臭みが強いので減点だ。

…しかし、命を奪ったのだから口をつけたコヨーテは喰らうか。

レッサーコヨーテは灰に還すとしよう。


焔球ホムラダマ





イグニス

【種族】神が創りしモノ 神造・赤鎧之猫

【ランク】S

【ステータス】

神が創りし動く鎧〈四精領〉の一領、赤鎧の分体であり写し身。

???、???、猫又を核としている。


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