第9話、アリス(ドリス)さんに、前世の記憶持ちなのを話す
新しい屋敷というか、まるで宮殿みたいな白亜の前世のヨーロッパの城のような建物を見て母上が。
「まるでお城みたいね。アダモが生きていたなら驚く事でしょう。それにしてもアランは確か今年で18歳よね。アダモが18歳の時はまだやんちゃ坊主だったのにアランはしっかりしていて住民から尊敬されて18歳と思えないわ。早く良い女性を見つけて結婚しなさい」
「母上はいつも父上と俺を比較しますが父上は武術に優れ、俺は武術はダメな代わりに農業や内政が得意なので父上が生きていたならクラーク子爵領はもっと発展していたでしょう」
「私はそうは思わないわ。アダモが生きていたならアランはのんびりした性格だから多分アダモに全部任せて今のように活躍しなかったと思うわ」
確かに母上の言う通りで父上が生きていたなら父上に甘えて何もせず、父上がいないから無我夢中で死に物狂いで頑張り、今の俺があるのかも知れない。
次の日に新しい屋敷にキャシーがイケメンの男性を連れて来て紹介して。
「アラン様、ナル王都で手伝ってくれたチャドです。私、彼と結婚します」
キャシーが結婚すると聞いて驚いたが、この世界では15歳で成人なので女性は10代で結婚するのが当たり前なのだ。婚約者の男性が自己紹介の後、意外な事を言い。
「初めてお目にかかります。チャドと言います。よろしくお願いいたします。アラン様にお願いがあります。職業紹介所の中に冒険者に仕事を依頼する仕事を始めても良いでしょうか」
チャドは魔法や魔力に詳しく彼が言うには、この世界の空気中には魔素が含まれていてその魔素が貯まると魔力になり人間はその魔力を使って魔法を使うが、動物は魔素が貯まると魔力を含んだ魔石が出来る。
魔石を持っている動物を魔獣と呼び冒険者は魔獣を倒し、魔石を取り出し魔石は高価なので魔石を売って生活している。
魔道具職人はその魔石から魔力を取り出し動力(前世の電気?)として使い魔道具を動かし明かりを灯す。
俺は今までどうして明かりを灯すのか考えた事もなく魔法があるので魔法でシャンデリアや電球を明るくしていると思っていた。
チャドは、冒険者は危険な仕事なので冒険者に下級、中級、上級の階級を付けて冒険者の依頼を受ける仕事はギルドが実力に合った階級に分けて依頼をするようにして、冒険者の安全を守りたいと言って来たのだ。
俺は前世のラノベ小説で冒険者ギルドの事を知っていたので。
「チャドの考えは良い考えだ。どうせなら独立した冒険者ギルドを作ってみたらどうだ」
「良いのですか」
「チャドに任せるから思うようにやってくれ」
幸いクラーク子爵領には森が多く魔獣もいるので冒険者も多く、俺もアドバイスをしてチャドとキャシーは最初は反対したが、入会金を取り前世の保険みたいに冒険者が怪我をしたときや死亡した時にはお金を払うと説明すると賛成して入会金を取ることにしたのだ。
魔石の買取価格も業者によってバラバラだったがギルドが適正価格で買い取る事にした。
結局、職業紹介所は後輩に任せてキャシーもチャドと一緒に冒険者ギルドをすることになり、これがこの世界で初めての冒険者ギルドで後に全世界に広まりキャシーは冒険者ギルドの生みの母、チャドは父と言われて冒険者の恩人として尊敬された。
俺の屋敷の前の土地は、以前は草原だったが、土魔法隊が整地して分け与え、先ず冒険者ギルドが建ち、アリス商会の倉庫や商品を売るお店が出来、アリスさんがナル王都のお店は弟さん夫婦に任せてクラーク子爵領に住まいを建てて住み始めた。
アリス商会の取引先の商会も支店を出し商店が増えて商店街が出来た。
アリスさんが俺の屋敷を訪ねて来て。
「アラン様の屋敷がまるで宮殿のようになりましたね」
「以前は住民にボロ屋敷と言われていましたので新しく建てました」
「確かに以前の屋敷は酷かったからよかったですね。ところで以前から疑問に思っていましたが、アラン様はこの世界にはないお米の栽培方法や海水から塩を作るのをどうして知ったのですか」
やはり聞いて来たか! 頭の良いアリスさんならいずれこの世界では作れなかったお米や海水から塩を作る方法を知っているのを疑問に思うと思っていたが、仕方がないのでアリスさんは商売人で口が堅く信用できるので。
「アリスさんは前世の記憶を持っている人を知っていますか」
「断片的に持っている人は沢山知っているわ」
「他人には話さないで欲しいのですが、俺はこの世界と違う文明の進んだ世界で生まれ35歳で死んだときまでの記憶が15歳の時に蘇り、その記憶を使って米の栽培、塩を作っています。その他にも魔法の使い方も前世の知識を使ってこの世界では使えない土魔法の使いかたをしています」
「アラン様から聞いた事は絶対他言しないと誓いますので安心してください。でもアラン様が18歳なのに私より年上に思えるのは35歳の記憶とこの世界での18歳を足すと53歳ですもの納得しましたわ」
オイオイそれはないだろう。53歳は言い過ぎだろうに。
それから試験的に作ったワインを飲ましてあげると。
「美味い! 今まで飲んだお酒の中で一番美味しいわ」
この世界では、お酒は麦で作るのが普通でビールに似たのとウイスキーと焼酎に似ているのがある。
初めてワインを飲んだアリスさんは酔いが回ったのか自分の過去を話。
「私はアリスと言っていますが、アリスは祖父が付けた屋号で、本当の名はドリスと言うのよ。18歳の時に父親の勧めで一度結婚したけれど、顔が良いだけで遊び人で直ぐに愛人を作ったので追い出したわ。それ以来男は信用できないので結婚は懲り懲りで商売一筋で生きて来たわ」
アリスは屋号で本当はドリスと言うのが分かったが、彼女は今までも一緒に酒を飲んだがここまで酔ったのは初めてで、その晩は帰らすと途中危ないので客間に泊める事にした。
客間に連れて行くとドリスさんは服を脱ぎだし、下着姿になりふら付いているのでベッドに寝かそうとすると俺をベッドに押し倒しキスをして「抱いて」と言われ、一瞬その気になったが、理性を取り戻した俺は酒に酔っての過ちは嫌なのでドリスさんを引き離し布団をかけてあげると、眠りだしたので客室から自分の部屋に戻り眠りについたのだ。
翌朝、食堂でドリスさんは何事もなかった様子で食事して母上と話をしている。
もしかするとこれから長い取引をするにあたって俺を信用出来る男か試したのかも知れない。
誘いに乗らなくて良かったと思った俺なのだ。
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