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【書籍、コミック発売中】転生幼女は教育したい! 〜前世の知識で、異世界の社会常識を変えることにしました〜  作者: Ryoko(湖森遼)
〜SS作品〜

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アメリアの元世界転移旅 〜熊野古道編(4)

「ねえ、ねえ、アメリアちゃん! あれ見て、あれ!」



 またタキリさんが騒ぎ出した。


 今度は一体なんだって言うのさ。



「うわ〜! 足が3本もあるレイブンなんて初めて見た。

 私たちの世界のヤツより体は小さいけど、こっちの世界にもちゃんと魔物がいるんだね」



 何を言っているのか、この子は……。


 あちらの世界の私の年齢だと、タキリさんはだいぶお姉さんなんだけどね。


 ただ、今の私の身体は転生前のもので、恐らくだけど、多分、二十代こ、後半くらいで……。


 そのせいか、タキリさんが妙に子供っぽく見えちゃうんだよね。


 それもあって、つい言葉遣いもタメ口になっちゃったりとか……。


 とはいえ、それはあくまでも私の感覚であって、実際にタキリさんが子供化しているわけではない。


 まだ二十歳を超えたか超えないかくらいのタキリさんは、この世界ではまだギリギリ子供扱いされちゃう年齢だけど、あちらの世界なら既に立派な大人の年齢だ。


 既に結婚して子供がいてもおかしくないくらい。


 そんなタキリさんが、小学生でもしないような勘違いをしている。



「それ、八咫烏(ヤタガラス)って言ってね。日本の神様だけどあくまでフィクションだから。

 実際にいるわけじゃないからね」



 タキリさんはまだこちらの文化や常識にも不慣れだし、仕方がないか……。


 そう思いながらタキリさんが指差す方を何気なく見た私は愕然とする。



「ほ、ほんとうにいた!?」



 そこには、1メートル程の巨大な羽を広げる真っ黒な烏がいた。


 そして、その足は確かに3本。


 美しく黒光りするその姿は、神話に伝えられる太陽の化身、導きの神たる八咫烏そのままで……。



「だから、さっきからそう言ってるよねぇ!?

 なんかアメリアちゃん、こっちの世界に来てから私の扱いがちょっと雑じゃないかなぁ?」



 そう文句を言うタキリさんだけど、私にはそれにかまっている余裕がない。


 だって、神……なのか魔物なのかはさておき、実際に八咫烏なんて生き物が実在するなんて思っていなかったから……。


 えっ!? どうしよう!?


 と、討伐する?


 それとも、お賽銭とかあげたほうがいいかな?


 そんな混乱真っ只中の私の様子を見て、タキリさんもこれが異常事態であると判断したみたい。


 私を落ち着かせるように黙って手を握りながら、タキリさんは小声で私に話しかけてきた。



『ねぇ、アメリアちゃん、あれ、本来この世界にはいないモノってことでいい?』


『う、うん。この世界の常識では正直考えられないと思う』


『……そうなると、なんか変じゃない?』


『えっ?』


『だって、あいつがそんなに非常識な存在なら、なんで周りの人たちは誰も騒がないの?』


『あっ!? もしかして、私たちにしか見えていない?』


『多分そう。簡単な推測だけど、私たちは……いや、アメリアちゃんは微妙だけど……私たちは本来この世界の人間じゃないよね?

 そんな私たちにしか見えない存在なら、この異常事態に誰も騒がないのも全然不思議じゃない。

 この世界には魔法はないんでしょ? たとえば、魔力とかが関係してるなら……』



 私を落ち着かせるつもりが、だんだんと自分の思考の世界に入り込んでいってしまうタキリさんだけど……。


 確かに、タキリさんの言うことには納得できる。


 たとえば、あの存在が魔力でできているとするなら、魔力感知の技術を持たないこの世界の人間には、あの存在は認識できない。


 でも、そう考えると、やはりあの存在は元々この世界にいたと考える方が自然で……。


 いわゆる高僧とか陰陽師とか、そういう特別に魔力感知に優れた人たちが、自分たちが見たものを神として伝えてきたってこと?


 いや、そう考えると、やっぱりあの大きな烏って、正真正銘ここに祀られている日本の神様じゃん!?


 なんて恐れ多い……。


 !?


 そう神の存在を意識した瞬間、宙に浮かぶ八咫烏と一瞬確かに目があった。



『三山を詣でよ。されば導かん』



 頭の中には、その言葉が響いていた。


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