ランフィード制圧戦 前編
結婚の儀式から10日後
テンガ、レイラ、アイリスの三人の姿はバーバラの宿屋にあった
「帰ってきましたねぇ!」
「狭くておちつかんのぉ」
「ぎゃあぎゃあ うるせぇ とりあえず計画の種でも撒きにいくか」
「では王宮へ行くんですね」
「ああ、」
「でもその翼隠さなくていいんですか?」
「なにを言う!これは誇り高き降神族の証しなるぞ!」
「まぁあったほうが説得力が違うだろ?」
「なるほどぉ……」
「いくぞ……いつ戦闘が起こるかわからんからな常に臨戦態勢を保っとけ」
その後イサトを呼びつけシャルドへの謁見を取り付けた
レイラとアイリスを連れ再びシャルドと対峙したシャルドと共にいたハルキはどこか判断しかねた表情でうつむいていた
そして将軍たちはやはり敵意むきだしだった
「よく帰ってきたテンガよ」
「まぁな、とりあえず色々報告することはあるが結論を言うと堕鬼族は滅んでねぇいろいろあってな俺が堕鬼族の王になった」
「なるほどな……で、その娘がお前の妃になるわけか……」
「そーいうこった、それに俺は半分だけ堕鬼族になっちまったんだ」
「その翼はそういうわけか……」
「とりあえず、報告は以上だ」
「滅ぼせこそはしなかったがあの強大な力が我の物に………フハハハハ!」
「我ら 降神族 は貴様などに下ったつもりはないが?妾はこの男に仕えておる勘違いするでないわ…それに我らは堕鬼族などではない、誇り高き降神族なり」
「勘違いしてるのは貴様だ!小娘、テンガは我が国の勇者、勇者とは国の力つまりは 俺!シャルドの力だ!!」
「おいおい…勘違いすんじゃねぇよ…俺がいつからお前より下の立場になったんだ?逆だろ?てめぇらは黙って俺の顔色でも伺ってろ」
「俺は確かに命令はしないといったが、お前は俺の兵だろ?俺のお陰でこの国で好きに生きていられるのだろ!」
「勝手言ってくれんなぁ………ハルキ!この国の兵士と国民を全員集めろ一人残らずな…」
「貴様!!なんの権限があってそのような命令を!」
「黙っておれテンガになんかの考えがあるんだろ……お前らいちいちテンガに突っかかるな…」
「わかった、20分くらい待ってくれ…」
「どういう事なんだ?説明してくれよ……勇者殿?」
「今にわかるさ……」
不適に笑った…にその場の全員が寒気を感じた、まさに死神の鎌を首に突きつけられたように感じた
少しするとハルキもどってきた
「すまない待たせた…全員城下に集めたぞ」
「助かるわぁ…じゃあ行こうか…あっシャルドとそこの爺どももくるか?」
「俺は行くぞ…興味がある」
「我らも参る…」
城下に降りるとそこには34万程の兵と国民で溢れていた
テンガ自分に言い聞かせるように呟いた
「………これが俺の正義…引き返すつもりはない……」
「……やりましょうテンガさんは間違っていないですよ…」
「さてとぉ…きけぇ!!俺はこの国の勇者 神崎天牙 勇者にして降神族の王だ!!俺は勇者としてこの国を見てきた、苦しむ民の姿!傲慢な王宮兵!たとえ降神族を滅ぼしてもはたして皆は幸せにくらせるのだろうか!?」
「あやつ!我らを侮辱……」
将軍が剣を抜こうとした瞬間背後にいたレイラがアヴァールとアロガンの銃口を突きつけた
「黙っててください…まだテンガさんが話しています……」
「貴様らぁ…なんのつもりだ…」
「黙ってろっていってるんですよ…もし黙らないならテンガさんの敵と見なしますよ?」
「………………くそっ!」
「この国は…国外の脅威がなくなっても平和にはならない!この腐った王族がいるかぎり!!そして俺は魔王として考えたどうすれば平和になるのかと…俺は明日この国を滅ぼす!!この国は俺が作り直す!!このランフィードの民よ!兵よ!己に問いかけろ!!平和とはなんだ!!この国の敷いている虚偽の平和で満足するか、俺が作る未知なる新たな平和を支持するか!己で決めろ!!」
「さすがわが君……とても素敵だのぉ」
アイリスがまた惚れ直していることなど知らずにテンガは演説を続ける
「俺の平和を支持するものはこの町を出ろ!!降神族の領土の森に俺が作った避難所があるそこに移動しろ、国の外には降神族の将軍がいるそいつらについていけ!!安全は保証しよう 決戦は明日、皆さんどうか己に正直な判断を!!」
演説を終えて振り向き立ち去るテンガの背後から オオオオオオオ!!!!群衆の叫び声が響き渡った
「まぁそういうことだ…シャルド、明日は楽しもうや」
「貴様………………」
怒りでものも言えずにただテンガを睨み付けるシャルドと将軍達
「おっと忘れてた……避難する国民や兵士に手を出すなよ?出したら……地獄どころじゃすまねぇぞ?」
「……………………………………」
「承諾と受けとるぞ……いくぞレイラ、アイリ」
城を出ていく途中立ち尽くすハルキとすれ違いざまに肩を叩いた
「もう賽は振られた……目が出るまで誰にも止められねぇ……俺はお前と戦いたくねぇんだがな……」
「俺は………もっと別の方法も………」
「あったかもしんねぇなぁ……けど俺にはこれしか思い付かなかった……」
「もっとさぁ……イメージしろよぉ……人が沢山死ぬんだぞ
ぉ……」
「だったら俺は………イメージするのが下手なのかもな………」
そういい城を出ていった
再びバーバラの宿屋に戻った三人はすでにバーバラが荷造りを始めていたことに驚いていた
「はぇなぁ行動が……」
「まったくとんでもないこと言い出すんだから、あたしはあんたを信じるよ」
「ああ…ありがとう…1つ頼みたいことがあるんだが、避難所にはすでに子供達がいるんだ全員親がいなくてな…できればこいつらの保護者になってほしい金ならある…旅に出る俺らには出来ないことなんだ」
「なにいってんだい、そんな嬉しいこと引き受けないわけがないじゃないか!自分の子供のように育てるさ」
「すまない…」
「なにを改まって」
夜になる頃には殆どの国民と約半数の兵士が国を捨てたランフィードに残った兵力2万7000 すなわちこの数だけ死人がでるということだ…そしてハルキとイサトとアベルの三人の姿も王国にあった
テンガ達は国の真正面の草原に陣取っていた、たった三人で
「始まっちゃいましたね……」
「なにをいまさら……俺一人でもやるつもりだったしな……」
「テンガよ…なにやら一人こちらに近づいてくる気配がするぞ…」
「知り合いだ…警戒することはねぇ…何のようだ?イサト…俺たちはもう敵だぞ?」
現れたのは酒瓶をもったイサトだった
「そうツンケンするな…敵になるのは明日だ…今はただのイサトだ酒でも飲もう…」
レイラがコップを2つ持ってきてくれた
「お前ら二人は席をはずしてくれ…」
仕方なくアイリスとレイラは二人で散歩に出かけた
「なんでこうなったんだ……」
「……これが俺の正義なんだ……非難はすべて受ける……」
「おそらくランフィードは明日滅びる…俺たちは君らに勝てないだろう…」
「ならなぜ残った?」
「俺にも恩ってやつがあるんだよ…ただの町のクソガキだった俺をここまで育ててくれたって恩がな……アベルは俺に付き合ってくれただけだ…悪いことをしたな」
「アイツはバカだが芯はつよい…多分覚悟の上だ……」
「君が間違っていないことなんて…わかってはいるんだ…自分の恩のために友人に刃を向けなければならない自分が腹立たしいよ」
「それをいうなら俺だって…でも覚悟はもうしてるんだ…」
「もう戻れないんだな?」
「その気はねぇよ…もう取り返しがつかねぇ……」
「そうかぁ……それじゃあ明日……全力で相手をする…手を抜かいないでくれよ…」
「そのつもりはねぇよ……戦いが始まったら……俺は止まらない…自分でもどうなるか……」
「ハルキ殿は………」
「いいんだよ…あいつの事は…もう話し合った………」
「そうかぁ……じゃあ俺は帰るよ…」
「俺はお前とも戦いたくなったぞ………」
「ああ…ありがとう…」
イサトは恐らく決心が鈍っていたのであろう、テンガに会って決意を固めたようだ
帰るイサトを見送りながらタバコを吹かすテンガの目付きは冷たくなっていたこの男も本当の覚悟と言うものが固まった
決戦まであと8時間…
「あと数時間後にはここは地獄とかすのぉ~やっぱり気が引けるか?」
「そんなんじゃねぇよ…俺は俺の正義だけを信じる……アイリはいいのか?無理に付き合わなくていいんだぞ?」
「なにをいう……夫の成すことを支えるが妻の役目なれば、テンガの正義は妾の正義……後悔などするものか……」
「これから始まるのは聖戦なんかじゃねぇ、俺のわがままの為に俺の正義の為に邪魔物を排除するだけの殺戮だ…堕ちるとこまで堕ちることになる…」
「ならば、テンガが堕ちる地の底の地獄までも供をしよう」
「そうか………そういえばお前の固有の能力ってなんなんだ?」
「まだ説明してかったの、妾もといアスタロトの能力は 拒絶 万物を拒むことができるのじゃ 魔法キャンセルと似ているのじゃが、魔法キャンセルは魔法を消すだけなのじゃが 拒絶はすべてを拒む…形、能力、魔力、存在つまり消すも跳ね返すもやりほうだいなのじゃ」
「やっぱり化け物くさい能力だな………」
「お主に言われたくないのじゃ」
「俺は化け物でいいんだよ、ん?まてよ、俺と戦ったときなんで使わなかったんだ?」
「使わなかったんじゃなくて使えなかったのじゃ、テンガに出会うまでは仮契約みたいな状態で全部の能力が使えてはいなかったのじゃが、あの戦闘でちゃんとした契約が成立したのじゃ」
「ある意味運が良かったな…」
「本当にのぉ……」
「その……なんだ……明日なんだけどよぉ、俺は……なんでもない忘れてくれ」
「大丈夫じゃよ、妾はわかっておる…同族同士の争いほど辛いものはない、まして知り合いとの殺し合いほどな妾はその辛さをずっと見てきた…もしかしたら壊れてしまうと思っておるのじゃろ?」
「よくわかったな……初めてだよ…暴力を振るうのに戸惑いがあるなんて」」
「自分の正義を貫くのじゃろ?ならなにも考えるでない、妾はレイラもお主を否定はせぬ…ただ自分を信じて自分の正義を通すのじゃ」
「ありがとな……今ちょっとだけお前が愛おしいよ………」
「夫婦だからの、それが普通なのじゃ…」
照れたように星空を見上げた
「アイリ……死なないでくれよ…さんざんやって来た俺だけどよ、不本意とはいえやっと手に入れた繋がりだ…家族なんだよ…アイリもレイラも今は家族のように思える…アイリは嫌かも知れないけどな」
「レイラの事なら妾も同じじゃ、あの娘はなにをするにも一生懸命で表裏がない、まだ出会って10日ぐらいしかたっておらぬが、妾にとっても大切な存在じゃ」
「俺は家族が欲しかった……もらったことのない愛情が欲しかった…温もりが欲しかった……こんな俺でもレイラはついてきてくれた…アイリは愛してくれた…あんまり感情を出すのは好きじゃないけど、お前らには全部さらけ出してもいいと思ってる」
「それが家族ですよ(*´・ω・`)」
木上からレイラが飛び降りてきた
「てめぇ…聞いてたのか」
「えへへ、でもでも家族だとしたらテンガさんがお父さんでアイリさんがお母さんで私はなんになるんですか?」
「やっぱり娘であろう」
「性格からして忠犬だな、つまりペットだ、よかったじゃねぇかペットほしいって言ってたもんな」
「嫌ですよぉ!!私人間ですよぉ!!」
「確かに忠犬じゃ」
「アイリさんまで……」
「ありがとな…少し気分がほぐれた」
普段はぜんぜん笑わないテンガがほんの少しにっこりと笑った
「なんだか、テンガさんの笑顔初めて見たような」
「素敵なのじゃよ」
二人とも頬を赤らめポーと見つめた
日本時間で言うところのおそらく午前10時
決戦の時がきた!!
ランフィードは少ない兵をすべてを城下の守備に回し迎え撃つ体制を整えていた
「うっひゃー改めて見ますと結構数がいますね」
「約3万だからな…」
「それでどう攻め落とすのじゃ?」
「レイラは将軍5人を生け捕りにしてくれ絶対に殺すなよ、全員捕らえた後はペルセウスで連絡して俺とアイリに合流しろ…アイリは俺と兵士を殲滅する俺のサポートを頼む」
「わかりました!!」
「任せるのじゃ」
「レイラ無理するなよ…お前は回復魔法使えねぇんだからな無理なら戻ってこい俺がやる」
「大丈夫ですよぉ!!舐めないでください!!」
「あーはいはい、頼んだぞ」
「恐らくは 城下町三人、王宮二人、王の間に勇者この3エリアにいるはずだレイラは全力で将軍を誘拐してこい、イサトとハルキは俺がやる」
大きく深呼吸しデスサイズを握りしめた
「いくぞ!!」
ドカアアアアアアン!!
巨大な爆音と共に30mはある城門が吹き飛んだそれと同時に神速でレイラが飛び込んでいったが認識できたのはテンガとアイリだけだった
「来たぞぉ!!!迎え撃てぇ!!」
1小隊恐らくは1000人であろう、その小隊が8つ突っ込んできた
「おお、ぞろぞろ」
「じゃあまとめて……ブラックボール…」
デスサイズを一回転すると小さいブラックホールが生まれそれを上に打ち上げた
「闇神楽……サザンクロス!!」
超高速でブラックボールに向けて大量の斬撃を飛ばしまっくた、飛ばされた斬撃はブラックボールに飲み込まれていきブラックボールはどんどん肥大化していった
「そろそろか…アイリ!!」
「任せおくのじゃ…デマンティー」
アイリが固有能力の拒絶を発動するとブラックボールが風船が割れるように弾けとび中に溜め込まれた斬撃が解放された
「ブラックレイン……」
黒い斬撃が小隊の上に雨のごとく降り注いだ町の建物や石畳などを巻き込みながらすべてを異次元に誘った
「ちょっと残ったか…行くぞアイリ」
王宮から新たに現れた小隊と生き残った兵に特攻していく
「邪魔だぁぼけぇ!」
武器をデスサイズに変え目にも写らぬほど高速で武器を振るう隣にいた仲間が次の瞬間には細切れにされている、そんな絶望とも呼ばれるこの状況で兵士達に出来ることなどありもしない、ただ黙って殺されるのを待つか、少しの間だけでもと逃げだし僅かばかりの延命をするものなど無駄な抵抗をするしかできなかった
「ちっ!!」
途端にバックステップで後方に下がった、するとテンガがいた辺りを巨大な火球が降ってきた
火魔法の上級の焦天である
かなりの詠唱時間と魔力がいるので連発は出来ないが威力はなかなかだった
「ほう、ならば妾も」
焦天を三つ同時に無詠唱で発動
空が真っ赤になるほどの超火力の火球が城に2発城下町に1発落ちた
「あっつ!!てめぇ俺がいることを忘れんな!」
「この程度で死ぬとは思えぬがな」
「まぁ死なねぇけどよ……またか!」
今度は大量の風刃が襲ってきた
「い・や・じゃ」
パチっと指を鳴らすと風刃がグリンと方向を変え兵士に襲いかかった
「そんなこともできんのか、便利だな」
「大分減ったのう、そろそろ入るか」
城下町にはもう生存者はほとんどいなかった、あるのは見渡すばかりの死体
テンガの真っ白なコートは赤黒く染まっていた
「「テンガさん!任務完了です!」」
「城の入り口にいるからこっちにこい」
2分後にレイラが合流した
「城に入ったらシャルドを二人で捕らえにいけ雑魚は任せとけ」
城に突入すると大量の兵士とそれを指揮するイサトそれと護衛しているアベルの姿があった
「お前らいけ…」
二人が飛び出していった、それを阻止しようと兵が立ち塞がるが台風を新聞紙でしのぐ用なもの1秒も持たずに吹き飛んだ
「よう……」
「ああ…我が国に仇なす物を討ち取れ!!」
「それでいい……そのほうが遠慮なく殺せる」
ものの数分の間に2000人いた兵士は全滅ほとんどは原型がわからぬほどにバラバラにされていた
「すざましいな…」
「覚悟はいいか?イサト?」
「隊長と戦う前に俺と戦え!!」
アベルがテンガの前に飛び出した
「イザナイ……」
アベルが立ちはだかると同時にデスサイズで一刀両断したがアベルは真っ二つにならず目の前でその存在が消えた
「なっなにをした?」
「これから死ぬんだ…教えても無駄だろ…」
「死ぬのはお前かもしれんぞ」
「なら、やろうか」
お互いにスッキリした表情で武器を構え向かい合った、イサトが飛び出しテンガに剣を降り下ろしたがテンガはこれを避けず体で刃を受け止めた
「なんのつもりだ?」
「いや、お前の事覚えておきたくてな…それに俺は治癒力が異常だからなこんな傷は一瞬で治るんだ…最初からお前には勝ち目はなかったんだ」
「俺など相手ですらないか……」
「じゃあな……」
「ああ、俺の死を無駄にしないでくれ、すばらしい国を作ってくれ」
「約束する」
静かにデスサイズがイサトの首を胴体から切り離した、イサトの首から吹き出る返り血を浴びながらしばらく天井を見つめていた
「…………………重いなぁ…」




