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【完結】もふもふAIが温泉水ジェラートを売っています  作者: 櫛田こころ


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第45話 告白を受けるまでの間

 芽衣は、信じられない気持ちでいた。


 拓馬から想いを告げられるだなんて夢みたい……だと、ほっぺをつねりたい気分になるほどに。


 だけど、渡されたジェラートのケースからは冷たさを感じる。


 少し怪我をしていただけなのに、これはなんのご褒美か。


 一週間前では考えられないことだ。


 拓馬との作業の途中、ストッカーを運んでいたら指を盛大に挟んでしまって……痣以上に、酷い内出血を作ってしまった。


 すぐに、拓馬からは皮膚科に行くよう言われ……早上がりしてから、なんとか受診出来たものの。結果は非常によろしくない診断結果だった。



「ボールペンとかで筆記はまだいいけど。負荷のかかる重労働はやめておいた方がいいね? 塗り薬出しておくから、一週間はバイトも休んだ方がいい」



 と、商店街にあるクリニックでそう診断されてしまったので、拓馬にも連絡したところ承諾してもらえた。


 たった一週間。


 されど、一週間。


 飲み薬よりも塗り薬の方がいいという医師の判断はわからなかったが。特別すごく痛いわけでもないのに、大袈裟過ぎないのか……と、お風呂に入るまで油断していた。痛みはないのだが、時間経過すればするほど。血の色が変わって黒くなっていく。これだと、接客のときに客を驚かせてしまうので、たしかに気持ちのいいものではない。


 母にも、無理に大学に行く必要はないのではとも言われたが。講義の単位はしっかり取りたいので、それだけはきちんとした。本業は学生だから、そこはしっかりしないとバイトにも励めない。


 千早たちにも包帯で変色部分を隠しているのに、『そんなにも?』と言われたのでだいぶ心配をかけてしまっている。大荷物さえもたなければ大丈夫とも医師には確認をとっているので、かばんくらいは大丈夫だった。



「……うーん。まだ、ちょっと濃い」



 週の真ん中くらいになり、塗り薬を使う時にじっくりと内出血を確認しているが。まだ青みが強くて痣の色にしては濃い色合いだった。だいぶ治ってきている証拠なので、このまま続けるしかない。


 『シルキー』のことはすごく気になったが、もとからサックと拓馬だけで営業していた店なので芽衣ひとりいないだけでもなんとか大丈夫だろう。まだ一年しか勤務していないが、ずっととどまりたい気持ちは強くなっていた。千早とかに話したせいもあるだろうが。



「あ~あ、なんでこんなドジしちゃうんだろ?」



 後悔しても遅過ぎるので、治るのをきちんと待つしかない。


 あと二日くらいで再診があるので、そこで確認を取ったらシルキーに行く予定ではいる。自分の怪我で営業が大変だったことくらい簡単に予想がつくのだから。常連だったときも、平日休日関係なく行列の絶えない店のひとだったことはよく知っている。たった一人の従業員がいるいないで作業の効率が悪くなることくらい、芽衣でもわかるのだ。


 そして、再診を受けた日。



「うん。レントゲン検査も念のためにしたし。骨にも筋肉にも異常ないね。これなら、もう再診も必要ないよ」

「ありがとうございます」



 会計が終わってから、ちょうどいいタイミングにサックから連絡があった。


 早く拓馬に会いたい理由もあったが、復帰できる連絡はきちんとしなくてはならないから。


 シフトを調整してもらい、さらに二日後に出勤。


 迷惑をかけたことを謝罪しなくてはいけないのに……ジェラートの箱といっしょに、拓馬からなんと『告白』をされたのだ。


 今まで、幾度か諦めかけていたのに。欲しい言葉をもらえて嬉しくて堪らなかった。怪我をきっかけに距離を置かれたはずが、逆にお互い考え合う時間を得たという結果になれたのだ。


 だからこそ、誠実に答えたいと思って……腰を深く折ったのだった。

次回は月曜日〜

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