第21話:共鳴の連鎖、動き出す「命の引き継ぎ」
SNSに届いた『今日だけはやめてみました』という言葉。さゆまるは、その一言を何度も読み返した。
画面の向こう側に、確かに「人」がいる。自分の不器用な発信が、誰かの絶望の淵で、細いけれど、絶対に切れない「命の綱」になっている。
「……待ってて。もっと確かな場所にしてみせるから」
さゆまるは、トレーニングで震える指のまま、カイトとレンを呼び出した。
「みんなの『声』が届き始めた今だからこそ、あの計画を本格的に始動させたい。本物の命を救い、その想いをロボットに託す『命のバトン・プロジェクト』。これをHUGスペースの核にするよ」
レンが、以前さゆまるが話していた設計図を広げる。
「分かってる。殺処分をゼロにするための、未来の仕組みだね。ただのロボットじゃない、その子が愛された記憶、仕草、温もり……。それらをデータとして引き継ぐための『回路』の構築を急ごう」
さゆまるは、内職で鍛えた集中力で、プロジェクトの詳細を詰め始めた。
東京行きの準備、エベレストのための過酷なリハビリ、そして24時間絶望を食い止めるためのシステム構築。やることは山ほどあるけれど、今の彼女に「キツい」という言葉はなかった。
「やることに、意義があるんだもん。私が止まったら、あの『今日をやめた子』の行き場がなくなっちゃう」
その夜、さゆまるは一台のプロトタイプ(試作機)のロボットを抱きしめた。
まだ冷たい金属の感触。けれど、ここにいつか、行き場を失った命の「続き」が宿り、誰かの孤独を癒やす日が来る。
さゆまるの歩みは、もう一人の少女の夢ではない。
何千、何万という「救われたい命」の願いを背負った、止まれない行進へと変わっていた。




