第28話、ナル王都までの旅路2
バスター侯爵が言葉は丁寧だが、腹の中では若造と馬鹿にしながら。
「所で王都には何をしに行かれるのですか? 」
分かっている癖に白々しい事を言うので隠すことでもないと思い。
「たいしたことではない。王都に行って極悪人とその仲間たちを処分しようとしているだけだ」
自分もその極悪人の仲間の癖にぬけぬけと。
「それなら、わしも手伝いしましょうか」
「いやいや、簡単な事だからそれには及ばん」
「そうですか。今晩は野営でなく、わしの屋敷でゆっくり休んで下さい」
俺を暗殺すると知っていながら俺は相手の口車に乗り。
「その方がゆっくり休めるので世話になろう」
バスター侯爵の屋敷に行くまでは襲わないので心配しているデニスに暗殺者に襲われた時の作戦を伝え、バニーとベンを連れて泊まる屋敷に行くと客を泊めるにしては金銀を使った豪華な屋敷で、俺を殺した後に惜しげもなく焼くとは貧乏性の俺には考えられない。
食事を出すと言われたが、毒が入っているかもしれないので、食べたばかりでいらないと言っておいた。
夜の11時頃に使用人が飲み物を持って来たが俺たちは寝たふりをして出なかったが、寝たかどうか使用人に見に来させたのだろう。
俺たちが寝ていなかったなら飲み物に睡眠薬を入れて眠らそうとしたのかもしれない。
12時半を過ぎたので暗殺者を迎え撃つ準備をして少しすると、油の匂いがしてどうやら火を付ける準備をしているみたいだ。
その後ドアを静かに開けて暗殺者が部屋に入ると俺たちが眠っていると思っていたのに戦闘の準備をしていたので驚いている。
俺が土魔法の石の礫で10人の暗殺者を倒し、バニーが剣で4人を切り殺した。
残った6人をベンが切り殺して窓から部屋を飛び出し合図の笛をピー、ピー、ピー3回吹くと、デニスが準備をしていた兵士たちと屋敷に入り、暗殺者が俺を殺すと思って兵士を用意していなかったバスター侯爵を簡単に捕まえて俺の前に縄でグルグル巻きにした状態で引きずり出して来たのだ。
バスター侯爵は顔面蒼白で。
「わしは暗殺者を向かわせた覚えはない。何かの間違いだ」
俺は顔面蒼白のバスターに向かって。
「誰も暗殺者が襲ったと言っていなのに何故、お前は暗殺者が俺を襲ったのを知っているのだ? 俺を殺そうとして暗殺者を送り込んだ張本人だから知っていたのだろう」
それでも言い訳をしようとするバスター侯爵に。
「言い訳は聞きあきた。悪人らしく覚悟を決めたならどうだ」
夜が明けるとバスター侯爵の兵士軍の責任者とバスター夫人に長男が会いに来て、俺が会い昨夜の出来事を話すとバスター夫人は。
「あれ程、アラン様に謝罪して傘下に入る事をお勧めしたのに私も息子も同罪ですので処分してください」
兵士軍の責任者も。
「先の戦いでは迷惑をおかけして申し訳ございません。それと奴隷兵を保護して頂きありがとうございました」
バスター侯爵の長男が。
「僕はマルクと言います。まだ15歳の成人になったばかりですが。馬鹿な父親に代わってお詫び申し上げます。僕たちを処分した後の領地の領民の事を宜しくお願いします」
こんないい奥さんと息子や部下がいるのにバカなバスター公爵だ。俺は息子に。
「悪いがバスター侯爵は多くの人が亡くなった戦争を起こした張本人で俺を暗殺しようとした悪人なので許せないが、罪のない家族や命令に従った兵士たちを処分はしないから安心しなさい」
バスター夫人が処分されないと分かり本音を言い。
「寛大な処分でありがとうございます。息子と相談して家族にも暴力を振るう我が儘で悪い事をする夫を何度も寝ている間に殺そうと思いました。今にして思えば戦争前に実行すれば良かったと反省しております」
「そうなのですか。マルク君はまだ15歳か。俺も父親が亡くなり家督を継いだのも15歳の時だが、何とか此処までやってこられたのは周りの良い人たちに支えられ良い人材に恵まれたお陰だ。俺も応援するからお母さんや良い家臣がいるので領地を継いで領民の為に頑張りなさい」
「本当ですか! ありがとうございます。僕も頑張ります。お兄さんがいないのでこれからアラン兄さんと呼んでも良いですか」
「俺は1人っ子で弟が出来て嬉しいよ。落ち着いたなら遊びに来なさい」
父親のバスター・キンソン侯爵は極悪人だったが、奥さんと息子はあんな奴の奥さんと息子とは思えない善人で良い人なので、この世界では家族も同罪で処罰するのが普通だが許して子供のマルクとは兄弟付き合いをすることにした。
この国は前世の日本の戦国時代と同じで由緒ある名家の大名でも戦いに負けて滅びたが、この世界でも高位の公爵家といえども戦いに敗れれば家族も殺されて滅びるのだ。
そんな戦国時代の国にあってバスター・キンソン侯爵家とベトナ・ランキ伯爵家に対しての俺の行動は、弱小貴族だけでなく戦争が嫌な貴族や安定を求める貴族たちに影響を与えたみたいだ。
バスター・キンソン侯爵は家族の前で処分するのは避けて侯爵領の道中で処分した。
その晩の野営地のテントの中で夕食後のお茶を飲んでいるとドリスさんが。
「アラン様はやはり異世界の進歩した知識をお持ちなので、この世界と違うバスター・キンソン侯爵家とベトナ・ランキ伯爵家に対する処分には感心致しました」
オーロラさんは。
「確かにドリスさんの言う事の一部分はそう思うわ。でもいくら異世界の進歩した知識をお持ちでもそれを悪用すれば悪人でしょう。最後はその人の人間性が大事でアラン様は正義感が強く優しいからこれからも大勢の人たちが付いてくると思うわ」
ドリスさんが俺を褒めるオーロラさんに呆れて。
「オーロラさんの言うことは認めるけれど、惚れているからの欲目をもあるわね」
「そんなことありません」
ドリスさんとオーロラさんの2人の俺の評価を巡って言い合いに困って静かにお茶を飲んでいた俺なのである。
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