第14話 次なる目的地
「これからどうするの?」
「え?」
アルベルトは、仇を討ち終わったセナに、今後のことを聞いた。
セナはもともと仇を討つために同行していた。
目的を果たした今、何をするかは彼女の自由だ。
「そうだなぁ」
セナは、ご飯に夢中のアリスやラキナ、それを笑顔で見るアイナとシルビア、そして彼女たちを共に見ているアルベルトを見た。
「ん、なに?」
アルベルトは、食事をしている手を止めてセナの視線に返事をした。
「ついて行ってもいいか?」
セナは、仇を討った。今日まで生きてきた理由をいい形で失った。
なら、明日からは・・・・・
「アルベルトたちと共に旅をして、世界を見てみたい」
「そうか」
アルでいいよと言いながら、アリスたちのところへ歩いて行った。
セナは、子供の頃に夢見た、ロイルとの約束を果たすため、アルベルトたちについていくことにした。
「セナ〜!たべようよ〜!」
アリスが手を振りながらセナを呼ぶ。
「ああ、今行くよ」
その日は、セナにとって新たな家族が生まれた日となった。
「それにしても、私が戦っている最中にこのような美味しい食事をするのはどうなんだ?」
セナにとって、これまでの人生がかかった大一番の戦いだったのだが、アルベルトたちは呑気に食事をしていたのだ。
「いいだろ別に。そこまでの強敵じゃないんだし」
「確かにそうだったが・・・・・・」
そのことについてセナは聞いておきたいことがあった。
「そういえば、アルたちと旅をし始めてからというもの、急激に強くなったのだがこれは・・・・」
「腕輪の効果・・・・・いや、不労の力だ!!」
これまで以上の真剣な眼差しにセナはたじろいだ。
「不労とはどういうことじゃ?」
「お、聞いてくれるかラキナ!!」
その曇りのない眼を見た瞬間、ラキナは失敗したと思った。
踏んではならない、踏み込んではいけない領域に入ってしまったと。
「い、いや、えんりょ・・・・・・」
「そうかそうか!そこまで気になるか!ならしょうがないな、話してやろう!」
そこからがラキナにとって地獄の始まりだった。
周りが眠りにつくまで延々と不労とは何か、なぜ不労は素晴らしいか、不労の敵は何か、ということを聞かされた。
その日、アルベルトの前では”不労”という言葉を使わないことが絶対不可侵の掟となった。
◆◆
セナが今後も旅を続ける決意をした翌日。
早めに目が覚め、一人外に出ていた。
「アル」
「なに?」
セナが寝ぼけ眼で外に出てきた。
ていうか、髪ボサボサすぎんだろ。
「ステイタスを見て欲しいんだけど」
「ん?ああ〜なるほど・・・・・」
超越化したのか。
「いいよ」
『名前』 セナ
『種族』ハイエルフ 『性別』女 『年齢』四百六十歳
『レベル』 ー
『能力』 C +
『称号』森の子 精霊に愛されたもの 剣聖 魔剣使い(New) 超越者
『ユニークスキル』
精霊魔法 暴風魔法 座標転移 自然同化 属性剣術 限界突破
『原初』
精霊化
『加護』
精霊神の加護 剣神の加護 魔神の加護
『魔剣使い』 全ての魔剣を扱える
原初は、種族で同じになることがあるのか。
鑑定の結果を伝えると驚きながらも喜んでいた。
「ありがとう」
「いいよ。乗り越えたのは、セナなんだし」
何ともいえない雰囲気になったが、アリスたちが起きてきたことで気まずさは無くなった。
「うう〜・・・・・」
ラキナは、頭を押さえながら起きてきた。
不労が・・・・・不労が・・・・・。
なるほど、不労の素晴らしさに頭が痛くなるほどに気づくことができたんだな。
ラキナと目があったので、屈託のない笑顔を向けた。
しばらくラキナが話しかけてこなかったが、朝食を食べ終えた頃にはいつも通りになっていた。
やはり、アイナの料理は最高で万能だな。
「みなさん、おはようございます」
「あ、おはようございます」
シルビアさんが、やってきた。
「今日こそ、世界樹にいきましょう」
あ、そういえばそんな話だったな。
アスタロトとやらが来て、食事を初めてしまい一日が過ぎたんだった。
「そうですね。案内お願いします」
それからしばらく歩くと天が隠れるほどの巨木が聳え立っていた。
「すげぇ」
そんな言葉しか出てこなかった。
アリスたちも上を見上げて口を開けていた。
ラキナだけは、ただ懐かしそうにその巨木を見つめていた。
「では、みなさんに世界樹の恵みを」
シルビアさんが、手を広げた瞬間、世界樹の枝がざわめき始め、光に包まれた枝が降ってきた。
「それが・・・・・」
「はい。世界樹の枝です」
それを5人分手渡された。
すげぇ、魔力だ。
「これは、エルフの王族が認めたものにしか与えられない幻の枝です」
必ず役に立ててください、と言われたので早速魔道具を作ることにした。
「みんな、これで防具でも作ろうかと思うんだけど」
「いいよ〜」「私も」「構わんぞ」「妾は何でも良いぞ」
全員の賛成が取れたところで早速作業に移ろうとした。
「あ、ちょっと待ってアル」
そう言ってアイナが鉱石を取り出した。
「これは・・・・・?」
「緋色金よ」
素材に使って、と大量に渡された。
「これは、どこで?」
緋色金といえば世界最硬の鉱石じゃないか。
そんなものどこで・・・・。
「この森の鉱山で採らせてもらったの。捌くものでね」
半端ないな、捌くもの。
相変わらずのハイスペックスキルはさておき、こんな素材おそらく二度と手に入らない。
「ありがたく使わせてもらうよ」
「ええ、存分に」
素材には、世界樹の枝、緋色金、アスタロトの核、ラギルスとかいう竜の魔石、最後に無限の魔力。
設置するのは、空間断絶、火と風の魔力を応用した温度調整、神聖魔法だ。
これで、命の危機の時は魔法が発動するし、通常時も最高の防具となる。
「色は・・・・・」
「白がいい」
アリスが詰め寄ってきた。
「なんで?」
「あいつらが黒だったから」
そういうことね。なら白で。
形はそうだな・・・・・。
よし、これでいこう。
完成図をイメージできたので魔力を流し作り始めた。
「ん?なんかいつもと違うね」
「ああ、魔力の質が変わったんだ」
俺専用の魔力へ変わったことに気づいたのだろう。
さすがはアリス、長年の付き合いは伊達じゃない。
「よしっ、完成!」
=緋白のコート=×5
世界最高のコート。環境適応ができ、損傷しても元に戻る。
所有者のみ使用可能。所有者は最初に着た人。
「「「「「おお〜」」」」」
ラキナ以外は感心してくれた。
「なかなかじゃな」
「だろ?」
ほれ。
ラキナにコートを一着プレゼントした。
全員に渡し、着てもらった。
「白いな・・・・・・」
最初の感想はそれだった。
今までは、一人一人違う色の服だったが、上着が白で統一されただけで仲間感が出てきた。
「なんか、仲間って感じがするなこれ」
「仲間か・・・・・」
ラキナは、嬉しそうにつぶやいていた。
気に入ってもらえたのなら良かった。
その後シルビアも同じコートが欲しいと枝を持ってきたので、素材は少し違うが同じものを作った。
やはり、安心だもんな。
◆◆
「それで、次はどこにいくのですか?」
「そうですね・・・・・」
なにも決めていなかったので、答えに悩んだ。
「決まっていないようなら、聖教国に行っては?」
「聖教国?」
なんか、聞いたことあるな。
「あそこは、最高神を崇める国で、鑑定ができる教会があり、それに聖女がいます」
教会に聖女か。
「みんなそこでいいか?」
全員が頷くのを見て、次の目的地は決まった。
「では、そこに向かってみます。ありがとうございました」
「ええ、それがいいでしょう。それにお世話になったのはこちらです。またお越しください」
「じゃあ、行こうか」
ラキナを肩の上に乗せアルベルトたちはエルフの森を出た。
「ああ!お待ちください!」
後ろからシルビアさんが追いかけてきた。
「ど、どうしました?」
あまりにも締まらない別れに何ともいえない気持ちになった。
「あ、あのこれ地図です」
シルビアもその気持ちを察してのことか、控えめに渡してきた。
「・・・・・ありがとうございます」
「では・・・・・・」
「はい。また・・・・・」
今度こそ、シルビアと別れ聖教国を目指した。
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