聖都
聖都への出発の準備をしていた時、魔女が宝物庫の中のアイテムをくれた。
「ザウリスよ、君には"シュリンガルのペンダント"と言ってね、魔力を制御するやつなのじゃが、その影を抑制出来るかも知れんから渡しとくぞ。」
「そしてサーニャには"英雄のロザリオ"といって君は聖魔法に特化しとるから、それを強化するロザリオをあげよう。」
「ウールスのは重たいから来てくれんかの?」
ウールスは頷き宝物庫に入っていった。戻ってきたウールスを見ると、いかにも強そうな盾と見たことの無い凄く小さな杖を持っていた。
「ウールスには上位職業の聖騎士になるからの、"栄光の盾"とロッドをあげるわい、ロッドがあれば回復魔法も使えるからのお、ルーダにはこれじゃ」
籠手を渡された。
「これは"精霊の籠手"と言ってのう、精霊王が直々に作った代物で魔法の効果を高めるんだそうじゃ。」
ウルスは驚愕していた。
「良いんですか?恩師、そんなに渡してしまって。」
魔女はニコッとした。
「ずっと宝物庫に置くより、未来ある冒険者に託した方がいいじゃろう?」
未来ある冒険者…そう言われると凄く照れ臭かった。魔女に挨拶し、聖都へと向かった。
「そういや、明日は高め合いの闘技場がやっている筈だが、ザウリス達は参加するか?」
高め合いの闘技場とは、金級冒険者以上から参加出来る言わば模擬戦のようなものだ。
「いや、出るのはやめておきます、もし覚醒なんかしたらまずいですからね。」笑いながら話した。
「まあ確かにそうだな」ふふっとチルスが笑った。
聖都につくとそこはウォーク・アンデルとは違った景色だった。全体が白い壁に覆われており、その壁も三重に作られている。検問を通り、城へと続く道を歩いていると聖騎士隊の方々と会った。
「やあ!チルス、何があったのかい?」背丈の高い逞しい女性がチルスに話しかけていた。
「なに、ただの報告だマール。それより、君らこそどうしたんだ?聖騎士隊フルメンバーを連れて何処かへ向かうのかい?」
「この組は第三組の者達でな、これから訓練へ向かう途中なのだ。」
「なるほど、精が出るねえ。」
「ところで、チルスの後ろの方々は?」
「ああ、冒険者の者だ。少しワケありでな。」「そうか、私はマールだ、宜しく。」「ザウリスです、宜しくお願いします。」
お互い籠手を脱ぎ握手を交わした、とても力強く、そして優しい手だった。
「訓練があるので私達は失礼する、また機会があればお茶でも飲もうではないか。」チルスは頷いた。
「ここが工房だ。」
指を指してる方を見るとそこには工房…とはとても思えなかった。鉄を叩く音すら聞こえないのだ。疑心暗鬼になりつつもチルスについて行った。
「ゴーンさん!居ますか?」
「ああん?どうしたんだ小僧!」
大柄でいかにもって感じの人が裏から出てきた、まさしく工房で剣を作ってそうな人だった。
「この冒険者達の為に魔法武器を作って貰いたいのです。」
「いいけどよぉ。この冒険者共の職業を教えてくれぃ。」
「"魔法戦士"ザウリスと"大聖道士"サーニャと"武器創造者"ルーダと"聖騎士"ウールスがいます、作れますか?」
「ったりめえよ!任せとけい!…その前に一つ聞いてもいいか?」
「もしかしてザウリスってのはウクシュルの息子か?」
「母を知ってるんですか?」カウンターに乗り出してしまった。
「あたりめえよ、あいつとお前さんの親父の武器を作ったのは俺なんだからよ、本当にバカな奴等だよ…息子ほっといて大作戦なんて行きやがってよ…」ゴーンは涙を流していた。
「何かあったんですか?」
「大作戦なんて行かなきゃ良かったんだ、それなのに私達の役目だって行ってよ…結局魔軍は退いたが、自分達も犠牲にしちまってよ…」初めて知った真実だった。
「だが、過去に縋ってても何も始まらねえ。ザウリスにはこの武器をくれてやるよ。」渡されたのは黒く禍々しい直剣だった。
「それは黒石という一番堅い石を数十年掛けて剣に仕上げたやつでな、魔法を伝えやすい物質だからよ、魔法戦士のザウリスに丁度良いだろうと思ってな、サーニャ達にも渡すぞ。それは弓と杖を兼ね備えてるからよ、サーニャって子にピッタリだろう、ルーダには魔力増強のイヤリングとリングを渡す、これで戦力も上がるだろう、ウールスは大魔術士が使っていた杖の石の部分を使ったロッドを渡すぞ。」
早口で渡された武器は確実に強く、そして信頼が出来る代物だった。
「お前らが活躍したらその時にお代を貰うよ。」ガッハッハと笑っていた。
「ありがとうございます、大事に使います。」
「いいって事よ、ウルスは平気か?装備新調するか?」
「自分は平気ですよ、ゴーンさん。」
ーー親が何故死んだかを聞かされて、悲しくなったが気持ちが落ち着いた気がする。死の真相が今まで分からなかったからかも知れない。だがまた魔族に対する念が深まるばかりだった。




