第5遭遇
さて、校舎裏と言ってもどこを意味指すのでしょうか?
鈴木君と行く云々で話している間にも王子様は待ってくれることはなく、さあ追いかけようと思った時にはそのお姿を見ること叶わず、だったのです。
「えと、とりあえず1階に行かないといけないですよね」
私のクラスは3階にあります。
王子様が向かった方には教室が2つとその向こうに階段があります(ちなみにその階段の横はトイレです)
トタトタと少し小走りに階段に向かい段を下りれば、2階と1階の間にある踊り場に王子様。
下りてきた私の姿を見つけると目元を和らげて今度はゆっくりと階段をおり出しました。
待っていてくれたんですね。
探さないといけないのかと思っていたので少しホッとしました。
王子様を追いかけると3、4段下に王子様がいます。
(あ、つむじ)
背の低い私は人のつむじを見ることが中々ありません。
なのに自分よりはるかに背の高い人のつむじを見るなんて・・・・・・新鮮です。
突いてみたい、です。
いや、流石に無理ですが。
そんなことを思っている間に1階に辿りつき、校舎から出ました。
私の通う高校の校舎は2棟あって、ひとつは築6年、もうひとつは中々に年季が入っています。
L字型の新校舎とI型の旧校舎があり2階、4階は渡り廊下で繋がっています。
ちなみに2年生のみ旧校舎です。
その旧校舎側の校舎裏に行くと、さっきまで窓辺で浴びていた陽射しがぽかぽか。
前を歩いていた王子様のはちみつ色の髪の毛もそのぽかぽかの陽射しを浴びて、とってもキレイです。
見惚れていると王子様が足を止めて振り返りました。
慌てて私も足を止めて王子様の顔を見ようとしたんですが・・・・・・眩しすぎます、色々な意味で。
直視するのは無理そうなので諦めて目線を下げました。
人と話をする時はちゃんと相手の目を見て話しなさいといつも言っていたお母さん、ごめんなさい。
王子様相手にそれは無理です。
心の中でお母さんに向かって謝っていると、王子様からの言葉。
「沢井 彩音さん、だったよね?」
「!?」
まさか王子様がわたしのフルネームを知ってるなんて!!
もしかして鈴木君が言ってたみたいに愛の告白ですか??
「やっぱり校舎裏」って言われた時に、一瞬、本当に一瞬なんですが「愛の告白」って言葉が頭を過ったんですよ!
でも流石にそれはないだろ!! って自分に瞬間で突っ込んで、それ以上はそのことは考えなかったんです。
でもフルネームを知ってるなんて!!
・・・・・・いや、待ってください。
最初は財布かと思っていましたが、もしかして生徒手帳を拾っていた、なんてことはありませんか?
私は財布を落とした時のために生徒手帳の中にも野口さんを1枚忍び込ませているんです。
やっぱり、やっぱり1割ですか??
野口さんの1割なんて100円ですよ??
いや、100円とはいえ私の大事なお小遣いです。
やはりここは丁寧なお礼の言葉と、謝礼1割は無理だということを伝えなければ!!
顔をぐっとあげ、逸らしていた目を王子様に向けました。
そこには口角を軽くあげ微笑んでいる、王子様
「???」
のはず、ですが。
「話は簡単なんだ」
顔をあげた私に話出す王子様。
けれど心地よく響く低い声は上滑りしています。
上滑りしているのには理由があります。
理由はあるのに、
「俺の子供を産んで欲しいんだ」
「!!??」
理由を説明する前に、爆弾が投下されてしまいました。
ここまで読んでいただきまして、感謝多謝vv




