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第22話:試練のスクリーニング、そして約束の4月末
4月も終わりに近づき、外の空気はすっかり春の匂いに変わっていた。
さゆまるにとっては、東京での新生活、そしてHUGスペースの現実化に向けた「スクリーニング(審査)」という大きな壁に挑む時期でもあった。
「さゆまる、準備はいい? これを通れば、計画は一気に加速するよ」
カイトの言葉に、さゆまるは深く頷いた。
自分の障害のこと、これまでの葛藤、そして「殺処分ゼロ」と「自殺ゼロ」を本気で叶えるためのロボット技術。そのすべてを審査員たちの前でさらけ出さなければならない。
内職で培った、地道に積み上げる力。
エベレストを目指すトレーニングで手に入れた、折れない心。
そして、SNSを通じて届いた「生きてみる」という仲間たちの声。
「私、一人で戦ってるんじゃないんだ」
審査の場に向かう前、さゆまるは一台のロボット犬の頭を撫でた。
その中には、さゆまるが救いたいと願った命の「未来」が詰まっている。
やることに意義がある。その信念を胸に、さゆまるは真っ直ぐな瞳で、自分を待つ次のステージへと足を踏み出した。
4月の終わりは、終わりじゃない。
それは、さゆまるという一人の少女が、世界を本気で変え始める「歴史の一歩」になる。




