第4遭遇
「彩音って王子と顔見知りだっけ?」
絶対、絶対知ってるくせにしれっとした顔でそう聞いてくるのは、やっぱり見目麗しい才華ちゃん。
「顔見知りなわけないじゃないですか~」
正直周りにいらっしゃる多数の女子の方々の目が痛いです(汗)
抱えてもいいのなら頭を抱えて机の下に隠れたいのですが、しっかりばっちりと目があってしまったのでそんなことも出来ません。
クラスメイトの男子(名を鈴木君といいます。彼も背は高い方だと思われますが、そんな彼の後ろにいても王子様の顔は見えます)が早く来いと、更に手を振ってきます。
犬の尻尾も真っ青というような勢いでもって振っています。
はっきり言って、注目を受けるのは苦手です。
けれど通常教室に来ることのない人がいて、更にその人に呼び出されるとどんな用事であろうと注目は受けてしまうものなんですね。
どんなに私が地味だといっても。
昼休みということで生徒の数が減っているのがせめてもの救いでしょうか?
仕方なく、そして別段悪事を働くわけでもないので席を立ち
「では、いってきます」
才華ちゃんに頭を下げて入り口に向かうと
「達者でな~」
との才華ちゃんからの暖かな声援が。
なにを達者にするのでしょうか?
才華ちゃんの言葉に苦笑しながら鈴木君のそばへ。
鈴木君、大きいですね。
正直首が痛いです。
なのに、王子様。
更に大きいですね。
・・・・・・雲の上ですか?? そこは雲の上ですか??
一度その高さから見た景色を見てみたいものです。
背中に感じる視線の強さに、思わず現実逃避です。
「あの、沢井ですが?」
いつまでも現実逃避もしていられないので声を掛ければ
「沢井さん、今いいかな?」
イメージよりも低い声は、けれど耳に心地よく響きます。
「えと、あの、どのようなご用件でしょうか?」
なにか私、モノを落としましたか?
それとも先生からの呼び出しを、恐れ多くも王子様に託ましたか??
けれど王子様は少し首を傾げて
「ここだと少し話づらいかな?」
話づらいということは・・・・・・財布ですか?? 落とした覚えはありませんが、私の財布でも拾いましたか??
やっぱりその場合は一割要求ですか??
疑問符だらけの私に王子様は笑いかけると
「やっぱりここは校舎裏にでも」
そう言って歩き出しました。
・・・・・・
「え??」
やっぱりってなんでしょうか?
そして私はどうしたらいいのでしょうか?
思わず傍にいた鈴木君を見上げると、
「いや、え?? じゃなくて、行かなくていいのか?」
「行く、んですか?」
「じゃないの?」
鈴木君と問答してる間にも王子様はどんどん廊下を進んで行きます。
「どんな用事なんでしょうか」
「ん~~、告白、とか?」
「ありえると思いますか?」
じとりと鈴木君を見れば
「ないっか」
と言って爽やかな笑顔を残して鈴木君もどこかへ行ってしまいました。
とりあえずは行ったほうがいいのかな?
もし私の財布を拾っていて一割要求されるのなら、断らないと!!
なけなしの私のお小遣いが入っているのですから、ここは感謝の言葉をしっかりと伝え、そして毅然とした態度で断らねば!
よしっと自分の中で心を決めて、私は教室を後にしました。
財布に気を取られ、女子の方々の視線はしっかりと忘れていたのはご愛敬ということで。
ここまで読んでいただき、感謝多謝vv




