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盗賊壊滅

暖かな陽光が大地を照らす。

青々と茂る木々の間を清らかな風が吹き抜けていく。


そんな中、


黒鎧の頭部、その黄金色の眼に魔法符が貼られた矢が突き刺さる。


「ハァ…ハァ…あははははは!ザマァ見ろ!この化け物が!解放!『爆発死散エクスプローション』!!」


瞬間、黒鎧の隙間から閃光が漏れだした後、轟音と共に生み出された大量の土煙が辺り周辺に撒き散らされ味方と敵を飲み込んでいく。


「やった!流石リーダー!」

「これで後は二人だけだ!」

「気を付けろ!片方はさっきの奴、黒いヤツと同じくらいの化け物だぞ!」


土煙の中から聞こえてくる部下たちの声。その声には後少しで勝てる、そんな感情が滲んでいた。

しかし、矢を放った男──セドリックは全身から脂汗を垂らし、ただ眼の前に起きた現実を認められずにいた。

大量に撒き上がった土煙。

そう土煙・・だけ。いつもならそこに爆炎が舞い上がるはずだ。

それに閃光が輝いた瞬間、信じられないことにあの黒鎧は矢を引き抜こうとしていた。

…何故、頭部に致命傷を負った状態で動ける…?

まさか、あの化け物はまだ──


『ざぁぁぁんんんんねぇぇぇぇん』


声と共に飛来してきた矢は寸分違わずセドリックの足を地面に縫い付ける。


「ッ!くそっ!何でアレで死なねぇんだよッ!」

『…もういいか。これ以上時間をかけるのもなんだしさっさと終わらせるか』

「………は?」

『目覚めてから戦闘経験は全くないから…ん?セシリアとしたか。まぁ、手頃な相手が来た!って思ったけど歯応えがない。まぁ、目覚める前に自分自身どんな戦闘してたか知らんけど』

「なっ!?」


今こいつはなんて言った?

仮にも王国ホルから危険視されている俺たちにこいつはなんて言った?


「ふざけるなッ!貴様ッ……」

全顕在化(フル・リアライズ)神造・巨人之鎧〈火〉イグニス


何かの詠唱が聞こえた瞬間、黒鎧の腕輪─その赤い宝石が輝き…


『クロガネ様、御命令ヲ』


顕現するは天を衝く巨大な赤鎧。


『Burn。焼き尽くせ』

『御意』


聞こえてくる無情な宣告。

振りかぶられる巨大な拳。その拳に纏わり始まる紅蓮の焔。


「ちょっ!待って下さい!まだ…」

『カナデ様は私の後ろに』


迫りくるその拳は、その光景はあまりにも現実離れしていて──


『我等ノ主ノタメ二燃エ尽キロ『炸裂バースト・手甲ガンドレット』』


それが騎士崩れの盗賊、セドリックが聞いた最後の声であり、同時に彼が率いる王国を騒がせていた盗賊団の一つ『咆哮する幽鬼ムオーデル』が壊滅した瞬間だった。






えー、現場のクロガネです。

今、私の前には赤熱しドロドロとした地面がまるで巨大な拳によって殴られたように陥没しています。その周囲の木々はまるで爆風に煽られた様に見るも無残な様子を表しています。

『いかがかな?我が≪契約者≫よ、世界の神秘を感じるだろ?まさにmysterious!』

「…私が求める光景はこんな光景じゃないです…」

『そうかーやっぱ違うかー。違うと思ったもん、俺』





さて、気を取り直して現状をおさらいしよう。

三日前、俺達は冒険者ギルドで些細な問題を起こしてしまった。


「正確にはクロガネさんが起こした問題ですし、集団気絶を引き起こすのは些細で済むような問題じゃないですよ?」


起きたことはしょうがない。この事実を受け止めて俺はまた少し成長できたと思う。

だが、俺がいくら真摯な気持ちで受け止めても世間の目は厳しく、当たりが強かった。


『クロガネ様、周囲のほとんどは気絶していましたし、その問題自体はギルド内のみでしたんで世間と言うには大げさなのでは?』


そこで俺はハg─Mr.バドルフに会いに行き、事の事情を説明した。Mr.バドルフは快く相談に乗ってくれた。


『正確ニハ呼出シデシタガ』

『相談トイウ事実モアリマセンデシタネ』


途中セシリアを諌めることもあったが、この時私に天啓が降りてきた!


『………天啓?』

『アハハ!戦乙女怒ラレテルー!痛ッ!?アァ!僕ノ頭ガーー!』


すなわち!カナデとの|契約(望み)、世界の神秘を見に行こう!と。





『いやー、それにしても盗賊が襲ってくるとはなー。物騒だな、世の中。怖い怖い』

「その盗賊を返り討ちにしといて何を言ってるんですか…」

『襲ってきたのはアイツ等だ。俺は迎撃しただけ。私、悪くない』

「…」

『その通りですね』

「……」


何故かカナデがスゲー睨んでくるが、無視する。


『さて、村を出てから三日たったわけだが、遭遇したのは魔物が数匹、商人が二人と盗賊団が一つ。…あまりenjoyしきれてないな…』

「正直、Bランクのエアレーの群れに出会った時はどうなるか不安だったんですけど……」

『あの程度では敵にならないですね』

『あれは何気に旨かった』


鹿っぽい体に猪みたいな顔がついており、角がグルグルと回る不思議な魔物だった。

鹿みたいな姿のくせに豚肉のような味がした。いや、猪肉か?

やばいな、考えたらまた串焼き喰いたくなる。


『次の村まであとどれぐらいだ?』

「おかしいですね。本来なら次の村には既に到着してるはずなんですけど」

『そうなの?』

『申し訳ありません、クロガネ様。私たちは≪伽藍遺跡≫を出るのは初めてなので残念ながら存じ上げておりません』

『えー。『頭部顕在化(パーツ・リアライズ)神造・巨人之鎧〈土〉テラ

『ゴ用件ヲ、我ガ主』


出現する1m前後の茶色の兜。その縁を掴む。そして、構える。


『ドウナサイマシタ?』

『ちょっと先を見てこい』

『ハイ?』


ブオン!ゴシャッ!


『あ』

「うわぁ…」

『見事に突き刺さりましたね』


地面に対して斜め45度の角度で陥没する兜。


「……」

『……』

『……。『頭部顕在化(パーツ・リアライズ)神造・巨人之鎧〈風〉ベントゥス

『ン?ドウシタノ、マスター?』


出現する1m前後の緑の兜。その縁を掴む。そして、構える。


『ン?何カ嫌ナ予感ガスルヨ?』

『ちょっと先を見てこいver.2』

『ヘ?ア!テラガ埋マッテ──』


ブオン!


『ルゥゥゥゥゥゥ!アァァァァァァァァァ………』


彼方に飛んでいく兜。


『よし、成功したな』

「…テラさんはどうするんですか?」

『戻れ、テラ。よく頑張ったな』

『………御意』


出現した魔方陣ともに消えていく哀愁が漂うテラの頭部。


『じゃ、イグニスとアクアは食料の調達に行け』

『『御意』』

「え?いつの間に!?あ、動物そちらの姿なんですね」

『私たちはどうしますか、クロガネ様…?』


舞い落ちる一枚の黒き羽。

去っていく黒き鳥。

こだまする声は──




『俺も何か探してくるわ』


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