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ラップ付き小説 ReversCrown 元気ないやつこっちおいで  作者: egubi
sound session編

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5-4-11 沈めて、残す



RCさんとrenaさんが水を持って戻ってきた時、個室の中はまた少しだけ騒がしかった。


BEEFは、まだSaraに観察されていた。


「摂取量、回復傾向です」


「だから見るな」


「見えています」


「見えるな」


「視界に入っています」


「じゃあ視界を変えろ」


「BEEFさんが動けば解決します」


「俺が悪いみたいに言うな」


「現象としては、そうです」


wataが腹を抱えて笑っている。


「Saraさん、今日のBEEF処理うますぎる」


Saraは平然としている。


「処理ではありません。対応です」


BEEFが睨む。


「処理って言ったら怒ってたぞ」


wataが笑ったまま言う。


「もう怒ってるやん」


EGUIは、そのやり取りを少し離れた場所で見ていた。


さっきまでよりは、空気が軽い。


でも、自分の中はまだ完全には軽くない。


ReShiNa Letterの言葉が残っている。


≫ 勝てじゃなくて

≫ 壊れないで


そして、自分たちが返したMy restの言葉も残っていた。


≫ 休んだ俺がまた強い


その言葉を歌った時は、確かに少し戻れた。


でも、戻ったからといって、負けが消えるわけではない。


MIRROR LINEの金髪スーツ。


派手で、下品で、謎にどこかを直す。


なのに、言葉が残った。


EGUIは、それが少しだけ引っかかっていた。


自分の言葉も、通ったとは思う。


GIVE & GLOWのバースも、ちゃんと届いた。


笑わせた。


温めた。


最後に「不器用なままで give を続けよう」と置けた。


でも。


MIRROR LINEの金髪の一言は、違う残り方をしていた。


短くて、冷たくて、でも逃げ場がない。


EGUIは、自分の手元を見た。


拳を作っていたわけではない。


でも、指先に少し力が入っていた。


そこへ、shihoさんが近づいてきた。


「EGUIさん」


EGUIは顔を上げる。


「はい」


shihoさんは、小さなキーボードケースの横に立っていた。


「少しだけ、手伝ってもらってもいいですか」


「もちろん」


EGUIはすぐに立ち上がった。


個室の隅に置かれていたキーボードケースを、shihoさんが持ち上げようとしていた。


見た目より軽いのか重いのか、少し扱いづらそうだった。


EGUIは手を出す。


「持ちます」


shihoさんは、少しだけ遠慮する。


「大丈夫です」


「いや、持ちます」


「でも」


「持ちます」


言い方が、少し強かった。


自分でも分かった。


shihoさんも、それに気づいた。


けれど、責める顔はしない。


ただ、静かにケースから手を離した。


「では、お願いします」


EGUIはケースを受け取る。


思ったほど重くはない。


だが、取っ手の位置が少し悪く、身体から離れると持ちにくい。


「これ、どこ置きます?」


「奥の壁際に」


二人は、個室の隅へ移動した。


テーブルから少し離れた場所。


BEEFとSaraのやり取りも、wataの笑い声も、少し遠くなる。


壁際には、店の予備椅子が二脚重ねて置かれていた。


EGUIは、その横にキーボードケースを静かに置いた。


「ここでいいですか」


shihoさんは頷く。


「はい。ありがとうございます」


EGUIはすぐ戻ろうとした。


その背中に、shihoさんが言った。


「EGUIさん」


EGUIは振り返る。


「はい」


shihoさんは、すぐには話さなかった。


深く息を吸うわけでもない。


ただ、言葉が落ちる場所を探すように、少し目を伏せた。


「さっきのMy rest」


EGUIは、少しだけ顔をしかめた。


「……犬タイプのところですか」


shihoさんは、ほんの少しだけ笑った。


「そこも、残りました」


EGUIは目を閉じた。


「忘れてください」


「無理です」


「即答」


「残りましたから」


EGUIは、胸に手を当てる。


「ごふっ」


shihoさんが少しだけ笑った。


「また吐血しました」


「それも忘れてください」


「それも残りました」


EGUIは深く息を吐いた。


「残るって怖いですね」


shihoさんは、その言葉に静かに頷いた。


「はい」


その返事が、少しだけ深かった。


EGUIは顔を上げる。


shihoさんは続けた。


「だから、話したいと思いました」


空気が変わった。


笑いではない。


けれど、重すぎもしない。


shihoさんは、EGUIをまっすぐ見た。


「EGUIさんの言葉は、残ります」


EGUIは、黙った。


「まっすぐで、分かりやすくて、迷いが少ないです」


「それが、自分の役目やと思ってます」


「はい」


shihoさんはすぐに頷く。


「そこは、とても強いと思います」


EGUIは少しだけ肩の力を抜いた。


褒められている。


でも、それだけでは終わらない気配があった。


shihoさんは、ゆっくり続ける。


「でも、強く残る言葉は、時々、受け取る前に身構えさせることがあります」


EGUIは、何も言わなかった。


ただ、その言葉を受け止めようとした。


だが、自分の中に少しだけ反射が出る。


強く残る。


身構えさせる。


それは、自分の言葉がきついということか。


EGUIが聞く前に、shihoさんが言った。


「きつい、という意味ではありません」


EGUIは、少し驚いた。


読まれていた。


shihoさんは、穏やかに続けた。


「音で言うと、高い音が近くで鳴る感じです」


「高い音」


「はい。高い音は、よく届きます。遠くにも飛びます。輪郭もはっきりします」


shihoさんは、指先で空中に小さな線を引いた。


「でも、近い場所で強く鳴ると、少し痛い時があります」


EGUIは、その言葉を黙って聞いた。


高い音。


近い。


強い。


痛い。


自分の声がそうなのか。


自分の言葉がそうなのか。


たぶん、どちらもある。


shihoさんは続けた。


「EGUIさんの言葉は、届きます。でも、全部が真正面から来ると、聴く人が受け取る前に構えてしまう時がある気がしました」


EGUIは、小さく言った。


「俺、強く言えば届くと思ってるところ、あります」


shihoさんは頷いた。


「強いから届く言葉もあります」


否定しない。


そこが、少し救いだった。


「でも、残る言葉は、いつも強く押す必要はないと思います」


EGUIは、さっきの歌詞を思い出した。


≫ 難しいことは得意じゃない

≫ でも好きな人は放っておけない


これは、強く押した言葉ではなかった。


少し照れて、少し笑わせて、少し真面目に置いた言葉。


それでも、みんなに届いていた。


いや、だから届いたのかもしれない。


shihoさんは言った。


「たとえば、My restのここ」


そして、静かに口にする。


≫ 君が泣くならそばにいる

≫ 何も言えなくても水を入れる

≫ 大きなことはできないけど

≫ 毎日の小さな手なら出せる


EGUIは、少しだけ目を伏せた。


自分で歌ったのに、shihoさんに読まれると、また別の音になる。


「ここは、強く言っていませんでした」


shihoさんは言った。


「でも、とても残りました」


EGUIは、壁際の椅子を見た。


水を入れる。


大きなことはできない。


毎日の小さな手。


たしかに、そこは叫んでいない。


でも、自分でも手応えがあった。


「なんで残ったと思いますか」


shihoさんに問われ、EGUIは少し考えた。


「……近いからですか」


「近いです」


shihoさんは頷く。


「でも、押していない近さでした」


「押していない近さ」


「はい」


shihoさんは、少し手を下げた。


「“そばにいる”と言っているのに、掴んでいない。だから、聴く人が自分で近づける」


EGUIは、息を吐いた。


掴まない。


押さない。


でも、そばにいる。


それは、自分がやりたいことにかなり近いはずだった。


なのに、勝負の場になると、自分はどうしても言葉を強く出す。


届かせようとする。


刺そうとする。


落とそうとする。


EGUIは低く言った。


「俺、たぶん、届かないのが怖いんです」


shihoさんは、黙って聞いた。


「だから、言い切る」


EGUIは続ける。


「曖昧にすると、流れる気がする。弱くすると、伝わらない気がする。だから、ちゃんと言い切る」


「はい」


「でも、言い切りすぎると、相手が構える」


shihoさんは、静かに頷いた。


「そう感じました」


EGUIは、少しだけ笑った。


「難しいですね」


「はい」


shihoさんも、少しだけ笑う。


「音も、難しいです」


その言い方が、EGUIには少しありがたかった。


言葉だけが難しいわけではない。


音も、声も、間も、全部難しい。


だから、これは欠点を突きつける話ではない。


調整の話だ。


shihoさんは、さらに続けた。


「EGUIさんのFinal Hook前の言葉も、よかったです」


「どこですか」


shihoさんは、少しだけ歌詞を思い出す。


≫ 尽くすって負けじゃない

≫ でも自分を捨てることでもない

≫ 君と俺で半分ずつ

≫ 持てる荷物を持っていく


EGUIは、黙って聞く。


「あれは、すごくEGUIさんらしいと思いました」


「らしい?」


「はい。まっすぐです。でも、命令ではありませんでした」


EGUIは、ゆっくり頷いた。


「たしかに、あれは命令してない」


「はい」


shihoさんは言った。


「“持て”じゃなくて、“持っていく”でした」


EGUIは、はっとした。


自分では意識していなかった。


でも、確かにそうだ。


持て。


支えろ。


分けろ。


そう言ったわけではない。


君と俺で半分ずつ、持てる荷物を持っていく。


そこには、一緒に歩く感じがある。


shihoさんは、そこを聴いていた。


「そういう時のEGUIさんの言葉は、とても深く残ると思います」


EGUIは、しばらく何も言えなかった。


褒められている。


でも、ただの褒めではない。


ここに道がある、と言われている感じだった。


「逆に」


shihoさんは、少しだけ声を慎重にした。


「PRESSUREの時は、少し強く当たった場所もありました」


EGUIは、目を上げる。


「どこですか」


shihoさんは、少し迷った。


でも、逃げなかった。


「“感情で騒ぐだけになってないか”のあたりです」


EGUIは、すぐに思い出した。


≫ 我が身を振り返れ 俺の言葉は届くか

≫ 現場を見てるか 人も見れてるか

≫ 理由ある言葉で話せてるか

≫ 感情で騒ぐだけになってないか


自分では、必要な問いだと思っていた。


今も思っている。


でも。


shihoさんは言った。


「内容は、とても大事です」


「はい」


「でも、あそこは、少し問い詰めるようにも聞こえました」


EGUIは、少しだけ目を伏せる。


問い詰める。


たしかに。


自分自身に向けた問いだった。


でも、客席に届く時、それは誰かを問い詰める言葉にもなる。


「俺、自分に言ってるつもりでした」


「そうだと思いました」


shihoさんは、すぐに返した。


「でも、聴く人には、自分が責められているように届くこともあります」


EGUIは、静かに息を吐いた。


それは、考えたことがあった。


でも、深くは考えていなかった。


「じゃあ、どうすればいいんですか」


聞いてから、EGUIは少し後悔した。


答えを求めるには、まだ早い気がしたからだ。


shihoさんも、それを分かっているように、すぐに答えを出さなかった。


「今すぐの答えではないです」


「はい」


「でも、声を少し沈めるだけで変わると思います」


「沈める」


「はい」


shihoさんは、自分の胸のあたりに手を置いた。


「問いかける時に、上から落とすのではなくて、下から支えるように言う」


EGUIは、目を細める。


「下から支える」


「はい」


「それ、どうやるんですか」


shihoさんは、少しだけ笑った。


「私も、まだ説明が下手です」


「いや、聞きたいです」


「たぶん」


shihoさんは、低い声でゆっくり言った。


「声を小さくするのではなく、重心を下げる感じです」


EGUIは、試すように小さく言った。


「感情で騒ぐだけになってないか」


いつもの自分の言い方だった。


少し強い。


輪郭が前に出る。


shihoさんは、首を横に振らない。


ただ言う。


「そのままだと、少し刺さります」


EGUIは、もう一度言う。


今度は、声を少し低くした。


「感情で騒ぐだけになってないか」


shihoさんは、少し考える。


「近づきました」


「近づいた?」


「でも、まだ問い詰めています」


EGUIは、少しだけ笑った。


「難しい」


「はい」


shihoさんは、ほんの少しだけ声を置く。


「たとえば」


そして、自分の声で言う。


「感情で騒ぐだけに、なってないかな」


EGUIは、思わず黙った。


同じ意味なのに、全然違う。


言い切りではない。


責めではない。


でも、逃がしてもいない。


問いが、胸の前に置かれている。


「今の……強くないのに、残りますね」


shihoさんは頷いた。


「少し余白があります」


EGUIは、低く笑った。


「俺が言うと、ちょっと気持ち悪くならんかな」


shihoさんは真面目に考えた。


「そのまま真似すると、少し違うかもしれません」


「ですよね」


「EGUIさんのままで、重心を下げればいいと思います」


EGUIは、腕を組んだ。


自分のままで、重心を下げる。


それは、単に優しくなることではない。


丸くなることでもない。


弱くなることでもない。


言葉の芯を残したまま、ぶつけ方を変えることだ。


shihoさんは、静かに続ける。


「EGUIさんの言葉は、支える方が似合います」


その言葉は、二度目だった。


でも、今度はもっと深く入ってきた。


「切るより、支える」


EGUIが言う。


shihoさんは頷く。


「はい」


EGUIは、MIRROR LINEの金髪を思い出した。


あの人は、切る。


それが似合っていた。


派手で、下品で、刃物みたいに言葉を通す。


それは強かった。


でも、自分がそれになる必要はない。


似ている役割でも、同じになる必要はない。


自分のまっすぐさは、切るためではなく、支えるために使えるかもしれない。


EGUIは、静かに言った。


「俺、あの金髪の人見て、ちょっと焦ってたかもしれません」


shihoさんは、黙って聞く。


「同じような締めの役割で、あの人の方が残った感じがして」


「はい」


「だから、俺ももっと鋭くした方がいいのかと思った」


shihoさんは、少しだけ目を伏せた。


「鋭さは、あの人の魅力だと思います」


「はい」


「でも、EGUIさんの魅力とは違うと思います」


EGUIは、ゆっくり顔を上げた。


shihoさんは、はっきり言った。


「EGUIさんの言葉は、そばに残る方が強いと思います」


その言葉で、EGUIの中の何かが少しだけほどけた。


勝負のあと、人はどうしても相手の強さを欲しがる。


相手にあって、自分に足りないものを、自分も手に入れなければと思う。


でも、全部を真似る必要はない。


自分の強みを、どう磨くか。


そこが違う。


shihoさんは、それを言ってくれている。


「ありがとうございます」


EGUIは、自然にそう言った。


shihoさんは、静かに頷く。


「今日、私が感じたことを言っただけです」


「いや、助かります」


EGUIは、少しだけ苦笑した。


「ただ、犬タイプも残ったんですよね」


shihoさんは、少しだけ笑った。


「はい」


「そこが一番きつい」


「でも、あれも支える言葉でした」


EGUIは、目を丸くした。


「犬タイプが?」


shihoさんは真面目だった。


「はい」


「ほんまに?」


「はい」


shihoさんは、少しだけ歌詞を思い出す。


≫ 歩幅が違えば少し待つ

≫ 急ぎすぎたら袖を引っ張る

≫ はみ出したとこも悪くない

≫ 違うからこそ飽きないじゃない


「ここ、好きです」


EGUIは、思わず黙った。


「犬タイプから、ここに行くので」


shihoさんは続けた。


「最初は笑うんですけど、すぐに優しさが来ます」


「優しさ」


「はい。待つ、引っ張る、はみ出したところを悪くないと言う」


EGUIは、目を伏せる。


そこは、たしかに自分が大事にしたかったところだった。


「だから、忘れません」


EGUIは、もう一度胸を押さえた。


「ごふっ」


shihoさんが笑う。


「また」


「そこも残りますか」


「残ります」


EGUIは、しばらく天井を見た。


「残るって、ほんま怖い」


shihoさんは、静かに言った。


「だから、選べます」


EGUIは、shihoさんを見る。


「何を残すか」


その言葉は、壁際に静かに落ちた。


何を残すか。


強い一言を残すのか。


問い詰める感覚を残すのか。


そばにいる感覚を残すのか。


笑いのあとに、優しさを残すのか。


EGUIは、今まで「意味を通す」ことを考えていた。


でも、これからは「何を残すか」も考えなければいけないのかもしれない。


意味は通った。


でも、何が残ったか。


そこまでが、歌なのかもしれない。


EGUIは、静かに言った。


「覚えときます」


shihoさんは頷く。


「今すぐ答えにしなくていいと思います」


「はい」


「今日、疲れていますから」


EGUIは少し笑う。


「それはそうですね」


「食べて、休んでください」


「また食べる話」


shihoさんは真面目に言う。


「大事です」


EGUIは笑った。


「飯は感情ですもんね」


shihoさんは少しだけ目を細める。


「はい」


二人は、ケースの横から個室の中央へ戻ろうとした。


その途中で、EGUIが言う。


「shihoさん」


「はい」


「今日のReShiNa Letter」


shihoさんの表情が少しだけ変わった。


「はい」


「“大きくなるほど怖くなることもある”ってところ」


shihoさんは、目を伏せる。


「はい」


「あれ、かなり刺さりました」


shihoさんは、何も言わない。


EGUIは続ける。


「俺ら、勝ちたいって思ってる。でも、大きくなっていくのが怖いのも、たぶんある」


「はい」


「その怖さを、言葉にしてもらった感じがしました」


shihoさんは、静かに息を吐いた。


「私たちも、怖かったので」


「うん」


「今も、怖いです」


EGUIは、少しだけ驚いた。


「今も?」


shihoさんは頷く。


「はい。でも、怖いままでも歌える時があると、今日少し思いました」


EGUIは、その言葉を受け取った。


怖いままでも歌える。


それは、今日の自分たちにも必要な言葉だった。


悔しいままでも進める。


乱れたままでも食べられる。


泣きそうなままでも笑える。


怖いままでも歌える。


EGUIは、小さく言った。


「それも、残りました」


shihoさんは、少しだけ笑った。


「ありがとうございます」


二人が戻ると、部屋の中では、BEEFがまたSaraに何か言われていた。


「片付け中にケーブルを絡ませるのは、再発防止が必要です」


「うるせえ」


wataが笑っている。


mcRCとrenaさんも、少し離れた席に戻っていた。


その顔は、さっきより少しだけ静かだった。


natsuは、フルートケースを抱いたまま、三人の方を見ていた。


いや、三人を見ているようで、少し違った。


もっと遠く。


店の壁の向こう。

会場の向こう。

今日よりも先のどこか。


そのあたりを見ているようだった。


誰も、それには触れなかった。


natsuも、何も言わなかった。


ただ、ぽつんと、そこにいた。


EGUIは席に戻りながら、自分の中に残った言葉をそっと確認した。


声を沈める。


問いを置く。


切るより、支える。


何を残すかを選ぶ。


答えではない。


まだ、答えにするには早い。


でも、shihoさんの言葉は、確かに残った。


残るって怖い。


だからこそ、選ぶ。


EGUIは、温くなった水を一口飲んだ。


そして、誰にも聞こえないくらい小さく、呟いた。


「何を残すか、か」


その言葉は、まだ歌にはならない。


でも、いつか歌になる気がした。

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