第18話 広報は手作りホームページから
何から手をつけて良いのか。
先日、わざわざ取材しに来てくれた鈴城という女性から『ホームページ制作』を強く押されたものの……何から手をつけて良いのか拓馬は考えあぐねていた。
三年前のオープンについての準備はそこそこ頑張ったと言うのに、今は今で売り上げが順調になっていることから、『それ以上』を望むのを忘れていたのだ。
サックの購入費に組んでいたローンも順調に返済出来ているし、唯一のバイト店員である芽衣にもきちんと正規の時給で給料を出せている。
だからこそ、これ以上を望んでいなかったのだが。
『ホームページ制作、シルキーをもっとたくさんの人に知ってもらうのにも大事だろうね?』
芽衣が出勤する前に、改めてサックにも聞いてみればAIとしての回答を投げてくれた。育成プログラムの基礎はあっても、基本的に日常会話以外にも店での業務内容がほとんど。
改まっての、新規立ち上げに近い提案をサックからわざわざ寄越してくることはなかったが、今回はそうもいかない。
「SNS拡散とか、少し苦手なんだよな……」
芽衣は教えてくれたりもするが、拓馬は機械いじりはきらいじゃないがわざわざ自分の『つぶやき』をネットに公開するのはあまり得意ではない意識があった。
チラシについては『仕事意識』というものがあったので、手づくりではないがそのときはネットを参考にしてプリントアウトしただけ。
開店してからの宣伝については、商店街の広報に事前連絡をした以外は特に何もしていない。いわゆる、『口コミ』が功を奏したというのか。客足はまばらになるどころか週末や休日は順調そのもの。
作れるだけ作って、全種売り切れも商店街の知り合いなどが終盤に買いに来ることもあって……が多く。それだけで満足していたのだが、『これから』を考えるとたしかに宣伝費を削るのはよくないかもしれない。
芽衣にはジェラートづくりを任せたことはないが、サックはAI。作れても食べれないが、味の説明は情報として認識している。
ここ三年はふたりだけで経営出来ていたが、春先に芽衣を雇ったことでその経営が向上する方向になってきた。人件費以外に、赤字にしないための工夫をもっとすべきだろうと鈴城の意見だけでなく……今まさに、サックにも提案されたのだから。
なので、ホームページ制作とやらをどのように作成していこうか、に、非常に悩んでいるのだ。昔よりはチュートリアルがお手軽なものもあるが、デザインをどうしようかでまずつまずいたのである。
「可愛い系か、シックにいくか……」
シルキーの外装が少しポップとパステルカラーの組み合わせにしているので、かっこいいは除外。
項目はまず平均的な感じでいいだろうが、せっかくなので凝ってみたい気持ちもあった。
「お疲れ様です~。店長? どうしました?」
芽衣が出勤してきたタイミングでも、まだうなっていたらしい。せっかくなので、ここは常連客としても二年は通ってくれていた若い世代の意見を聞いてみることにした。
「芽衣ちゃん。例の記者さんに教えてもらったホームページを作ってみようと思っているんだけど」
「あ、やっとですか? SNSの発信もないので、地図アプリで探しにくいとか聞かれたりするんですよね?」
「……え? お客さん困ってた?」
「商店街の広報くらいじゃ、私より下の高校生とか迷子になりかけてましたよ? 南側だけでも、ここの商店街広いですもん」
『だって、店長~』
「ちゃんと作ります!! どんなのがいいか、教えて!!」
「はーい」
ピックアップすべき箇所とか、ホーム画面の見せ場など。
だいたいを決めたところで、サックの機能で今まで使っていなかった『画像作成』がここで役に立つことが出来た。ジェラートたちの画像が山ほど出てきたので、SNSに発信意外にも内装を整えることが出来たからだ。
見やすいを意識してみて、鈴城にも確認してもらうのに……後日、店へ来てもらったが。
「ジェラートの画像がいいアクセントになっていますね! AIにそんな機能があるなんて私も知りませんでした」
「……メニュー変更は期間限定のときにもきちんとした方がいいですよね?」
「経営が忙しくて、更新がおろそかになりがちなお店もありますけど。サックくんにそこを任せては? URLにわざわざ飛ばなくても無線でサイトに接続できるのなら、無理なく更新できるはずです」
「……AIにそんな機能が?」
「営業部で聞いた話ですけどね?」
事実、サックに機能が搭載されているか久しぶりに説明書を読んで確認したところ。検索機能の延長も含め、『アルバム作成』の項目の中にそれがあった。
おかげで、メニュー変更をいちいち拓馬が更新する必要もなく、SNSへの発信とやらも画像とハッシュタグのみの投稿で問題なく開始することが出来たのである。
だがしかし、これを機に『温泉水ジェラート』の認知度向上につながり……もうひとりくらいバイトかパートを雇うくらい大忙しになるとは思わなかったのが欠点と言えるかもしれない。
次回はまた明日〜




