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第20話:共鳴する孤独、広がる青空
さゆまるの「エベレスト挑戦」と「HUGスペースの日常」を綴ったSNSの毎日投稿に、少しずつ変化が起き始めていた。
あんなに静かだった画面の向こう側から、ポツリ、ポツリと、本当の声が届き始めたのだ。
『障害があっても、そんなに高い場所を目指せるんだね』
『死ぬのを、今日だけはやめてみました』
数字としての「いいね」ではなく、魂が触れ合った瞬間の、熱い言葉たち。
さゆまるは、内職の手を休めて、その一つ一つを丁寧に読み、胸に刻んでいく。
「独りだと思ってたのは、私だけじゃなかったんだ……」
かつてニコちゃんマークの仮面の下で泣いていた自分。
今は、その仮面を脱ぎ捨てて、同じように泣いている誰かの手を引こうとしている。
東京へ向かう準備、スクリーニングの試練、そしてエベレストへのトレーニング。
すべてが一本の線に繋がり、大きな「HUG(抱擁)」となって世界を包み込もうとしていた。
少女の瞳には、もう迷いはない。
見上げる空はどこまでも高く、青く、彼女が進むべき道を照らしていた。




