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休憩時間になにする?

真夜との勉強会のおかげで、小テストは無事クリアできた。

答案用紙を提出した瞬間、肩の力が抜けて思わず深い息を吐く。教室はまだざわついているけど、僕は自分の席に戻って思いっきり伸びをした。背もたれに体を預け、窓から差し込む午後の陽光に目を細める。やっと一息つける……。

「ふう……これで少しはマシな点取れたかな」

独り言を呟きながら、机に突っ伏そうとしたその時——。

突然、細くて冷たい指が俺の右腕をがっしりと掴んだ。

「っ!?」

びくりと肩を跳ねさせて顔を上げると、そこにいたのは涼だった。

いつもクールで少し近寄りがたい表情の彼女が、珍しく眉を寄せて僕を見下ろしている。制服の袖口から覗く白い手首が、意外なほど熱を帯びていた。

「ちょっと、来て」

声は小さくて、でも有無を言わせない響きがあった。

周りのクラスメイトがちらちらとこちらを見ているのに構わず、涼は僕の腕を引いて歩き出す。抵抗する間もなく、教室の後ろの扉から廊下へ連れ出された。隣の空き教室に向かっているようで教室に入ったかと思えば掃除ロッカーに一目散。扉をがシャリと閉め二人で入る形になってしまった。

「ど、どうしたの」

「しっ……黙って」

何が起きているのかわからずに居ると外から声が聞こえてくる。

「どーこだー」

えりの声だ、もしかしてこれ?そう思い声を出そうとしたら涼はそれを察知したのか自分の唇で僕の唇を奪う。んんっと言う声にならない声が掃除ロッカーに鳴り響いてえりの声が遠のいていく。

ロッカーの中は狭すぎて、逃げ場がない中涼の胸が要の胸を押し潰し、太ももが彼女の脚の間に滑り込む。ただでさえ狭いこのロッカーの中で動くと色々なところが擦れ、ぶつかる中、更にキスまでしているのだと考えると顔がぶわっと熱くなる。もぞもぞと動くものの壁に当たるか柔らかい部分に当たるかの二点で非常に心臓に悪い。(バレちゃうよぉ)

「……ごめん、今かくれんぼしてて」

何事も無かったかのように涼は告げた。

「キ、キスする必要あった?!」

「まあ……流れ?」

流れ?流れであんな事をするなんてこの学校の生徒はどうなっているのだろうか。連日の事を思い出しまた顔が熱くなる。

「要照れてる?かわいーじゃん」

そう涼は頭を撫でて言い放つ。えりが先輩と言うのもなんだか納得した。妙に大人っぽくて年上っぽい。ミステリアスな感じもそんなところから来ているんだろうな、となんだか納得してしまう。

「からかわないで、早く出よ?」

「そんなつもりなかったけどな、まあ狭いし出るか」

ガタガタと言う年季の感じる音とともに二人でロッカーから空き教室に出る。ロッカーの中は暑く感じたからか、なんだか教室の中は涼しく感じた。そんなこんなで時間も結構経ったようで気付けばチャイムも鳴り響いている。休憩時間は終わってしまいかくれんぼは涼の勝ちらしい。悔しそうなえりが教室に入ってきて少し微笑ましい気持ちになった。もうあんなスリルは懲り懲りだが。僕はため息をついた。

「……次のかくれんぼは絶対一人で隠れるわ」


さすがの涼も恥ずかしかったのか大人しくなっている。だがその隣で

「えー、でも……」

えりが僕のシャツを軽く引っ張って、小声で続ける。

「次は……私が要と一緒に隠れたいかも」


なんて言うのだからその上目遣いに、僕の負けは確定した。

もうスリルとか言ってる場合じゃなかった。完全に心臓が持たない。

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