第九話 遺品整理のビデオ
家にもう使っていないビデオレコーダーがある。
亡くなった父の遺品を整理していて出てきたビデオを、なんとなく入れてみた。
ガチャ、ギイー。
異音がしたが、ちゃんと作動している。
「ねえねえ、写ってる?」
ーーわわっ、びっくりしたあ。
いきなりアップで、小学生くらいの男の子が出てきた。
誰だこいつ。
こんなやつ、友達にいたかな?
「ここってとってもいいところだよね。川も山もあって。後でバーベキューするんだって。楽しみ♪」
なんだ、キャンプか?
こんなとこ行ったっけ?
「そんなに走り回ると危ないぞ。」
あれ、これ父の声に似てる。
「あなた、そろそろ火をおこしてくれない?」
なぜか小学校の担任の先生が映っている。
「代わるわ」
ビデオを撮る人が代わった。
画面にアップで父が映し出される。
なんで先生と父が。
しかも「あなた」って。
父に似た子供までいる。
母は知っていたのだろうか。
こんなビデオを大事に持っていたなんて、反吐が出る。
「あら、そんなビデオがあったのね。」
知らぬ間に、後ろに母が立っていた。
「もう昔の事よ。お父さんも死んじゃったし。この母子も火事で亡くなったわ。」
そういえばそんな話、ずいぶん前に聞いた事がある。
ガチャッ!
ビデオが止まった。
ノイズ混じりの暗い画面の向こうで、三人がこちらに向かって手を振っている。
父が、笑っている。




