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随分と時間が開いてしまいました^_^;

一人で出歩かせるなど危なくて出来ない。あいつは自分の立場をまだ理解していないようだ。


「野中。しっかりとあいつを見張っておけ」


「わかっております。ご心配だと伝えて差し上げればよろしいのに…」


はぁ…。とため息をつく野中は亜美に見せる顔とはまるで違っていた。


「それは無理だ。あいつにはしっかり理解した上で選んで貰わなければ意味がない」


「…ですが、少し厳しすぎではありませんか?必要もないリストを覚えさせなくても…。集めるのがどれだけ大変だと…」


ぶつぶつ文句を言っているが、これも仕事の内だと思ってやってもらおう。亜美にはこの刈谷グループ総帥の妻となるのだから…。

いつかは必ず必要となる事だし問題はない。


「…しかし、亜美様は全くお気づきではないようですね」


野中は、哀れむ様にこちらに視線を送ってきた。


「…しかたないだろう。亜美はまだ幼かった。分かるわけない」


野中の視線から逃れるように机の上に置かれている書類に目を通した。


「とにかく、今回のパーティーでしっかりとあなたのお相手を努めて頂かないと、周りからあなたの婚約者としては認めて頂けませんよ?」


「…そんな事は十分わかっている。とにかくあれをしっかりとそれなりに教育してくれ」


一応は社長令嬢だったのだ。

それなりのマナーは知っているだろう。あとはこの刈谷グループに相応しい様に対応してもらわなければならないだけだ。


「かしこまりました。では、私は亜美さんの教育準備でもして参りますので、響也さんはそちらの書類を片付けて下さいね」


そう言うと野中はさっさと部屋を出ていってしまった。


「・・・やっとこの時がきたんだ・・・」


野中が置いていった書類を一瞥すると、席を立ち窓に近づいた。

そこから見える中庭には色とりどりの草花が植えられていた。


「長かったな・・・・」


彼女を迎えるまでの道のりを思い浮かべ思わず眉間にシワが寄る。


「あとは・・・」


ふと見下ろすと、庭を歩く亜美が目に入った。

どうやら、早苗が出てくるのを待っているようだ。

庭を散策する亜美はまるで子供のようにあちこち見て回っている。


「・・・・花が好きなのか・・・」


じっと見ていると急に亜美の動きが止まりこちらを振り向いた。

そして、笑顔で手を振っている。

そのことに俺は胸が高鳴り思わず手を振り返そうと右手をあげようとした。


「亜美様!!」


その声に動きを止める。

ふと下を見ると早苗が慌てて外へ出てくるところだった。

あの笑顔は早苗に贈られものだった。

行き場のない右手をさっと下ろすと俺は窓の側から離れた。


「・・・・俺にあんな顔みせる訳がないよな・・・・」


考えてみれば俺は借金のカタに亜美を手に入れたのだ。

そんな俺を怨みこそすれ、あんな笑顔を見せて手をふってくれる訳がなかった。

自分の行動に反吐が出そうだ。

部屋の中を見渡せば、机の上に散らかっている書類が目に入る。

やらなければならないことはたくさんある。

亜美を振り向かせるのはそれからだ。

今はまだ俺を憎んでくれても構わない。

だから、俺の側に・・・・。





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