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第28話:スクリーニングの結果、そして飛躍
ついに、東京での行政審査の結果が届いた。カイトが震える手で封筒を開け、中身を確認した瞬間に大きく叫んだ。
「さゆまる、合格だ! それどころか、国がこのHUGスペースを『未来の社会モデル』として公式に支援することが正式に決まったよ!」
さゆまるは、内職で固くなった自分の手のひらを見つめた。茨城の小さな部屋で、一人きりで設計図を書いていたあの頃。誰からも見向きもされず、ただ「妄想だ」と笑われたこともあった。けれど、その一歩一歩が、今日という日に繋がっていた。
「私の……私たちのやりたかったことが、やっと認められたんだね」
国の支援が決まったことで、HUGビルの建設スピードは一気に加速し、最新のAIペット開発予算も大幅に増額された。
審査員の一人はこう言ったという。「彼女の計画には、単なる技術だけでなく、『救いたい』という執念が宿っている」と。
「やることに、意義がある……。それが、ちゃんと大人たちにも伝わったんだ」
さゆまるの瞳からは、大粒の涙が溢れた。それは悲しい涙ではなく、ようやく世界と「回路」が繋がった、希望の証だった。明日からは、もう「一人の少女の夢」ではない。世界を変えるための、大きなプロジェクトが本格的に始動する。




