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ラップ付き小説 ReversCrown 元気ないやつこっちおいで  作者: egubi
reshina編

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132/200

4-5-1 君に会えてよかった


その連絡は、ReShiNaからReverse Crownに届いた。


長い文章ではなかった。


必要なことだけが、静かに置かれていた。


聞いてほしい曲があります。


その一文を、リバクラ三人は同じ画面で見た。


mcRCがスマホをテーブルの真ん中に置く。


wataは、椅子の背もたれに片腕をかけたまま、少しだけ身を乗り出した。


EGUIは、腕を組んで黙っていた。


誰も、すぐには喋らなかった。


「聞いてほしい曲があります」


ただそれだけなのに、そこにある重さは十分だった。


新曲ができたから聴いてほしい。


たぶん、それだけではない。


ReShiNaが、自分たちからリバクラを呼んでいる。


自分たちの音を、まず三人に渡そうとしている。


その意味が、三人にはちゃんと伝わっていた。


wataが、最初に口を開いた。


「これ、軽く返したらあかんやつやんな」


mcRCは頷いた。


「うん」


EGUIも、静かに言った。


「行こう」


短い。


でも、それで決まった。


mcRCはReShiNaへ返信した。


三人で行きます。

ちゃんと聞かせてもらいます。


送信してから、mcRCは少しだけ手を止めた。


ちゃんと聞く。


自分で打った言葉なのに、その重さが胸に残った。


TSUBOMIで一緒に曲を作った。


雪解けレゲルトで外を見ようとしていた。


常連へありがとうを伝えた。


綿毛をもう一度飛ばした。


それから、今度は自分たちを呼んだ。


順番がある。


ここまで来たから言える「聞いてほしい」がある。


wataが、スマホを見ながら小さく言った。


「場所、小さいライブハウスなんや」


mcRCが頷く。


「うん。観客は入れないって」


EGUIが少し顔を上げる。


「俺らだけ?」


「俺らだけ」


その言葉で、部屋の空気が少し変わった。


観客の前ではない。


配信でもない。


二組だけ。


見せるための場所ではなく、渡すための場所。


wataは、ふっと息を吐いた。


「……緊張するな」


mcRCが見る。


「珍しいな」


「いや、これはするやろ」


wataは、少しだけ笑った。


でも、その笑いはすぐに静かになった。


「ReShiNaが、俺らに聞いてほしいって言ってるんやで」


EGUIは頷いた。


「茶化さんで聞く日やな」


wataが、少し不満そうにEGUIを見る。


「俺、そんな毎回茶化す人間ちゃうで」


mcRCが、間髪入れずに言った。


「わりと茶化す」


EGUIも頷く。


「わりと」


wataは二人を見た。


「仲間とは」


mcRCが笑う。


EGUIも、ほんの少しだけ口元を緩める。


その小さな笑いで、緊張が少しだけほどけた。


でも、軽くなりすぎない。


今日向かう場所には、ちゃんと重さがある。


リバクラ三人は、それを分かっていた。


小さなミニライブハウスは、駅から少し離れた場所にあった。


大きな看板はない。


地下へ降りる階段の入り口に、小さな黒いボードが置かれているだけ。


そこに、白いチョークで一言だけ書かれていた。


closed rehearsal


その下には、何もない。


Reverse Crownの名前もない。


ReShiNaの名前もない。


客を呼ぶための夜ではないからだった。


三人は、階段を降りた。


壁は黒く塗られていて、ところどころに古いステッカーの跡が残っていた。


剥がれかけたライブ告知の紙。


誰かが貼ったまま忘れたバンドロゴ。


小さな照明が、足元だけを黄色く照らしている。


wataが、階段を降りながら言った。


「いい箱やな」


mcRCは頷いた。


「音、近そう」


EGUIが言う。


「今日には合ってる」


地下の扉の前で、三人は立ち止まった。


中から、かすかな音が聞こえた。


アコギのチューニング。


低いピアノの確認音。


フルートの短い息。


まだ曲ではない。


でも、ReShiNaがそこにいることは分かった。


mcRCは、ノックする前に一度だけ二人を見た。


wataは、いつもの軽い笑顔を消していた。


EGUIは、まっすぐ扉を見ていた。


三人とも、頷いた。


mcRCがノックする。


少しして、内側から足音が近づいた。


扉が開く。


出てきたのはrenaだった。


いつもより少しだけ緊張している。


けれど、目は逃げていなかった。


アコギのストラップを肩にかけたまま扉を開けたせいで、動きが少しだけぎこちない。


それが逆に、今日の本気を伝えていた。


「来てくれて、ありがとうございます」


mcRCは、深く頭を下げた。


「呼んでくれてありがとうございます」


wataも頭を下げる。


「ちゃんと聞きに来ました」


EGUIも静かに言った。


「聞かせてもらいます」


renaは、その言葉を受け取るように、小さく頷いた。


奥では、shihoがピアノの横に立っていた。


黒いバスクラリネットのケースが足元にある。


natsuは、ステージ脇でフルートを持っていた。


ローホイッスルも横に置いてある。


三人とも、衣装というほどではない。


でも、普段着でもない。


ステージに立つための服。


けれど、誰かに見せびらかすためではなく、自分たちの音に少しだけ背筋を合わせるための服だった。


ミニライブハウスの中は、思っていたより狭かった。


客席とステージの距離が近い。


椅子は三つだけ並べられている。


リバクラ三人のための椅子だった。


本当に、聞いてもらうためだけに整えられた場所だった。


wataは、その椅子を見て、少しだけ笑った。


「近いですね」


shihoが、少し照れたように言う。


「遠いと、逃げそうだったので」


wataは一瞬止まる。


それから、静かに笑った。


「それ、俺らが?」


shihoは首を横に振った。


「私たちが」


その言葉で、リバクラ三人の表情が少し変わった。


逃げそうだったのは、ReShiNaの方。


だから、近い場所を選んだ。


逃げにくいように。


でも、追い詰めるためではなく。


ちゃんと渡すために。


natsuが、フルートを持ったまま、ぽつりと言った。


「遠いと、風が曲がる」


wataは、すぐに反応しかけた。


でも、今日は茶化さないと決めていたので、口を閉じた。


その代わり、少しだけ真面目な顔で頷く。


「今日は、まっすぐ聞きます」


natsuは、少しだけ目を細めた。


「うん」


それだけで、会話は終わった。


でも、十分だった。


ReShiNa三人は、ステージへ上がった。


リバクラ三人は、客席の椅子に座った。


背もたれに寄りかからない。


腕を組んで構えない。


足を投げ出さない。


三人とも、前を向いて座った。


聞くための姿勢だった。


renaは、マイクの前に立った。


shihoはピアノの前に座り、バスクラリネットをすぐ横に置く。


natsuはフルートを手に取った。


低く沈む音ではない。


今日は、人を見るところまで来た音。


その音には、少しだけ明るさが必要だった。


renaが、リバクラ三人を見た。


逃げなかった。


ちゃんと、見た。


「聞いてください」


一拍。


「君に会えてよかった」


最初に、短いフルートの息が入った。


natsuの音は、明るすぎなかった。


でも、前を向いていた。


その音のあと、renaの声が入る。


shihoの低い声が支える。


アコギとピアノが、近すぎない距離で重なる。


曲が始まった瞬間、リバクラ三人の顔つきが変わった。


これは、ただの感謝の曲ではなかった。


ただの「ありがとう」でもなかった。


そこには、痛みがあった。


届かなかったものがあった。


近づいたからこそ遠さを知った時間があった。


それでも、会えてよかったと言う。


その強がりと本音が混ざった温度が、最初の数小節だけで伝わってきた。


mcRCは、膝の上で指を少しだけ握った。


画面の向こう。


ライブの向こう。


同じ場所に立った日。


その全部が、曲の中でひとつの景色になっていた。


wataは、視線を落としかけて、戻した。


見なければいけないと思った。


この曲は、自分たちを責めているわけではない。


でも、自分たちが関わったことで生まれた痛みや光を、ReShiNaがちゃんと見ている。


そのことが、胸に来た。


EGUIは、ほとんど動かなかった。


けれど、口元が少しだけ固くなっていた。


「会えてよかった」という言葉が、こんなに簡単ではないことを、彼は知っていた。


簡単に言える時もある。


でも、言うのに覚悟がいる時もある。


今のReShiNaが歌っているのは、その後者だった。


曲は、静かに進んだ。


フルートが空気を変える。


バスクラリネットが胸の奥に沈む。


アコギが、言葉の縁を照らす。


renaの声は、何度か揺れた。


でも、逃げなかった。


shihoの声は、低く深く、揺れた言葉を受け止めた。


natsuのフルートは、届きすぎない距離でずっと隣にいた。


リバクラ三人は、途中で何も言わなかった。


頷くこともしすぎなかった。


茶化さなかった。


解説もしなかった。


ただ、聞いた。


目の前で、ReShiNaが自分たちに向けて渡してくれている曲を、最後まで聞いた。


最後の音が消えた。


小さなライブハウスに、静けさが落ちた。


拍手は、すぐには起きなかった。


リバクラ三人は、動けなかった。


ReShiNa三人も、ステージの上で息を整えていた。


一秒。


二秒。


三秒。


その沈黙を破ったのは、mcRCだった。


ゆっくり、手を叩いた。


一度。


そして、もう一度。


それにwataが続く。


EGUIも続く。


三人だけの拍手だった。


でも、小さくはなかった。


音が、客席の近い壁に当たって返ってくる。


三人分の拍手が、何人分にも聞こえた。


renaの目元が、一気に揺れた。


shihoは、少しだけ顔を伏せた。


natsuは、フルートを持ったまま、じっと拍手を聞いていた。


拍手は、すぐには止まらなかった。


言葉より先に、手が動いていた。


ありがとう。


届いた。


受け取った。


その全部を、拍手で返していた。


ようやく拍手が落ち着いたあと、wataが小さく言った。


「……これ、あかんやつや」


renaが、少し不安そうに見る。


「あかん?」


wataは、慌てて手を振った。


「いや、いい意味です。いい意味のあかんです」


natsuが、少しだけ首を傾げる。


「痛いのに?」


wataが止まる。


mcRCが、思わず笑いそうになる。


EGUIが低く言った。


「返ってきたな」


wataは、天井を見た。


「最近、全部返ってくる」


その場に、小さな笑いが落ちた。


泣きそうな空気の中に、少しだけ笑いが入る。


それで、ReShiNa三人の肩の力も少し抜けた。


mcRCは、椅子から立ち上がった。


でも、ステージには上がらない。


距離を保ったまま、まっすぐ言った。


「本当に、聞かせてくれてありがとう」


renaは、アコギを抱えたまま、小さく頷いた。


「こちらこそ」


mcRCは、少しだけ言葉を探した。


「自然だけじゃなくて、俺らを見てくれたんだなって思いました」


その言葉に、renaの目が揺れた。


shihoも、静かにmcRCを見る。


natsuは、フルートを下ろした。


mcRCは続けた。


「俺らの曲の作り方とか、距離とか、強がりとか、痛いところまで見てくれてた。だから、嬉しいのに、ちょっと逃げたくなるくらいでした」


wataが頷く。


「分かる。見られてた」


EGUIも言う。


「でも、雑に見られた感じじゃなかった」


shihoは、その言葉に少しだけ息を吐いた。


「それなら、よかったです」


wataは、少し笑った。


「いや、よかったどころじゃないですけどね。だいぶ持ってかれました」


renaは、少し照れたように笑った。


natsuが、真面目に言う。


「持っていってない」


wataは、すぐに言った。


「持っていかれました」


natsuは、少し考えた。


「じゃあ、返す?」


wataは固まった。


mcRCが吹き出す。


EGUIも、口元を押さえる。


wataは、胸のあたりを押さえて言った。


「返さなくていいです。置いといてください」


natsuは頷いた。


「置く」


その短いやり取りで、また場が柔らかくなった。


でも、mcRCの中には、さっきからずっと残っているものがあった。


このまま終われない。


ReShiNaが、自分たちに向けて曲を用意してくれた。


それを受け取って、ありがとうで終わるのも違う。


自分たちにも、持ってきたものがある。


今日、ここで渡すべきものがある。


mcRCは、wataとEGUIを見た。


二人とも、もう分かっている顔をしていた。


wataは、小さく頷いた。


EGUIも、短く頷く。


mcRCは、ReShiNa三人へ向き直った。


「このまま、俺たちからも一曲いいかな」


renaが、目を丸くした。


shihoも、少し驚いたように顔を上げる。


natsuは、フルートを持ったまま言った。


「あるの?」


wataが、少しだけ笑った。


「あります」


EGUIが続ける。


「俺らも、持ってきました」


renaは、アコギを抱えたまま、言葉を失った。


shihoが、静かに聞く。


「私たちに?」


mcRCは頷いた。


「はい」


wataは、少し照れくさそうに首の後ろを掻いた。


「さっきの曲聴く前から、持ってきてました」


EGUIが言う。


「ReShiNaに向けて書いた曲です」


小さなライブハウスの空気が、また変わった。


今度は、ReShiNaが客席側に座る番だった。


さっきまでステージに立っていた三人が、ゆっくり降りる。


renaは、アコギを抱えたまま、客席の一番前に座った。


shihoは、少し迷ってから、その隣に座る。


natsuは、フルートをケースに戻さず、膝の上に置いて座った。


三人とも、まだ少し夢の中にいるような顔をしていた。


リバクラ三人が、ステージに上がる。


マイク三本。


観客は三人だけ。


でも、三人の顔つきは、いつものライブと同じではなかった。


煽るための顔ではない。


勝つための顔でもない。


渡すための顔だった。


wataが、小さく息を吐く。


「これ、緊張するな」


EGUIが言う。


「さっき向こうもそうやったと思う」


wataは頷いた。


「せやな」


mcRCは、マイクの前に立った。


ReShiNa三人を見る。


「この曲は、俺たちからReShiNaへの曲です」


renaが、膝の上で手を握った。


shihoは、静かに背筋を伸ばした。


natsuは、フルートを抱え直した。


mcRCは、少しだけ笑った。


でも、目は真剣だった。


「君たちの音に、憧れました」


一拍。


「聞いてください」


その言葉が、小さなライブハウスに落ちる。


「君の音に憧れて」


リバクラの曲が始まった。


最初は、三人の声だけだった。


ビートは小さく。


手拍子もない。


客席が三人だけだからこそ、言葉の輪郭がはっきりしていた。


ReShiNa三人は、動かなかった。


ただ、聞いた。


今度は自分たちが、受け取る番だった。


renaは、すぐに目元を揺らした。


見た目より先に。


女の子としてより先に。


物語の飾りとしてより先に。


音を聴かれていた。


その事実が、怖いほどまっすぐ届いた。


shihoは、低く息を吸った。


触れるより前に尊重してくれる。


それは、ReShiNaが一番欲しかった距離だった。


近づきすぎない。


でも、遠ざけもしない。


奪わない。


でも、見ている。


natsuは、フルートを抱えたまま、動かなかった。


けれど、指先だけが少し震えていた。


曲の中で、リハ室の隅が見えた。


開くフルートケース。


寝ぐせのままで鳴らす新しいフレーズ。


パーカーの袖。


譜面台。


一音目で空気が晴れる瞬間。


natsuは、少しだけ目を伏せた。


自分では、ただ普通に音を鳴らしていただけだった。


でも、mcRCはそこを見ていた。


自分では価値だと思っていなかったものを、音として、景色として、ちゃんと拾っていた。


曲は、shihoの低い音へ向かう。


バスクラリネットの黒いケース。


低い息。


隠していた痛み。


それを、wataは音として見ていた。


暴くのではなく。


名前を聞き出すのでもなく。


でも、そこにあると分かっている。


その距離が、shihoの胸に来た。


そして、renaの景色が置かれる。


駅前ライト。


アコギケース。


小銭の音より強いフレーズ。


未完成のlyric。


危なっかしくて笑えない夜。


それでも、マイク前で目を閉じたら、人混みの音まで静かになる。


renaは、とうとう涙を落とした。


自分のことを、こんなふうに見ていたのかと思った。


可愛いとか。


綺麗とか。


そういう言葉ではなく。


音楽を作る人として。


届く声を持つ人として。


まだ途中でも、未来へ手を伸ばす人として。


見られていた。


曲は、静かに熱を上げていった。


好きと呼ぶには軽すぎる。


憧れだけじゃ足りない。


奪いたいんじゃない。


縛りたいんじゃない。


その音が続けばいい。


その言葉が届いた瞬間、ReShiNa三人は、ほとんど同時に息を吸った。


その音が続けばいい。


それだけ。


奪いたいでもなく。


救いたいでもなく。


自分たちのものにしたいでもなく。


ただ、その音が続けばいい。


それは、最高の祈りだった。


最後の音が消えた。


リバクラ三人は、マイクの前で息を整えた。


ReShiNa三人は、客席で動かなかった。


拍手が、すぐには出なかった。


今度は、ReShiNaの方が動けなかった。


renaは、涙を拭くことも忘れていた。


shihoは、口元を押さえていた。


natsuは、膝の上のフルートを両手で抱えていた。


やがて、shihoが最初に手を叩いた。


静かな拍手。


そこにrenaが続いた。


natsuも続いた。


三人分の拍手が、小さなライブハウスに響く。


さっきと逆だった。


さっきはリバクラがReShiNaへ拍手した。


今はReShiNaがリバクラへ拍手している。


音を渡して。


受け取って。


今度は返して。


その往復が、拍手の中にあった。


renaは、拍手を止めたあとも、しばらく言葉が出なかった。


ようやく、小さく言った。


「……そんなふうに、聴いてくれてたんですね」


mcRCは、マイクから少し離れた。


「はい」


wataも頷く。


「めちゃくちゃ聴いてました」


EGUIが静かに言う。


「音に、憧れてました」


その一言で、renaの涙がまた落ちた。


shihoも、目元を押さえた。


natsuは、フルートを見たまま、ぽつりと言った。


「憧れられてた」


wataは、少しだけ笑った。


「はい」


natsuは、顔を上げる。


「音が?」


mcRCが頷く。


「音が」


EGUIも言う。


「まず、音が」


その「まず」が、ReShiNa三人には深く届いた。


まず、音。


そのあとに、人。


そのあとに、距離。


そのあとに、笑顔や容姿や関係がある。


でも最初に見られたのは、音だった。


しばらくして、mcRCがステージを降りた。


そして、少しだけ照れたように言った。


「さっきの曲」


renaが見る。


「はい」


mcRCは、言葉を選びながら言った。


「俺たちの声も、入れていいかな」


ReShiNa三人が、同時に固まった。


wataも、少しだけ緊張した顔になる。


EGUIは、黙って見ていた。


mcRCは続けた。


「君に会えてよかった。あれ、俺らも歌いたいです。自分たちの声で、返したい」


renaは、すぐには答えられなかった。


その代わり、shihoがゆっくり息を吐いた。


「それを言うなら」


mcRCが見る。


shihoは、顔を上げる。


「私たちだって、あなたたちの曲に声を入れたいです」


wataの目が少し大きくなる。


「え」


natsuが、フルートを抱え直して言う。


「入りたい」


短い。


でも、強かった。


renaも、涙を拭きながら頷いた。


「君の音に憧れて。あの曲に、私たちも入りたい」


小さなライブハウスの空気が、また一段変わった。


誰かが先に頼んだわけではない。


どちらかがゲストとして呼ばれたわけでもない。


ReShiNaは、リバクラへ曲を用意していた。


リバクラは、ReShiNaへ曲を用意していた。


それぞれが、自分たちだけで準備していた単独曲。


でも、聴かせ合った瞬間、もう単独ではいられなくなった。


相手の声が欲しい。


相手の音が必要だ。


そう思ってしまった。


wataは、少しだけ笑った。


「奇しくも、ですね」


shihoが見る。


wataは続ける。


「お互い、相手に向けて曲持ってきてて。お互い、そこに入りたいって言ってる」


EGUIが静かに言う。


「それが答えやと思う」


mcRCは、ゆっくり頷いた。


「うん」


renaは、アコギを抱えたまま、少しだけ笑った。


まだ涙は残っている。


でも、その笑顔には確かな熱があった。


「じゃあ、作りましょう」


mcRCが頷く。


「作りましょう」


natsuが言う。


「二曲」


wataが笑う。


「はい。二曲」


shihoが、静かに確認するように言った。


「君に会えてよかった feat. Reverse Crown」


EGUIが続ける。


「君の音に憧れて feat. ReShiNa」


その名前が、小さなライブハウスに置かれた。


まだ完成していない。


でも、もう始まっている。


二組の友情が、ここで初めて、はっきりと形を持った。


助ける側と助けられる側ではない。


ゲストと主役でもない。


憧れ合って。


受け取り合って。


入れてほしいと願い合った。


その結果としての、二曲。


wataが、少しだけ照れたように笑う。


「これ、観客おらんの、ちょっともったいないですね」


mcRCも笑う。


「それは思った」


EGUIが言う。


「でも、今日はいなくてよかった」


renaが頷いた。


「うん。今日はいなくてよかったです」


shihoも言う。


「でも、次は誰かに聴いてほしい」


natsuが短く言った。


「少しだけ」


mcRCは、少し考えた。


「じゃあ、次。仕上げる時に、何人か呼びますか」


wataが、すぐに言った。


「リバックライン?」


EGUIが頷く。


「ちょうどいいと思う。騒ぎすぎず、でもちゃんと聴いてくれる」


renaが、少し首を傾げる。


「リバックラインの皆さん」


shihoが静かに言う。


「まだ、ちゃんとお会いしたことはないですね」


mcRCは頷いた。


「はい。窓口でやり取りしてた人たちです。よかったら、次の仕上げの時、来てもらいましょうか」


wataが、少し笑う。


「たぶん、めちゃくちゃちゃんと聴くで」


EGUIが言う。


「あと、めちゃくちゃちゃんと準備してくる」


mcRCも笑った。


「それはそう」


renaは、そのやり取りを見て、少しだけ安心したように笑った。


自分たちがまだ知らない人たち。


でも、リバクラが信頼している人たち。


そこに、少し会ってみたいと思えた。


怖くないわけではない。


でも、会ってみたい。


その変化が、自分でも分かった。


natsuが、フルートを抱えたまま言った。


「次は、人が増える」


shihoが頷く。


「うん」


renaも頷いた。


「でも、大丈夫な気がする」


mcRCは、少しだけ表情を柔らかくした。


「無理はしなくていいです」


renaは、ゆっくり首を横に振った。


「無理じゃないです」


少しだけ、照れたように笑う。


「たぶん、見たいんです」


その言葉で、リバクラ三人は何も言えなくなった。


ReShiNaが、人を見たいと言った。


それは、ここまでのどの拍手よりも、どのコメントよりも、大きな変化だった。


小さなライブハウスの中に、静かな熱が満ちていた。


夢みたいに派手な瞬間ではない。


歓声もない。


照明も大きくは変わらない。


でも、確かに何かが決まった。


君に会えてよかった feat. Reverse Crown。


君の音に憧れて feat. ReShiNa。


二組の曲は、ここから互いの声を迎えに行く。


友情は、握手より先に、音で始まった。


そして今度は、その音に、自分たちから手を伸ばす番だった。

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