第13話、オーロラさんと視察に行く
オーロラ王女が一緒に住むようになって2カ月がすぎ、エリー母上は女の子がいなかったのでまるで自分の本当の娘のように可愛いがり始めた。
オーロラ王女もそんな母上になつき、本当の母と娘みたいに仲が良く、今まで料理などした事のないオーロラ王女に料理を教え一緒に料理を作っている。
俺がオーロラ王女様と呼ぶと。
「今の私は王女ではないのでオーロラと呼んで頂けますか」
と言われ、それからはオーロラさんと呼んでいる。
ドリスさんも暇なときは俺の屋敷に入り浸りで女性優位の家族みたいだ。
あれから不審者も現れず俺が領内の近くを視察に出る時はオーロラさんも時々俺に付いてくるようになっている。
今日はワイン作りを視察に行くと言うとオーロラさんが興味を示して。
「私もワインを作るところを見に行ってもいいですか」
「ワイン作りに興味があるのなら一緒に行こうか」
「嬉しいです。着替えて来るので少し待ってください」
出掛ける時は、オーロラさんは用心して顔が見えないように頭巾を被り、母上が買ってくれた平民の着る服を着ている。
ワイン工場は山脈の山裾にあり遠いので馬車で行く。馬車に乗り街並みを見てオーロラさんが。
「ナル王都よりマヤ領都の方が奇麗な街なので最初に見たときは驚いたわ」
「これも土魔法隊のお陰だ」
「でもその土魔法隊を作り訓練して指導したのはアラン様でしょう」
「俺に様を付けて呼ぶのは、やめてくれと言っているだろう」
「無理です。アラン様は領主で私は、今は平民ですので」
「全く、強情だな」
「私は強情ではありません。正論を言っているだけです」
マヤ領都の街を出て農業地域に来ると馬車の窓から見える田園風景を見て。
「ワァ~! キレイー、まるで緑の絨毯みたい」
今は田植えがすんで1カ月目くらいなので稲が伸びて綺麗な緑色の絨毯に見えるので、オーロラさんが初めて見る田んぼの景色に歓声を上げている。
2時間もするとブドウ畑が見えてきて、ワインを作るレンガ作りの建物やブドウを栽培する農民の家が建ち並ぶ村が見えて来ると、この国ではレンガ作りの建物はなく初めて見るレンガ作りのワイン工場、倉庫、住民の住まいの家など村の建物を見て。
「綺麗でまるでおとぎの世界みたいね」
オーロラさんはナル王都にいる時は王宮から余り出たことがないので、見るものすべてが珍しいみたいで子供みたいにはしゃいで喜んでいる。
ワイン工場に行くと工場長が来て。
「今年のワインは今までで最高の出来です。やはりブドウの品種をアラン様が改良したお陰でしょう」
時間のある時は農業指導員だった知識を生かし緑魔法を使えば短期間で育つのでブドウだけでなく稲なども品種改良に取り組んでいる。
視察に来た時は色々と注意や指導をしているが今日も。
「ワインはブドウの良し悪しで決まるから少しでも悪いブドウは使うなよ」
「はい、今でも厳選して悪いのは使わないようにしています」
工場長にブドウの選別の方法を教えた後にオーロラさんに。
「オーロラさんはワインを飲んだ事があるのか」
「お酒はまだ飲んだことがありません」
「飲んでみるか」
「はい、頂きます」
工場長がワインをグラスに半分くらい入れてあげるとオーロラさんが飲んで。
「あら、お酒は苦いと聞いていたのにこのワインは苦くない。美味しいわ」
工場長がおかわりを入れて上げるとオーロラさんは美味しいと言い3杯も飲んで顔を赤くして。
「あれ? 気持ちいいけれど何だか愉快になってきたわ。ホッホホホ、アラン様、私を好きですか。私はアラン様を大好きよ」
オーロラさんはどうやらワインを飲んで酔ったみたいで俺を好きなどと、とんでもない事をいって傍にあったソファーに崩れ落ちて眠ってしまい。
俺は毛布をかけてそのまま寝かしてワイン工場を見て回り2時間くらい過ぎてオーロラさんのところに戻るとまだスヤスヤと寝ている。
寝顔はあどけなく俺が暫く見ていると寝言を言い。
「アラン様は私を嫌いなのかしら・・・・ムニャムニャ・・・・・・できたら・・・・・・んんん・・・・・・」
そこでオーロラさんが目を覚まし。
「あれ? 私どうしたのかしら? 」
残念、寝言を最後まで聞きたかったが。
「オーロラさんはワインを飲んで酔ったみたいで眠っていたよ」
「ええー! 寝顔を見られて恥ずかしい。私、寝言を言う癖があるらしいのですが、変な事を言いませんでした」
オーロラさんは酔って俺を好きだと言った事や寝言の事は酒が言わせた言葉で本気ではあるまいと思い。
「初めて飲んだワインに酔ってソファーに横になって眠ったので毛布を掛けて俺は工場内を見て回り今帰って来たところだ」
「良かった。私お酒に弱いみたいなので飲むのを止めようかしら」
「最初はだれでもそうだよ。最初からグラス3杯も飲むから酔ったけれど、今度からはグラス1杯にしなさい」
帰る時に工場長がワインの瓶入りをオーロラにプレゼントすると嬉しそうにしていたので、ワインの魅力に取り憑かれたみたいだ。
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