第15話 シルビアと寄り道
本日2話目です
私は、シルビア・アインツベルン。
エルフの王族の一人にして、かつて英雄に魅了され彼の最後に立ち会った数少ない人物。
私には、ステイタスというものがない。
かつてソロモンから奪われ、超越化をしないようにされている。
超越化とは、肉体の構造が変わるシステムから外れるためのスタートライン。
しかし、それもステイタスがないとできない。
システムから外れ、解放されるためには一度システムに縛られる必要がある。
さらに超越化するためには、ソロモンの作り上げたシステムの最終地点に到達すなければならない。
聖教国では、超越化する権利を与えられたものに、神から与えられたギフトだという教えをしている。
かつて、ソロモンと戦い彼の目的を知るもの、伝えられているものは数少ない。
聖女もその一人だ。
その聖女を神の使いだと崇める聖教国でなぜそのような教えが広まっているのか、認めたくはないが想像はつく。
ソロモンの手は、とうとう世界の表舞台にまで伸びてきたということだ。
私には、ステイタスはないが、王族にのみ伝わる”星読みの力”がある。
この力を使うのはあまり好きではない。かつて、この力を使いマルスたちの世代では”勝てない”とソロモンを滅ぼすことができないと読んでしまった。
それを知ったマルスとイリアは、彼を慕う者たちを置いて二人で挑み、二人の命を犠牲に封印することができた。
それ以来、星を読むことはしていなかったが、ある人に頼まれ100年ぶりに読んだ。
そこで読めたのは、それからさらに百数年後、マルスの意思を継いだ者、イリアの力を継いだ者、その二人が同世代に生まれ、かつての英雄が成し遂げられなかった世界の救済を成し遂げると。
それからというもの、毎日のように星を読んだ、そしてとうとう7日後彼らが来るという星が視えた。
しかし、彼らは、3日後に突然やってきた。
うそっ!
星読みが外れた!
星読みは、エルフの王族がこれまで一度も外したことのない秘術だ。
それが外れるなんて・・・・・・
彼を見た瞬間、動揺を隠せなかった。
星読みを外したこともそうだが、彼があまりにもマルスに似ていたからだ。
髪の色や目の色は違ったが、顔立ちが雰囲気が彼の生き写しであるかのようだった。
少し予定が狂ってしまったが彼を精霊卿へ誘った。
あそこでは、マルスにも到達しえなかった境地が見えてくる。
そして、全てのエルフ、精霊の祖、始原の精霊様がいる。
もし、もしも、彼がお二方に認められでもしたら・・・・・・・。
そんな期待を抱きながら、彼の帰りを待った。
帰ってきた彼は、何もかもが変わっていた。
マルスでさえ到達できなかった本物の精霊化。
そして、その瞳には、我が祖である、始原の精霊。
彼ならば、必ずソロモンをそして奴らを・・・・・・・。
◆◆
「なぁ、こっちで合ってんの?」
「う〜ん・・・・・」
「そのはずなんだが」
「もうとっくについているはずなんだけど・・・・」
全員が方向音痴であった。
地図がなければ辿り着けないが、地図があったことでさらに迷った。
「これ、周りは木だけだから方角もなにもわかんねーじゃん」
「何じゃ?迷ったのか?」
今まで、肩に乗り寝ていたラキナが起きてきた。
「ま、まぁ・・・・・」
「しょうがないの。妾が送ってやろう」
「え?」
ラキナは肩から降り、龍化した。
「ほれ、乗らんか」
「いいのか?」
「何じゃ、嫌なのか?」
「じゃ、じゃあ・・・・・」
失礼します。
ラキナの背に乗ると思ったよりもゴツゴツしていた。
アリスたちも乗ったところでラキナが羽ばたいた。
「「「「おお〜」」」」
初めて世界を空から見た。
「ラキナ、こんな光景をいつも見てたのか・・・・・」
「そんなにすごいか?」
「すげぇよ・・・・・」
ほんとにすごい、こんな光景いつ見ても感動する自信がある。
「羨ましいよ・・・・・」
「・・・・・・・・」
しばらく無言でこの光景を見ていた。
「それよりも聖教国で良いのか?」
「そうだけど・・・・・」
なんかあるのか?
「祠に向かうのかと思っておったからの」
祠?
ああ、あの遺跡みたいなところか。
「それって、アル君が王都に入る前に言ってたところ?」
アリスが聞いてきた。
「そうだよ。あそこになんかあるみたいでさ」
「先にそこ行こうよ!」
「え、いいの?」
「うん!みんなもいい?」
セナたちも頷いてくれた。
「なら、先にそこ寄るか。そういうことだラキナ」
「わかったのじゃ」
そんなこんなでアルベルトたちは、聖教国に向かう前に、遺物があるという祠に向かうこととなった。
◆◆
聖教国にある一室。
「ベルゼ様」
男のそばに一人の女が現れた。
「どうした」
「はい。遺物の場所を発見いたしました」
パリンッ!!
男の持っていたグラスが割れた。
「そうか・・・・・。それで、場所は?」
「場所は・・・・・・」
「今すぐ行く。準備しろ」
「仰せのままに」
男はゆっくりと立ち上がり、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
「手に入れてやるよ。英雄の遺物。すべてこの手に・・・・暴食の元に・・・・・」
「それからもう一つお伝えしたいことが」
「なんだ」
「遺物のある祠に黒龍が向かっているとの情報が・・・・・」
「誰からだ」
「死神です」
その情報は、アルベルトの協力者となったガルムからであった。
「そうか。奴の情報は信用に値するからな・・・・・」
まあいい・・・・・。
「黒龍が来ようと問題はない。所詮、過去のものだ。人類最強と呼ばれる俺には敵わん」
それは、無知か、身の程知らずか、それとも・・・・・。
彼は、一本の槍を持ち、部屋を出た。
英雄の遺物をめぐって、英雄の写身:アルベルトと、人類最強:ベルゼが激突するか・・・・・
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戦いはまだ長引きません。
終盤になるにつれ、激しく長くなっていく予定です!




