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ラップ付き小説 ReversCrown 元気ないやつこっちおいで  作者: egubi
sound session編

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5-4-9 魂の声じゃない



My restが終わっても、部屋の中には、まだ小さな拍手が残っていた。


会場の二万五千人の拍手とは違う。


大きくない。

揺れない。

床も震えない。

歓声もない。


でも、近い。


目の前の人が、自分の手で鳴らしてくれる拍手だった。


renaは、ギターを抱えたまま笑っていた。


shihoは、少しだけ目を伏せている。


natsuは、フルートを膝に置き、部屋の空気がさっきより流れているかどうかを確かめるみたいに、ぼんやり天井のあたりを見ていた。


リバックラインの五人も、ようやく息をした。


Ninaが両手を合わせたまま言う。


「……なんか、すごいものを見ました」


Miwaは、まだ目元を拭いていた。


「さっきまで泣いてたのに、途中から笑って、最後またちょっと泣きました」


Yuiはメモ帳を膝に置いたまま、ペンを持っていない。


「記録不能です」


Saraが静かに頷く。


「同意します」


Kateは、背筋を伸ばしたまま、でも口元は完全に緩んでいた。


「お疲れ様会のはずが、だいぶ濃くなりましたね」


wataが、まだ少し照れた顔で笑った。


「濃いな。負けた直後にこれは濃い」


mcRCは、深く息を吐いた。


「でも、助かった」


EGUIは黙っていた。


さっきまでの「てへ」をやった人間とは思えないほど、真顔だった。


BEEFはタブレットを片付けながら、低く言った。


「で」


EGUIが見る。


BEEFは言った。


「最後のあれは、魂の叫びか」


空気が止まった。


EGUIの顔が、ものすごく嫌そうになった。


「違う」


wataが即座に食いつく。


「違うん?」


EGUIは、片手で顔を覆った。


「違う。あれは魂の声じゃない」


mcRCが笑いをこらえきれずに肩を揺らした。


「いや、かなり魂出てたけどな」


EGUIは首を振る。


「違う。あれはオチとして、やらざるを得なかったんだよ……」


その言い方が、あまりに切実だった。


wataが吹き出す。


「吐血してるやん」


EGUIは、胸を押さえた。


「ごふっ」


Ninaが限界だった。


「EGUIさんが自分で吐血演出した!」


Miwaも涙を拭きながら笑う。


「さっきまで泣いてたのに!」


Saraが冷静に言う。


「現在、本人は『魂の声ではない』と主張しています」


BEEFが、タブレットをしまいながら言った。


「いや、魂の叫びだろ」


EGUIが即座に言う。


「違う」


BEEFは眉を寄せた。


「綺麗な人を見たら元気出る、だろ」


「言い方」


「かわいいってすごい、綺麗って強い、だろ」


「やめろ」


「男は美しさに弱い評論家、だろ」


「読み上げるな」


wataが机に突っ伏して笑った。


「BEEF、記憶力よすぎるやろ」


BEEFは、少しだけ鼻で笑った。


「刺さったからな」


EGUIが絶望した顔をする。


「刺さらんでええ」


natsuが、静かに言った。


「刺さってる」


EGUIがnatsuを見る。


natsuは、いつもの調子で続けた。


「風に乗ってた」


部屋がまた笑った。


EGUIは完全に崩れた。


「もうだめだ」


Kateが、そこで手を軽く叩いた。


「ぶちょー」


mcRCが反応する。


「ん?」


Kateはにこにこしていた。


仕事の仮面ではない。


かなり調子に乗っている方のKateだった。


「恵まれてますよ」


mcRCが嫌な予感を覚えた顔をする。


「何が?」


Kateは、ReShiNaとリバックラインを片手で示した。


「こんなに綺麗どころに囲まれて」


mcRCが固まる。


wataが、にやっとする。


EGUIは、今度は自分だけではなくmcRCも巻き込まれたことに、少しだけ安心した顔をした。


BEEFが低く言う。


「確かに」


mcRCは両手を上げた。


「いや、違う違う違う」


Ninaが即座に乗る。


「違わないです。事実です」


Miwaが頷く。


「客観的事実です」


Saraが冷静に補足する。


「人数、容姿、支援内容、いずれの観点から見ても恵まれています」


mcRCがSaraを見る。


「そこ分析する?」


Saraはまっすぐ言った。


「必要です」


Yuiがメモ帳を開きかける。


「部長、恵まれている」


mcRCが慌てる。


「書かんでええ!」


natsuが、ぽつりと言う。


「潤ってる」


wataが机を叩いた。


「natsu、そこ拾うんや!」


EGUIが顔を覆ったまま言う。


「感動を返せ」


BEEFがすぐ言った。


「返らねえよ」


EGUIが低く言う。


「返せ」


BEEFは肉を食べながら言った。


「魂の叫びは返らねえ」


「違う!」


部屋が笑いで揺れた。


さっきまで、負けの痛みで重かった場所に、ちゃんと笑いが戻ってきていた。


完全に消えたわけではない。


10.9対11.2は消えていない。


MIRROR LINEの完成度も、まだ胸に残っている。


BEEFの中の整理できない悔しさも、まだある。


でも、笑えている。


そのことが、少し大きかった。


笑いが落ち着いたあと、mcRCが姿勢を直した。


さっきまでの茶化しの空気が、少しだけ変わる。


「でも」


声が静かだった。


「ありがとう」


その一言で、部屋の空気がまた整った。


mcRCは、まずReShiNaの三人を見た。


「rena、shiho、natsu」


三人が顔を上げる。


「ほんまにありがとう。あの歌、ちゃんと届いた」


renaは、胸元でギターのストラップを握った。


「届いたなら、よかったです」


mcRCは頷く。


「勝てとか、頑張れとか、そういう言葉じゃなくて……壊れないでって言われたの、助かった」


wataも続いた。


「俺、正直さ。負けたあと、褒められても痛いし、慰められても痛いし、どうしたらええねんってなってたんよ」


Ninaが小さく頷く。


wataはReShiNaを見た。


「でも、歌で来られたら逃げられんかった」


shihoが、少しだけ申し訳なさそうに眉を下げる。


「逃げ場を塞ぐつもりでは……」


wataはすぐ首を振った。


「いや、いい意味で。ちゃんと受け取らされた」


EGUIも言う。


「ありがとう。言葉で言われたら、たぶん俺らは理屈で返してた」


Saraが、静かに目を伏せた。


EGUIは続けた。


「でも、歌だったから、返せなかった。受け取るしかなかった」


natsuが、小さく頷く。


「受け取った」


EGUIも頷いた。


「受け取った」


少し遅れて、BEEFが口を開いた。


「……俺も」


全員がBEEFを見る。


BEEFは、相変わらず少し不機嫌そうな顔をしていた。


でも、さっきとは違う。


荒れているというより、照れている。


「俺も、助かった」


renaの目が、少しだけ揺れた。


BEEFは、言葉を選ぶのが下手だった。


それでも言う。


「負けたの、まだ腹立ってる。納得もしてねえ。あいつの『またやろう』も、まだむかついてる」


Saraが静かに言う。


「MIRROR LINEのDJさんですね」


「そうだよ」


「確認です」


「今いらねえ」


少し笑いが起きる。


BEEFは続けた。


「でも、あの歌で……ちょっとだけ、壊れずに済んだ」


natsuが、フルートを抱えたまま言う。


「牛、壊れなかった」


BEEFはnatsuを見る。


「牛じゃねえ」


Saraが即座に言う。


「現在、否定反応は安定しています」


BEEFがSaraを睨む。


「観察続けんな」


Saraは淡々と返す。


「経過観察です」


また笑いが起きた。


それでも、BEEFは逃げなかった。


「ありがとう」


短い。


ぶっきらぼう。


でも、ちゃんとReShiNaに向いた言葉だった。


renaは、小さく頭を下げた。


shihoも静かに頷く。


natsuは、BEEFを見て言った。


「少し、戻った」


BEEFは、今度は否定しなかった。


ただ、肉を一口食べた。


そのあと、mcRCはリバックラインの五人を見た。


「それから、リバックラインのみんなも」


五人が少し緊張した。


mcRCは言葉を探すように、ゆっくり続けた。


「待っててくれて、ありがとう」


Ninaが、少しだけ目を伏せる。


mcRCは言った。


「なんて声かけたらいいか、困ったやろ」


Ninaは、苦笑いした。


「困りました」


Miwaも小さく手を上げる。


「困りました」


Yuiも言う。


「作業表になかったです」


wataが笑う。


「そこは正直でええな」


mcRCは、笑いながら頷いた。


「でも、その困ってるのも含めて、伝わった」


Kateが顔を上げる。


mcRCは続けた。


「心配してくれてるのも。場を整えようとしてくれてるのも。飯に連れていこうとしてくれたのも。店探してくれたのも」


Saraが静かに言う。


「必要な対応でした」


mcRCは頷く。


「うん。必要やった」


wataも続く。


「ほんま、俺ら多分、放っとかれたら帰ってたわ」


Miwaが即答する。


「帰らせません」


Ninaも言う。


「絶対ダメでした」


Yuiが真顔で言う。


「帰宅単独行動は、感情面でリスク高めでした」


wataが指を差す。


「また復旧手順になってる」


Saraが言う。


「間違っていません」


EGUIが、五人を見た。


「ありがとう」


短い。


でも、はっきりしていた。


「気持ちだけじゃなくて、行動で見せてくれた」


Miwaが目を潤ませる。


「そんな……」


EGUIは続けた。


「それ、助かる」


その一言に、Miwaはもう駄目だった。


また涙が出た。


Ninaがすぐにハンカチを渡す。


「Miwaさん、二回目です」


Miwaは泣きながら言う。


「だって、助かるって……」


Saraが静かに言った。


「感情の反応として自然です」


wataがSaraを見る。


「今日、感情の専門家みたいになってる」


Saraは少しだけ首を傾げた。


「私は権利確認です」


「絶対今関係ないやろ」


Kateが、そこでにこっと笑った。


「でも、ぶちょー」


mcRCが身構える。


「また?」


Kateは楽しそうだった。


「ちょっと、幸せすぎるかもしれませんね」


mcRCが黙った。


その言葉は、茶化しに聞こえて、少し本質だった。


負けた夜。


悔しい夜。


認められていないような気持ちになった夜。


それでも、自分たちを待っている人がいる。


食べさせようとしてくれる人がいる。


歌で手紙を返してくれる人がいる。


不器用にツッコミを入れてくれる人がいる。


場所を整えてくれる人がいる。


泣いてくれる人がいる。


笑わせてくれる人がいる。


それは、確かに幸せすぎるかもしれなかった。


mcRCは、少しだけ目を伏せた。


「……そうやな」


wataも、テーブルを指で叩きながら言う。


「我ながら単純やけど」


EGUIが見る。


wataは笑った。


「ちょっと力湧いてきてる」


Ninaが嬉しそうに言う。


「いいじゃないですか」


wataは肩をすくめる。


「いや、単純やなって」


BEEFが低く言う。


「綺麗どころたくさんだからな」


部屋が一瞬止まった。


次の瞬間、Ninaが吹き出した。


Miwaが真っ赤になる。


Yuiが「綺麗どころ」と小さく復唱してしまい、Saraに見られて黙る。


Kateは、にやにやしながらmcRCを見る。


「ほら、ぶちょー」


mcRCは両手を上げる。


「俺が言ったんちゃう!」


EGUIが深く頷く。


「力が湧く」


Saraがすぐに言う。


「距離と敬意」


EGUIは即答した。


「距離と敬意」


natsuが、ゆっくり言う。


「でも、潤う」


全員がnatsuを見る。


natsuは、まったく悪気なく続けた。


「しょうがない」


wataが笑う。


「強い」


BEEFも、少しだけ口元を動かした。


「今日のnatsu、刺しに来るな」


natsuは首を傾げる。


「風」


Saraが補足する。


「通った結果、刺さった可能性があります」


「分析すんな」


笑いが、今度はかなり長く続いた。


その笑いの中で、mcRCは少しずつ息ができるようになっていた。


負けは消えない。


悔しさも消えない。


MIRROR LINEの強さも、まだ痛い。


でも、悔しいで落ちるだけではなくなっていた。


今回の負けは、課題だ。


まだ解決はしていない。


何が足りなかったのか。

どう変わるべきなのか。

MIRROR LINEとの違いを、どこで自分たちの力へ変えるのか。

BEEFは、チームのDJとして何を見るのか。

三人は、勝つことに意識を向けた時、何を見失うのか。


それは、これからの話だ。


今ここで全部は解決しない。


でも少なくとも、負けたから終わりではなかった。


悔しいから沈むだけでもなかった。


食べて、笑って、歌を受け取って、歌で返した。


それだけで、人は少し戻れる。


mcRCは、ReShiNaの三人を見た。


「てかさ」


renaが顔を上げる。


「はい」


mcRCは、少し困ったように笑った。


「ReShiNa Letter、正直やばいわ」


wataがすぐ頷く。


「やばい。あれはやばい」


EGUIも言う。


「重い」


shihoが少し不安そうな顔をする。


「重すぎましたか?」


EGUIは首を振る。


「違う。ちゃんと重い」


wataが続ける。


「レジーナレターやで」


Ninaが即反応した。


「タイトルとして強すぎますね」


Miwaも言う。


「ファンの方が聞いたら……」


wataが真顔になる。


「ぶちころされそう」


renaが目を丸くする。


「えっ」


mcRCがすぐ手を振る。


「いや、物理的にじゃなくて」


Saraが冷静に言う。


「比喩表現です」


BEEFが低く言う。


「ガチ恋勢な」


部屋がまた妙な空気になる。


shihoが少し困った顔で言う。


「ガチ恋勢……」


Ninaが小声で言う。


「いますよね」


Miwaが頷く。


「いますね」


Yuiが、ものすごく小さく言う。


「レジーナガチ恋勢」


Saraが即座に見る。


「不用意な分類は慎重に」


Yuiはメモ帳を閉じた。


「はい」


wataが、ReShiNa三人を見た。


「あれはなんなん?」


renaが、目をそらした。


shihoも目をそらした。


natsuは、フルートケースを撫でている。


mcRCが、少し笑いながら聞く。


「いや、ほんまに。あれは、なんなん?」


renaが小さく言う。


「言わないで」


shihoも続ける。


「聞かないで……」


wataが笑う。


「認めてない感じ?」


renaは、さらに小さくなる。


「認めてないです」


shihoも、少しだけ耳を赤くして言う。


「認めてません」


natsuが、ぽつりと言った。


「風は知ってる」


renaとshihoが同時にnatsuを見る。


「natsu」


「natsu」


natsuは首を傾げる。


「違った?」


renaは顔を覆った。


shihoは深く息を吐いた。


BEEFが小さく笑った。


「認めてんじゃねえか」


renaが首を振る。


「認めてません」


wataがにやにやする。


「でも、あれ手紙やろ」


「手紙です」


「誰宛て?」


renaが止まる。


shihoも止まる。


natsuは、迷いなく言った。


「Dear you」


wataが腹を抱えた。


「逃げ方がタイトル!」


EGUIも笑った。


「正しい」


Saraが頷く。


「表記上は正しいです」


Ninaが、楽しそうに言う。


「ガチ恋勢に怒られないように、“Dear you”で押し通しましょう」


Kateが笑う。


「安全な表現ですね」


Miwaがぽつりと言う。


「でも、あれを目の前で歌われたら、そりゃ……」


言いかけて、Miwaも止まった。


wataがすぐに食いつく。


「そりゃ?」


Miwaは真っ赤になった。


「何でもないです」


mcRCが笑う。


「認めてない人、増えたぞ」


BEEFが低く言う。


「全員やばいな」


Saraがすぐ言う。


「BEEFさんも、さきほどかなり聴いていました」


BEEFが眉を寄せる。


「俺は別に」


Saraは表情を変えない。


「箸が止まっていました」


BEEFが黙る。


「呼吸も浅くなっていました」


「観察やめろ」


「必要です」


natsuが、最後に言う。


「牛も、手紙読んだ」


BEEFは、言い返そうとして、やめた。


そして、肉を食べた。


それを見て、部屋がまた笑った。


笑いながら、少しだけ泣いている人もいた。


泣きながら、肉を食べている人もいた。


歌った人たちも、照れている。


支えた人たちも、照れている。


負けた人たちも、少し戻っている。


たぶん、これでいい。


完璧な反省会ではない。


立派な決意表明でもない。


課題解決でもない。


ただ、負けた夜に、ちゃんと人がいる。


それだけで、今は十分だった。


wataが、椅子にもたれて息を吐く。


「まあ、ほんま単純やけど」


mcRCが言う。


「うん」


EGUIが続ける。


「単純でいい」


BEEFが、まだ少し不機嫌そうに言った。


「まだ悔しいけどな」


wataが即答する。


「そりゃ悔しいわ!!」


mcRCも言う。


「悔しい」


EGUIも頷く。


「悔しいな」


BEEFは、少しだけ黙ったあと、低く言った。


「……ならいい」


Saraが、静かに言う。


「悔しさは残存。食事摂取は進行。会話量は回復傾向」


BEEFが睨む。


「報告すんな」


Saraは、ほんの少しだけ口元を緩めた。


「安心材料です」


その言葉に、BEEFは黙った。


安心材料。


それなら、少しだけ許す気になった。


natsuが、またぽつりと言う。


「風、さっきより動いてる」


mcRCが、natsuを見る。


「そう?」


natsuは頷く。


「まだ強くない。でも、止まってない」


それ以上は言わなかった。


natsuは、まだ核心を言わない。


勝ちを見すぎて音が固くなっていること。

スウィングが止まっていること。

風が遠くまで行っていないこと。


それは、まだこの夜に出す言葉ではない。


今はただ、風が少し動いた。


それでよかった。


renaが、静かに微笑む。


shihoが、水を一口飲む。


Kateが次の料理を確認する。


Ninaが場を明るくする言葉を探す。


Miwaが「飯は感情」をまた小さく呟く。


SaraがBEEFの肉の減り具合を確認する。


Yuiが今度こそ少しだけメモを取る。


BEEFがそれに気づいて、睨む。


Yuiはすぐページを閉じる。


wataが笑う。


EGUIが、まだ少し照れた顔で言う。


「だから、魂の声じゃないからな」


BEEFが即答する。


「魂だろ」


Kateがにこにこして言う。


「ぶちょー、感動を返してほしいですけど、ありがとうございました」


mcRCが苦笑する。


「なんで俺に来るん」


Ninaが言う。


「代表です」


Saraが補足する。


「チーム責任者扱いです」


mcRCが肩を落とす。


「また責任か」


Miwaが笑う。


「でも、幸せな責任です」


その言葉に、mcRCは少しだけ黙った。


幸せな責任。


たしかに、そうだった。


負けた夜に、こんなに人がいてくれる。


こんなに心配される。


こんなに笑われる。


こんなに歌われる。


こんなに食べろと言われる。


それは、幸せすぎる責任だった。


mcRCは、ゆっくり言った。


「ありがとう」


今度は、部屋全体へ向けて。


「ほんまに、ありがとう」


誰も、茶化さなかった。


一瞬だけ、ちゃんと受け取った。


そのあと、natsuが言った。


「肉、冷める」


BEEFが即座に皿へ手を伸ばす。


「それは困る」


wataが笑う。


「そこは素直なんかい」


Saraが静かに言う。


「摂取継続、良好です」


BEEFが睨む。


「もうええわ」


部屋にまた笑いが戻る。


負けは消えない。


悔しさも消えない。


でも、それだけでは終わらない。


この夜は、まだ完全な復活ではない。


ただ、落ちるだけの夜ではなくなった。


ReShiNa Letterを受け取り、My restを返し、飯を食べ、笑い、照れ、茶化され、また少しだけ息をした。


それで、十分だった。


今日はここまで。


答えは、次の夜でいい。


今は、休む。


休んだ俺が、また強い。


その言葉が、照れくさいくらい本当に思えた。

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