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もふもふAIが温泉水ジェラートを売っています  作者: 櫛田こころ


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第19話 メニュー変更には力を入れたい

 まだまだ新人から少し足先が抜けた程度の、アルバイト店員・武藤芽衣。


 GWの大忙しを抜け、大学生活も順風満帆と言える日々を送っていたのだが。先日から、アルバイト先の『ジェラート屋・シルキー』のHPが開設されたことで、平日はまだしも休日は大忙し。


 想い人との時間が欲しいのが半分の動機でバイトに励んでいるが、業務の忙しさに雑談する時間なんてほとんどなかった。漫画やアニメのような『うふふ、あはは』なきらっきらなバイト生活とは最近特に無縁と思うしかない。



(特に、最近は店長……新メニューのレシピつくるの大変そうだし)



 毎月毎月のように、期間限定のフレーバーを考える努力をしようとしている。基本、冷たいデザートである『ジェラート』しか販売していないので、変わり種を用意しないと見向きもされないと思っている節があるのだ。


 芽衣としては、ただの常連客だったときは毎回『美味しい』と思って食べていたものの。今は店員として少しは関わっているので、拓馬の悩みがわからなくもない。


 いくら、『温泉水』を売りにしていても、少し高価なデザートとして販売しているのだ。材料にこだわりがあるため、安く美味しくで売れるものではない。だからこそ、メニューに変化をつけて客の目を引くことも大事だ。


 しかも、HPやSNSで認知度が口コミ以上になってきたために、芽衣はともかく拓馬の疲労度が少し倍増したとAIのサックがこっそり教えてくれた。あの記者が悪いわけではないのだが、拓馬やサックの作るジェラートの美味しさが少し知られていくだけで……定休日にしっかり休んでいても疲れが取れないのはいただけない。


 なにか、芽衣も役に立てないかと大学の図書館でデザート関連の雑誌やレシピ本を漁ったりしてみたが、どれも美味しそう以外に思いつくものがなかった。



「おや、武藤ちゃん」



 スマホにメモを取っていると、後ろから声をかけられた。振り返れば、ゼミとかで知り合った二年生の女性の先輩だった。二藤奈保が図書館に入り浸ることは知っていたが、こうしてすれ違うくらいに出会うのは初めてだ。会釈すれば、隣はいいかと言われたのでもちろんと頷く。



「なにか、悩み事かな?」

「バイトについてです」

「ああ。君のバイト先は、例の温泉水ジェラートのところか」

「先輩、来てくれたんですか?」

「一年前に行ったきりだな? 君が入社したのは最近だろう? 美味しかった覚えはある」

「ああ。なるほど」



 客時代のときに並んでいた可能性はあっても、互いに顔見知りではなかったから知らないのも当然。



「しかし、たくさん本を持って来ているね? バイトもメニュー作りに協力するのかい?」

「いえ。店長ひとりで作っているわけではないんですが。AIくんの演算でも似た味になりがちだそうで」

「あのもふもふくんか。AIだと忘れるくらいに、着ぐるみの中身を気にしてしまう正確さだったな」

「またのご利用お待ちしております」

「はは。君も立派にあそこの一員だね?」

「もちろんです」



 半分諦めかけていた恋を表に出さないようにしつつも、バイトはバイトで楽しく働けているから嬉しくないわけがない。


 しかし、忙しさが優先になって拓馬の体調がすぐれないのはよくないことだ。なので、バイトでも一員に変わりないから、こうして調べているのだ。



「ジェラートはアイスの一種だが……果物系のシャーベットぽいのはないんだったかな?」

「似たのはありますが。今もパイナップルやベリーとかのですね」

「柑橘系は?」

「時期によってはみかんとか」

「じゃあ、夏場だがレモンやいよかん。清見オレンジもあるね」

「! それは今まで私も食べたことないです!!」

「いい参考になったかな?」

「はい」



 なるべく大声にならないように礼を言い。図書館を出る頃にはバイトの時刻が迫っていたので、少し急ぎ足で商店街へ向かう。


 タイムカードを押したあとに、拓馬やサックに奈保が提案しれくれた材料を……と言いかけたところで、厨房には既にその材料があってびっくりしかけた。



「お疲れ様、芽衣ちゃん」

「お疲れ様です。……それ、新メニューの?」

「うん。旬の食材を検索してたのを先日幾つかね? 今日、商店街の八百屋で買ってきたんだ」

『ソルベ風~!! 間違いなし!!』

「……そうですか」

『元気ない? 芽衣ちゃん』

「う、ううん。……実は大学の先輩にもそういうの教えてもらってて」

「そうなんだ。けど、ソルベ風にする以外はまだ検討中なんだよ。いっしょに考えてもらえると、それも非常に助かるんだけど」

「! はい!!」



 落ち込みかけたが、協力を求められたことに喜びを感じないわけがない。好きな人からの『お願い』を素直に受け、それから試作を重ねて作ったさっぱり系のジェラートを売り出したところ……売り出し初日に奈保が来てくれたので、拓馬といっしょに改めて礼を言えば『そんなことはない、非常に美味しい』と称賛の言葉を告げてくれたのだった。


 それからメニュー変更には芽衣も積極的に関わることになり、季節もの以外にも変わり種の試食を続けたが……食べ過ぎるとむくみやすいのに気づき、ダイエットではないが食事生活には気を付ける欠点が出てしまった。

次回はまた明日〜

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