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ラップ付き小説 ReversCrown 元気ないやつこっちおいで  作者: egubi
暴れ牛ビーフ編

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96/186

3-5-2 行っても構わない



その夜、共有グルチャは一度静かになった。


歓迎会をする。

BEEFにも声をかける。

場所は、BEEFが来る可能性を考えて、音楽のある場所にする。

ただし、無理には呼ばない。

来ても来なくてもいい。

でも、来るなら歓迎する。


そこまでは決まった。


けれど、決まっただけでは何も始まらない。


誰かが、BEEFに声をかけなければならなかった。


wata@Technician:

で、誰がBEEFに連絡する?


EGUI@Straight Type:

mcRCやろ。


mcRC@Scene Maker:

俺?


wata@Technician:

そりゃそうやろ。

仲間だろ、って言った本人やん。


EGUI@Straight Type:

責任者。


mcRC@Scene Maker:

責任者って言うな。


Miwa@物販:

部長……。


Nina@告知販促:

泣いてます?


Miwa@物販:

いいえ。

これはまだ目の奥に水が待機しているだけです。


Yui@庶務・作業表:

目の奥に水、待機。

記録します。


Miwa@物販:

しなくていいです。


Kate@秘書・外部連絡:

ただ、確認です。

BEEFさんへの連絡は、まだ新川さん経由ですか?


そこで、三人の反応が少し変わった。


前まではそうだった。


BEEFとのやり取りは、新川さんを通していた。


連絡を直接取り合えるほどの関係ではなかった。

言いたいことがあっても、すぐには届かない。

BEEFも、リバクラも、新川さんを挟んだ少しもどかしい距離にいた。


けれど、今は少し違っていた。


mcRC@Scene Maker:

いや。

昨日のラーメンの時に、連絡先は交換した。


Nina@告知販促:

交換したんですね。


Sara@権利確認:

そこは大きいですね。


Yui@庶務・作業表:

BEEFさんとリバクラ、連絡先交換済み。

記録しました。


wata@Technician:

記録されると、急にイベントみたいになるな。


EGUI@Straight Type:

実際、かなり大きい。


Miwa@物販:

見てました。

というか、私とKateも同席してました。


Kate@秘書・外部連絡:

はい。

ラーメンの時に、自然な流れで交換していました。


Nina@告知販促:

ずるい。


Sara@権利確認:

ずるいですね。


Yui@庶務・作業表:

非常にずるいです。


Miwa@物販:

すみません。


Kate@秘書・外部連絡:

謝ることではないと思います。


Nina@告知販促:

いえ、羨ましいだけです。


Sara@権利確認:

同じくです。


Yui@庶務・作業表:

同じくです。


wata@Technician:

あの時、BEEFがめっちゃ嫌そうな顔してたな。


EGUI@Straight Type:

でも断らなかった。


mcRC@Scene Maker:

「必要なら送れ」みたいな顔やった。


wata@Technician:

いや、実際には「用があるならな」って言ってた。


Miwa@物販:

言ってました。


Kate@秘書・外部連絡:

言っていました。


Nina@告知販促:

BEEFさんらしい。


Yui@庶務・作業表:

BEEFさん連絡先交換時発言。

「用があるならな」

記録しました。


mcRC@Scene Maker:

それは記録せんでええ。


Yui@庶務・作業表:

内部限定です。


Sara@権利確認:

内部でも、少し恥ずかしい記録ですね。


wata@Technician:

BEEFが見たら「消せ」って言うやつ。


EGUI@Straight Type:

言う。


mcRC@Scene Maker:

まあ、そういうことやから、今回は俺から直接連絡するわ。


Miwa@物販:

部長……。


Nina@告知販促:

水ですか?


Miwa@物販:

はい。

少し来ました。


Yui@庶務・作業表:

目から水、少量。


Miwa@物販:

記録しないでください。


Kate@秘書・外部連絡:

BEEFさんへの連絡文は、圧をかけない形が良いと思います。


Sara@権利確認:

はい。

参加を強制しているように見えないこと。

リバックライン歓迎会が主目的であること。

BEEFさんは任意参加であること。

この三点は必要です。


wata@Technician:

メール文みたいになってきた。


EGUI@Straight Type:

大事やろ。


mcRC@Scene Maker:

じゃあ、こうか。


少し間が空いた。


mcRCが、下書きのように文章を打った。


mcRC@Scene Maker:

リバックラインの歓迎会をすることになった。

場所はまだ決めてないけど、少し音のあるところにしようと思ってる。

来ても来なくてもいい。

ただ、来るなら歓迎する。

無理はせんでいい。


wata@Technician:

おお。


EGUI@Straight Type:

いいと思う。


Kate@秘書・外部連絡:

圧が少なくて良いです。


Nina@告知販促:

ちゃんと歓迎の意思もありますね。


Sara@権利確認:

問題ないと思います。


Yui@庶務・作業表:

BEEFさん連絡文案、承認。


Miwa@物販:

でも少しだけ、寂しいです。


mcRC@Scene Maker:

寂しい?


Miwa@物販:

来ても来なくてもいい、が正しいのは分かります。

でも、来てほしい気持ちも入れたいです。


グルチャが少し止まった。


Miwaは、少しだけ続けるのを迷ってから送った。


Miwa@物販:

圧はかけない。

でも、来てくれたら嬉しい。

それは伝えてもいい気がします。


Kate@秘書・外部連絡:

それは、たしかに。


Sara@権利確認:

任意参加と歓迎の気持ちは両立できます。


Nina@告知販促:

「来ても来なくてもいい。でも来てくれたら嬉しい」

素直でいいと思います。


Yui@庶務・作業表:

追記候補。

「来てくれたら嬉しい」

記録しました。


wata@Technician:

BEEFに「嬉しい」って送るんか。


EGUI@Straight Type:

嫌がりそう。


wata@Technician:

でも見るやろな。


mcRC@Scene Maker:

見てない顔で見る。


Miwa@物販:

見てない顔で見ますね。


Kate@秘書・外部連絡:

見ますね。


Sara@権利確認:

見ると思います。


Yui@庶務・作業表:

見てない顔で見る、全員一致。


mcRC@Scene Maker:

じゃあ、こう送る。


mcRCが、もう一度文面を打った。


mcRC@Scene Maker:

リバックラインの歓迎会をすることになった。

場所はまだ決めてないけど、少し音のあるところにしようと思ってる。

来ても来なくてもいい。

無理はせんでいい。

でも、来てくれたら嬉しい。

歓迎する。


wata@Technician:

これは部長。


mcRC@Scene Maker:

やめろ。


Miwa@物販:

部長……。


Nina@告知販促:

水ですか?


Miwa@物販:

はい。

これは水です。


Yui@庶務・作業表:

目から水、発生。


Miwa@物販:

記録しないでください。


EGUI@Straight Type:

送れ。


mcRC@Scene Maker:

送る。


数秒、誰も投稿しなかった。


グルチャの全員が、画面の向こうで同じものを見ているようだった。


mcRCがBEEFにメッセージを送る。


それだけのことだった。


でも、昨日までの流れを考えると、それはただの連絡ではなかった。


新川さんを通さずに、直接送る。


一本目でぶつかった相手。

二本目で探った相手。

三本目で音と言葉を返し合った相手。

「仲間だろ」と言われて否定しなかった相手。

ラーメン屋で「ササミを食え」と言った相手。

そして、ラーメンのあとに「用があるならな」と連絡先を渡した相手。


そのBEEFに、今度は歓迎会の連絡をする。


歓迎する、と言う。


それは、次の関係へ進むための、かなり小さくて、かなり大きい一手だった。


mcRC@Scene Maker:

送った。


wata@Technician:

お。


Nina@告知販促:

送った。


Miwa@物販:

送った……。


Sara@権利確認:

Miwa。


Miwa@物販:

まだ水は出ていません。


Yui@庶務・作業表:

待機状態。


Miwa@物販:

だから記録しないでください。


wata@Technician:

返事いつ来るかな。


EGUI@Straight Type:

読んでから、しばらく置くやろ。


mcRC@Scene Maker:

たぶんな。


Nina@告知販促:

見てない顔で見て、しばらく置く。


Kate@秘書・外部連絡:

返事を考えている顔も見てみたいですね。


Sara@権利確認:

Kate。


Kate@秘書・外部連絡:

すみません。少しファンモードでした。


Miwa@物販:

Kateがファンモード。


Yui@庶務・作業表:

Kateさん、ファンモード。

記録します。


Kate@秘書・外部連絡:

しなくていいです。


wata@Technician:

BEEF、既読は?


mcRC@Scene Maker:

まだ。


wata@Technician:

見てない顔で見てへんのか。


EGUI@Straight Type:

本当に見てない可能性もある。


wata@Technician:

それはそう。


数分が経った。


グルチャの流れは、止まっているようで止まっていなかった。


誰かがスタンプを送る。

誰かが消す。

誰かが「まだですか」と打って、送らずにやめる。

Yuiが何かを記録しようとして、Kateに止められる。


その間に、mcRCの画面の上で、小さく表示が変わった。


mcRC@Scene Maker:

既読ついた。


Miwa@物販:

あ。


Nina@告知販促:

来ましたね。


wata@Technician:

返事予想。

「何の歓迎だよ」


EGUI@Straight Type:

「行っても構わない」


Sara@権利確認:

「別に」


Kate@秘書・外部連絡:

「好きにしろ」もあり得ます。


Yui@庶務・作業表:

BEEFさん返答予想一覧。

・何の歓迎だよ

・行っても構わない

・別に

・好きにしろ

記録しました。


mcRC@Scene Maker:

もうやめろ。

本人から来た。


グルチャが止まった。


wata@Technician:

来た?


mcRC@Scene Maker:

来た。


Miwa@物販:

なんて。


mcRCが、BEEFからの返答を貼った。


BEEF:

何の歓迎だよ。


wata@Technician:

一個目!


EGUI@Straight Type:

当たった。


Yui@庶務・作業表:

予想的中。

記録しました。


mcRC@Scene Maker:

まだ続きある。


BEEF:

……まあ。


BEEF:

行っても構わない。


グルチャが、一瞬で爆発した。


wata@Technician:

言ったあああああ!


Nina@告知販促:

本当に言った!


Miwa@物販:

行っても構わない!


Yui@庶務・作業表:

BEEFさん返答予想、完全的中。


Sara@権利確認:

予想通りすぎます。


Kate@秘書・外部連絡:

かなり見えていましたね。


EGUI@Straight Type:

来るな。


wata@Technician:

来るやん。


mcRC@Scene Maker:

来るな。


Miwa@物販:

来るんですね……。


Nina@告知販促:

Miwa、水ですか?


Miwa@物販:

はい。

これは水です。


Yui@庶務・作業表:

目から水、発生。


Miwa@物販:

止まりません。


Sara@権利確認:

それは泣いています。


Miwa@物販:

いいえ。

BEEFさんが来ると決まったことにより、体内の水分が外部へ移動しているだけです。


wata@Technician:

言い方が理系。


EGUI@Straight Type:

体液移動。


mcRC@Scene Maker:

やめろ。


Kate@秘書・外部連絡:

mcRCさん、返信はどうしますか。


mcRC@Scene Maker:

そうやな。


wata@Technician:

「じゃあ来い」でええんちゃう?


EGUI@Straight Type:

雑。


wata@Technician:

仲間やろ。


EGUI@Straight Type:

それはそう。


mcRCは少しだけ考えた。


それから、短く打った。


mcRC@Scene Maker:

分かった。

じゃあ場所決まったら送る。

来るなら歓迎する。


送信。


すぐに、BEEFから返ってきた。


BEEF:

来るとは言ってねえ。


wata@Technician:

来るやつ!


Nina@告知販促:

来るやつです。


Miwa@物販:

来るやつですね。


Sara@権利確認:

来るとは言っていないが、行っても構わないとは言っています。


Yui@庶務・作業表:

BEEFさん参加状況。

正式確定:未

実質参加意向:高

記録しました。


mcRC@Scene Maker:

そのまとめやめろ。


EGUI@Straight Type:

正確やけどな。


wata@Technician:

返事返しとけ。

「はいはい」で。


mcRC@Scene Maker:

煽るな。


mcRCは少し笑って、BEEFに返した。


mcRC@Scene Maker:

はいはい。

来るとは言ってないな。

でも、席は空けとく。


BEEF:

勝手にしろ。


wata@Technician:

勝手にしろ来たあああ!


Nina@告知販促:

二個目!


Sara@権利確認:

好きにしろ系統ですね。


Yui@庶務・作業表:

予想語群「好きにしろ」に類似。

記録しました。


Miwa@物販:

BEEFさん、分かりやすすぎません?


Kate@秘書・外部連絡:

本人には言えません。


wata@Technician:

言ったら殺すぞ出る。


EGUI@Straight Type:

出る。


mcRC@Scene Maker:

でも、これで声はかけた。

来るかどうかはBEEF次第。


Kate@秘書・外部連絡:

はい。

圧をかけない。

でも席は空ける。

それで良いと思います。


Sara@権利確認:

外部には当然出しません。


Yui@庶務・作業表:

外部非公開。

内部共有。


Nina@告知販促:

でも、これで場所探しの前提は固まりましたね。


Kate@秘書・外部連絡:

はい。

BEEFさんが来る可能性が高いなら、クラブ寄りで探します。

ただし、会話可能なラウンジ寄り。


Miwa@物販:

歓迎会でクラブ。

すごいですね。


wata@Technician:

俺らわけぇな。


mcRC@Scene Maker:

また言う。


EGUI@Straight Type:

実際、若い。


wata@Technician:

俺らまだまだ若いわい。


Nina@告知販促:

その感じ、好きです。


Sara@権利確認:

ただし、帰宅導線は若さでごまかさないでください。


Yui@庶務・作業表:

終電確認、必須。


wata@Technician:

一気に現実。


mcRC@Scene Maker:

大事や。


Kate@秘書・外部連絡:

では、候補を三つほど出します。

音量、会話しやすさ、撮影可否、安全導線、混雑具合を見ます。


Yui@庶務・作業表:

日程候補も作ります。


Miwa@物販:

物販側の予定も出します。


Nina@告知販促:

告知スケジュールと被らないところを見ます。


Sara@権利確認:

場所の規約を確認します。


wata@Technician:

リバックライン、強すぎん?


EGUI@Straight Type:

強い。


mcRC@Scene Maker:

ほんまに助かる。


Miwa@物販:

部長……。


Nina@告知販促:

水ですか?


Miwa@物販:

はい。

もうこれは水です。


Yui@庶務・作業表:

水分補給も必要。


wata@Technician:

歓迎会当日、Miwaさんに水置いとかな。


Miwa@物販:

水分ください。

目から出るので。


EGUI@Straight Type:

だから逆。


Kate@秘書・外部連絡:

歓迎会の持ち物。

Miwa用の水。


Sara@権利確認:

それは権利的には問題ありません。


wata@Technician:

そこ見るんや。


Sara@権利確認:

役割です。


少しだけ、また笑いが流れた。


昨日のライブの重さは、まだ消えていなかった。


でも、重さだけではなかった。


次の予定が決まると、人は少し前を向く。


歓迎会。


リバックラインのための会。


でも、BEEFが来るかもしれない会。


音がある場所で、会話しなくても沈黙が責めにならない場所で、昨日までの全員が同じ空間にいる。


それは、ただの飲み会でも食事会でもなかった。


昨日のライブの続きだった。


伝えないと伝わらない。


でも、誘えば、来るかもしれない。


新川さんを挟まずに、直接言えるようになった。


来るとは言っていない。


行っても構わない。


勝手にしろ。


それだけで、十分だった。


mcRC@Scene Maker:

じゃあ、歓迎会は進めよう。

みんな、よろしく。


Miwa@物販:

mcRCさん。


mcRC@Scene Maker:

はい。


Miwa@物販:

今のは、敬語じゃないけど部長です。


mcRC@Scene Maker:

もうどうしたらええねん。


wata@Technician:

存在が部長。


EGUI@Straight Type:

逃げられないな。


Kate@秘書・外部連絡:

では、部長案件として進めます。


mcRC@Scene Maker:

Kateまで。


Nina@告知販促:

部長案件。


Sara@権利確認:

内部呼称です。


Yui@庶務・作業表:

部長案件、記録しました。


mcRC@Scene Maker:

記録するな。


Yui@庶務・作業表:

庶務なので。


最後に、wataが短く送った。


wata@Technician:

BEEF来たら、乾杯の一言言わせよ。


EGUI@Straight Type:

逃げるやろ。


mcRC@Scene Maker:

言わんやろ。


Miwa@物販:

音で乾杯してくれるかもしれません。


Nina@告知販促:

グラスじゃなくてスクラッチ。


Sara@権利確認:

店の設備次第です。


Yui@庶務・作業表:

設備確認項目に追加します。


wata@Technician:

ほんまに追加するんかい。


その夜、歓迎会の計画は少しだけ具体的になった。


まだ日付も場所も決まっていない。


でも、BEEFには声をかけた。


そして、BEEFはこう返した。


行っても構わない。


来るとは言っていない。


でも、たぶん来る。


その曖昧で不器用な返事が、共有グルチャの全員を妙に安心させていた。


またひとつ、音が近づいた気がした。

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