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【完結】もふもふAIが温泉水ジェラートを売っています  作者: 櫛田こころ


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第46話 やれやれな気持ち

 感情のプログラムが育成されかけていた。


 それについては、少しセーブしなくてはとサックは処理能力を使って自身で調整することに。


 拓馬と芽衣、ふたりが無事に『両想い』になったことについては『やれやれ』な気持ちを抱いた。


 つまりは、以前芽衣に話した『感情が育ち過ぎている』ことへの表われが出始めていたのだ。親でも兄弟でもなんでもない、だけど、AIとしては主人の従僕であることが第一なのに。


 日々過ごしていく関係で、そのプログラムが整いつつあったのだ。これはいけないと、セーブモードを組み立てていくことにしたわけである。



(……落ち着いたら、店長にちゃんと話さなくちゃ)



 AIは機械。


 アニメや映画であるような、正確さを維持した機械でなくてはならない。それは現実の法律で定められているのは本当のことである。芽衣に嘘を吐いても意味がないことは、正解なのでちゃんと伝えたのだ。


 ジェラート屋『シルキー』の働き手。


 従業員として、ジェラートの味の品質をきちんと管理しなくてはいけない大事な存在。


 人件費カットのためもあって、拓馬が購入して組み立てた存在。


 最初はそのためだけだったが、人間というものはひとりで生きていけるものではない。


 相談したい相手がほしい。


 いっしょに生活する楽しさを覚えてしまったら、そこから離れられない。


 だから、家では家事ロボットのような仕事を請け負っている。ちゃんと充電もさせてもらえているので、関係は良好。


 それ以上も以下でもない。拓馬に新しい関係を持つ相手が出来て、『嬉しい』という気持ちを抱くのは……AIとしては良くなかった。否定するわけではないのだが、プログラムの正確性が低くなってしまう。


 だけど、どうしたって、言いたい気持ちくらいはあった。



『おめでとう、ふたりとも』



 ひとまず、サックの存在を忘れて抱き合っていた恋人たちには激励を贈りたかった。



「あ」

「そ、その!」



 人間じゃなくても、記録媒体として存在しているサックがいるから。


 つい、いない存在として扱っていたわけじゃないにしても。気が付いたら、羞恥心が出てしまったのだろう。拓馬たちは離れてから、照れつつもサックに『ごめんなさい』と言ってきた。



『いやいや? 僕はAIだから機械だもん。どーぞどーぞ』

「……感情プログラム育ちかけているな? あとで調整するぞ」

『今のはバラエティー番組の真似しただけだよ?』

「……サックくん、どこまでが本心? いや、AIだから本心ってない??」

「テレビの流しっぱなしはやめよう。こうなると、軽く法律違反になるから」

『え~? 僕毎週楽しみにしてたのに~』

「よくない」



 茶化すのはこれくらいにして、今後のことをきちんと話し合いたいと芽衣から言ってきた。


 出来れば、大学卒業後も『シルキー』に残りたい。いや、就職したいと面談の希望を出したのだ。


 拓馬としては、願ってもないことだと即決したかったようだが。まだ三年も先のことだし、経営を維持するのが大事。あくまで、就職先の候補として留めてほしいと伝えた。



「はい、わかりました」

「ずっと、続けたいのは俺も思っている。だけど、それをどこまで維持できるかはまだわからない。突然の閉店に追いやられる可能性だってゼロじゃないんだ。まだ、君には将来の道筋はたくさんあるから」

「そのためにも、大学生活はしっかり楽しみますね!」

「うん。それがいいと思う」



 維持することは、簡単なようで難しい。


 今の状態がこの先ずっと続くとは限らない。


 節目が来ても、そのあと急に終わるようなこともある。


 十年も維持出来たら御の字とも言われているくらいだ。


 そこまで、サックも品質管理以外の仕事を任せてもらえれるように……そっちについては、育成を続けていかなくてはいけない。


 大事な場所。


 大事な人たち。


 この先も同じであることなんてないが、維持はきちんとしていきたい。


 その感情だけは『絶対』なので、拓馬には残してもらうことにした。


次回は水曜日〜

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