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【完結】もふもふAIが温泉水ジェラートを売っています  作者: 櫛田こころ


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第35話 再び来訪(新規のお客①再び)

 温泉の季節がやってきた。


 正確には、日本でも温泉に行く客足が増える冬の季節。


 北欧のようにどっしりとした雪が降るわけでもないが、地方によっては雪見温泉が名物であることも、キャシーは知っている。今回の旅行は前回から比べると早い来日だったが、給料が結構よかったのでまたあの商店街に行きたい気持ちもあったからだ。



(冬だけど。アイスは美味しいしね~)



 北欧では風邪を引いたときに、栄養補給するのに専用の食品以外にもアイスを食べたりしている。帰国して、地元にあるジェラート屋も何件か巡ってはみたが。やはり、日本で食べたあのソルティジェラートの味が好みだったこともあり、忘れられないでいたのだ。


 だから、仕事で稼いでホリデーを獲得したら、また行こうと意気込むぐらいに励んだわけで。


 結果、二月くらいの雪見温泉季節の来日になったわけである。寒いが、母国に比べればそれほどでもと言う感じだ。個人差はあるらしいが。



『はぁ~。今回の湯も最高だった~~』



 湊星商店街の北側で、今回ももちろん温泉施設を楽しみ。だけど、風邪を引くわけにはいかないのでヘアドライはきちんとすることにした。湯冷めこそが、風邪の大敵とも言う言葉が日本ではあるくらいだ。北欧だと基本的にシャワー浴とサウナくらいなので、あまり湯に浸かる習慣がない。


 きっちり完了したのを確認してから、今度は南側のストリートに向かう。無論、事前に確認していても、あの美味しいジェラート屋の『シルキー』に向かうためだ。HPがまだ運営されているし、フレーバーの情報を見るたびに行きたくなる欲求をこの半年以上抱えての再訪。


 今回はどれにしようか……と、滞在期間を考えても毎日来たいくらいの美味しさなのは間違いないと認識しているくらいだ。


 それに、あのもふもふしたアンドロイド版のAIはきちんと働いているのかも気になったが……それらしき通りに着くと、杞憂だったとあの白い影を見て納得したのだ。



『いらっしゃいませ~』



 姿かたちが変わらないのは、AIだから当然。特にカスタムしている様子もないし、毛並みの手入れ以外ないかもしれない。


 それに、AIでもキャシーの顔を覚えているかどうか……機械であれど、すぐに認識できるものでもないだろう。と、甘く考えていながら並んだら、『サック』からにこっと微笑まれた。



『お久しぶりです~。また日本に来てくれたんですね~?』

『え、えぇ……』

『あ、僕日本語しかプログラムされてないんだった。……わかるかな?』

《大丈夫よ。翻訳アプリですぐに出来るから》

『あ、そうなんですね。すみません~』



 今回もスマホを取り出せばすぐに対応してくれるのは、相変わらず日本の技術は革新的なものが多いと感心してしまう。


 半年経っても、育成プログラムがここまで整うということは演算処理能力が適しているのだろう。とりあえず、並ぶことを告げてから彼の前を去ることにした。



(凄いわ。処理能力が早くて、時期まできちんと引き出すことが出来るだなんて)



 丁寧に管理されている証拠だ。あの店長らしき男性スタッフがきちんと管理やメンテナンスをしているのだろう。キャシーの仕事はカフェだが、収入は会社員ほどでなくてもそれなりに稼ぐことが出来る。こうして定期的に海外旅行出来るくらいのプランも立てれるくらいだ。


 とは言え、そろそろパートナーとの生活も考える時期。子どもも欲しくないわけじゃないが、各地の温泉地を回る旅はどうしてもやめられない。それをわかってくれるパートナーではあるが、いっしょに行きたいとはなかなか言い出さなかったのだ。今回も特になにもなかった。



「「いらっしゃいませ」」



 そうこう考えているうちに順番が来たので、こちらは流石に覚えていないだろうとスマホを出そうとしたら。



「あ、半年前の」



 と、男性スタッフは覚えてくれていたらしく。それはそれで記憶力が凄いなと思わずにいられない。なので、打つ文章を変えることにした。



《お久しぶりです。また食べに来ました》

「ありがとうございます。フレーバー、また変わったので色々見てってください」

《ありがとうございます》



 たしかに、HPで見たのも今朝のSNSで見たのもあったが。どれもこれも魅力的なメニューばかり。


 湯上りでまだぽかぽかしている体を落ち着かせるには……と、選ぶこと数分。



「お決まりですか?」

《濃厚ショコラ、ラズベリーチーズケーキ、抹茶フォンダンをコーンで》

「ありがとうございます」

「お会計は600円です」

《キャッシュレス決済で》

「ではこちらにバーコードをお願いします」



 女性スタッフが丁寧に対応してくれたので、支払いはすぐに済ませた。彼女が盛り付けてくれるのかで、半年前より手際がいいのに少し興味を覚えた。スコップですくうにしても重たいだろうに、かなりの腕力に育ったのか。



「アリガトウゴザイマス。イタダキマス」



 なので、最後は自分なりの日本語で答えたら『こちらこそ』と返事をもらえた。


 イートインスペースは変わらずあのままだったが、今日はベンチ席が空いていたのでゆっくり食べることにする。待ちに待った、焦がれていたといっていい魅惑の食べ物。時間が過ぎていても、今回もかなりの美味だった。


 むしろ、一新していると言っていい。微妙な味わいの違いに、北欧の人間はそれなりの舌を誇っているのはキャシーも同じ。かすかな塩気。花のような風味以上に、アイス自体の味が濃厚で美味。


 どの味も、素材を活かした味わいばかりで、今回の滞在期間もやはり毎日食べに来ようと決定するのに時間はかからなかった。できるだけゆっくり食べたけれど、なくなるのはあっという間なのも毎回のことだ。

次回は金曜日〜

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