勉強会でお家訪問です
「いらっしゃい〜」
ガチャリと鍵を開け四人を招き引き入れる。
「おじゃましまっす!」
「失礼するわ」
「ういーす」
「おじゃまします」
四者四様の返事が帰ってきてなんだか安心する。
「要の服可愛い!」
対面して早々にえりはそう言い放つ、母のセンスに感謝しつつありがとう、と返す。
「本当ね、白いワンピースが白い肌に似合っているわ」
「うんうん制服とはまた違う可愛さ」
「ですね!似合ってます」
褒められ慣れていないのでどう反応すれば、と思いながら照れてしまう。もじもじしていると
「あらあらごゆっくり〜」
なんて母親の挨拶も程々に自室に行ってもらう。
「わー!要の部屋だー!」
ぼふん、と主の承諾も得ずにえりはベッドにダイブする。まあ構わないのだが性格が出るな、なんて思いながら微笑む。
「もう駄目ですよーえりちゃん」
「えー?いいよね?要」
「別にいいよ」
窘める静香に反してえりはこちらに話しかける。
「あらじゃあ私も……要の香りがするわ」
そう真夜は恥ずかしげもなくベッドに横たわりながら呟く。自分の匂いなんて自分ではわからないので少しくすぐったくて恥ずかしく思いながらも微笑ましく眺める。
「お菓子先食べるよん」
涼はマイペースにローテーブルに菓子を広げサクサクと食べ始める。勉強会という名の要家訪問になりつつあるので軌道修正をしなければ、と思いつつ自分の部屋に友達が来るのがなんだか嬉しくて笑ってしまう。
「要なんか嬉しそう?」
いつの間にか近くに来ていた涼に話しかけられる。
「ふぇ?……あんまり家に友達呼んだりした事ないからかな?」
「そなんだこれからはたーくさんあそぼ」
「う、うん!」
「あー!内緒バナシしてる?!えりも混ぜて!」
ベッドで戯れていたえりと真夜もローテーブルに集合する。後ろでおろおろとしていた静香も呼び、無事ローテーブルに全員揃ったところで勉強会を開始する。
基本的に真夜と静香と要が教えてえりと涼が教えてもらう形に落ち着いた。教えるのも勉強になるんだな、と思いながら問題を解き課題を終わらせていく。
「あー!もうむり!」
先に根を上げたえりがベッドに倒れ込みながらペンを放り投げる。
「頭パンクー」
続いて涼も要の太ももを枕にして倒れる。
「ちょ?!涼なにするの!」
「お恥ずかしがってる」
ふは、と軽い笑いを浮かべながら涼は呑気に足を撫でてくる。そんな仕草がこそばゆくて笑ってしまう。
「じゃあ休憩ね」
真夜もそう言いながら要にもたれかかって腕を胸元に持っていきぎゅっと掴む。腕には真夜のたぷんとした感触、足には涼のほっぺのやわらかさが伝わってゆでダコのように顔が一気に赤くなる。
「要ちゃんが困ってるでしょ!」
と静香は反対側の腕を引っ張るが、手の位置がとても危うく、スカートの中に入ってしまっている。触れてはないが女子のその部分に当たりそう、という事実だけでまたしても顔が熱くなっていく。
「じゃあこっちはー?」
そう言いながらえりは後ろから抱きしめるように胸で頭を包み込む、服越しでもわかるふわふわとした感触に頭がクラクラとしながらもどうにか平静を保つ。
「み、みんな離れ……」
そう言い出してみるも休憩中なのだから良いだろう、という返事しか帰ってこなかった。
「みーんな要がすきなんだよ!」
「そうね、好ましく思っているわ」
「ふふっ要すきー」
「わ、私もです……」
女子同士の絡みというのは誰もこんな物なのだろうか?こんなにくっついてきたり好きだと口にしたり、恥ずかしがっている僕がおかしいのだろうか?いや、でもさすがにこの状況は非常に良くない。
「もー!私も好きだからちょっと離れて!」
「んもうかわいいにゃ〜!」
「このくらいで恥ずかしがっちゃうのね」
「どきたくないなー」
「わかりました……」
各々が寂しげに、残念がるように離れていき、赤くなっていた顔も、手で仰いで少し冷めてくる。
そうしているとトントンとドアにノックする音が聞こえる。
「ジュースとお菓子よ食べてねぇ」
そう母が言うとみんなの意識は一気にそちらに向く。母さんグッジョブと思いながら要もジュースを飲み、菓子をつまんだ。自分も同じくらいのテンションでくっついた方が良いのだろうか?と考えながらその日はもんもんと過ごす事になってしまったのだった。




