放課後デートです
先日の勉強会を終え、採点を待つだけになりほっと一息ついていると賑やかな声が聞こえた。
「やーっと終わったね!テスト!」
えりは要の頭の上に胸を乗せながら上から話しかける。ふわふわとした触感に戸惑いながらも同性ならば大したことではない、と自分に言い聞かせ、「そうだねー」と返す。
「あなた、ちゃんと解けたんでしょうね?」
真夜は少し強めにえりに問いかける。
「もちろん!勉強会したもん〜」
「そう」
質問した割にはさっぱりと返す真夜に苦笑いしながら二人のやり取りに耳を傾けた。
「おわったー」
「涼はどうだった?」
「よゆー」
気だるげに答える彼女は掴みどころがなく結果は不明だが彼女の中では中々の結果だったのだろう。
「もう!みんな気が抜けすぎではないのですか?」
一番成績が良いだろう静香はそう釘を刺す。勉強会をしなくとも良い順位を取れていたはずなのに教えてくれるなんてなんと優しい事だろうか。
「勉強会ではありがとうね、静香」
要もたくさん教えてもらったので思わず感謝の言葉が出る。
「そんな!楽しかったですし……またやりましょうね?」
「うん、やろうね」
「それよりさー打ち上げ行かない?」
相変わらず密着したままのえりがそう問いかける。
「お、いいじゃん」
涼も賛成のようだ。自分も楽しそうだなと思い同意する。
「いいですね!行きましょう」
「まあ要がいるなら行くわ」
静香と真夜も了承し放課後駅前をふらふらする事になった。
そして放課後、さっそく駅前にある服屋に入って物色する。
「要、これ着なさい似合うわよ」
「ゴスロリ?!派手じゃない?」
「あなたにはこのくらいがいいのよ」
なんて真夜につつかれながら更衣室に放り込まれる。こんなの着るのか……と思いつつも可愛いとは思うので袖を通してみる。
「ど、どお?」
「きゃー!要かわいい!」
「似合うわね」
「うんいい」
「買っちゃいましょう!」
みんなからそう囃し立てられるとつい調子に乗ってしまう。照れながら裾をきゅっと掴むとそれすらも「照れてる?かわいー!」というヤジが飛んでくる始末だ。最近は家でも女性物の服を着ているので段々と抵抗も無くなってきた。でも本当に可愛いなこの服、と思いながら値札を見ると桁違いの数字が書かれていたのでそっと棚に戻すのだった。
「本当に買わなくていいんですか?」
「そーだよー似合ってたのに」
「予算不足で……」
「そか」
なんて話しながら他の服も見ていく。お互いに似合いそうな服を提案しあってみたりするのも思いのほか楽しいものだ。
「真夜の服も選んであげる!」
「私?嬉しいわ」
「じゃあ、これ着て!」
濃い紫のラメが散りばめられたワンピースを手渡し更衣室に向かうといきなりぎゅっと手を掴まれ一緒に更衣室に入ってしまう。
「え?どうしたの?」
「着替え、手伝って?」
「ふぇ?!」
驚きが隠せない要をよそに真夜はするすると服を脱ぎ下着姿になる。体育の着替えで見るのとはまた違う羞恥が要の全身に走る。
「ちょ、ちょっと!出るから!」
「しーっ静かに」
「!」
確かにあまりに騒いでしまうとバレてしまう。だからといってこの状況を受け入れるのも難しい話なのだが、ワンピースを着始めている真夜に
「ファスナー、上げてもらえる?」
と言われ思わず赤面してしまう。いつもは黒いロングヘアで隠れているうなじや背中が見えてとても官能的だ。
「じゃ、じゃあ上げるね……」
ジーッと音を立ててファスナーを上げる。ワンピースを身にまとった彼女はとても綺麗だ。
「似合ってるよ」
「ありがとう……これ買うわ」
「え、ほんと?」
「ええ」
そんなに気に入ったのだろうか?それなら嬉しいが、自分が選んだものを買われるというのはなんだか不思議と嬉しいものだ。
そして服屋を出ると外はもうすっかり暗くなっていた。
「今日はこれで解散ですね」
「うーんまた来よーね!」
「だな」
「そうね」
そう解散すると後ろから肩を叩かれ振り向く、そこには手荷物を持った真夜が居た。
「どうしたの?」
「これ、あげるから着てちょうだい」
紙袋には最初に渡されたゴスロリの服が入っていた。自分の服とは別に買っていたようだ。
「こんな高いのもらえないよ!」
「いいから」
そう言うと彼女は駅の方にさっさと帰ってしまった。素直に嬉しいが金額が金額なだけに申し訳ない気持ちも生まれた、だが無下には出来ないので今度遊んだ時にでも着ようと思う。




