小テストと小さな勉強会
「〜という訳で来週はテストするからな。今の範囲忘れないように」
「えー」と言うクラスのみんなの声をよそに要は早速復習の準備をした。
「べんきょダルいね」
涼はそう話しかけてくるが正直勉強が嫌いではない要はうーんとどちらとも言えない返事を返す。この女子校も偏差値が低いわけではない。クラスもなんやかんや言って真面目な人が多い印象だ。
「普段から勉強していれば簡単なテストですよ」
静香は余裕、という顔でさらりと流す。さすがはメガネキャラ、なんて思いつつさっきから無言に徹しているえりに話しかける。
「えりは?」
「……やばいかも」
確かにえりは授業中に手紙を回したり、居眠りしたり、と授業態度が良い訳ではない。だがだからと言ってそんなに青ざめる程だろうか?なんて考えていると。
「帰って勉強する」
と言いながらえりは席を立ってしまった。バイバイと見送りながらほか二人も解散ムードになりバラバラに帰ることになった。身支度をしていると今まで会話に入ってこなかった真夜に話しかけられる。
「ね、この後勉強会しない?」
「えっ?もちろんいいよ」
まさか誘われるとは思っていなかったが素直に嬉しいので二つ返事で了承する。真夜は勉強が出来るほうだったみたいだ。
「じゃ図書室行きましょうか」
「そうだね」
二人でたわいも無い会話をしながら図書室へ向かう。要の勉強力は平均より少し上、程度なので教えてもらおうなんて考えながら歩いていると。
「ふたりっきりね」
そうボソリと真夜は呟く。その本意に気付かず、そうだね?と軽く受け流すがこの言葉の意味を僕は知らなかった。
「さて、はじめましょうか」
「うん……人少ないね」
「そうね、まあ勉強しやすくていいんじゃないかしら」
それもそうか、と思いながらノートに目を落とし参考書と教科書を開く。
科目は数学。公式を覚えてはいるものの応用はまだまだだな、という具合で中々手こずっていると。
「……なにかわからないところあった?」
「う……うん。ここなんだけど」
そういいながら指を指すと隣にいた真夜はグッと近づき長い髪を耳に掛けながら小さめの声で解き方を教えてくる。
近過ぎる。と思ったものの行動できずそのまま話半分でいると腕にむにゅっとした感触が当たるのを感じた。(こ、これって……!)そう、彼女の豊満なバストが触れているというかバッチリ当たってしまっているのだ。これで意識するなという方が土台無理な話だ。
「……どう、わかった?」
「う、うん!ありがとう!」
「ほんと?じゃあこの問題は?」
「え、えっと……」
「もう」
少し呆れたように返すが怒ってはいないようでほっとする。折角教えて貰ったのに申し訳ないとは思いつつも唇が触れそうになるくらい近付かれると流石に集中出来ないのだから仕方ない。そう仕方ないのだ。
「じゃあ間違ってたらキスするわよ」
「えっ?!」
「合っててもご褒美でキス」
「ん?!?!」
真顔でさらりと端正な唇から発された言葉に頭は爆発寸前だ。人が少なかったお陰で聞かれてはいないものの図書室という共用の場所で何をするつもりなのかという考えで頭の中はぐるぐるだ。
「はい、答えて」
「√3……」
「不正解、はいキス」
んっと言いながら彼女は唇を寄せてくる(ええっほんとにするの?!)なんて考えている時間すら寄越さないまま唇と唇はくっつき、真夜とキスしてしまった。
「ふふっはじめてだわ」
「そ、それはどうも……」
「さ続きしましょうか」
彼女は何ともない、寧ろ機嫌すら良さそうに勉強をスラスラと解いていっている。真夜にとっては何とも無いことなのだろうか?でも初めて、とそう言っていたのだ。からかっているだけなのかなんなのか更にわからなくなりながら頭をぐるぐるさせながら自分も勉強に励むのだった。




