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不思議の国のセラエノ図書館

「くぉっ! 」


 セラエノに吸い込まれ、一瞬の浮遊感を感じたタツヤは思わず声を上げる。

 しかし、すぐに地面があることを理解して崩れかけていた姿勢を直しあたりを見渡してあることに気付く。

 その風景は先ほどまでセラエノを通してみていた物だという事に。


「という事はここはセラエノの中……何でも有りだなあの本」


「呼ばれて飛び出て、と推参です」


 タツヤがひとり呟いていると音も立てずにセラエノが地面から生えてきた。

 それは生えてきたとしか形容の仕方が見つからない登場であり、植物の成長を早回しで見ているような光景だったがタツヤはすでに非常識さに慣れてしまったのか足元のセラエノを持ち上げてぱらぱらとページをめくる。

 目当ての項目はすぐに見つかった。

 先ほどまで外から見ていた、今タツヤ達が経っている森の中にひっそりとそびえる洋館の描かれたページだ。


 しかしよく見るとそのページに描かれている絵柄が変わっているという事に気付ける。


「これは……」


 じっくり見てタツヤは理解する。

 先ほどまで自分たちのいた草原だった場所、現在はただの荒野と化しているが、自身の魔法の練習の後がくっきりと描かれていた。


「どうです?

すごいでしょう!

これが私に与えられた特権です!

名付けて【不思議の国のセラエノ図書館】! 」


「お前のテンションって本当にむかつくよな」


 タツヤの根も葉もない一言にセラエノは触手を垂れさせている。

 本人としてはうなだれているつもりなのだろうけれど、そのことにタツヤが気付く様子はない。


「それはそうと、ここはやっぱあの絵の中と考えていいのか」


「そうです。

この【不思議の国のセラエノ図書館】は別の次元に存在する図書館に転移することができるとても便利な能力です。

弱点としては私一人での、基一冊での転移は不可能で誰か術者に頼んで転移してもらう必要があります。

またあくまでも図書館なので生活をするための備品は最低限の者しかありません。

また本を借りるためには図書カードが必要ですがその人気のため100年待ちになっています」


「途中から内容がおかしな方向へ向かっているが……まあいいや。

それで、この空間にいる間はあっちの世界はどうなっている」


「時間に関してはほぼ同じ流れですよ。

10の120乗分の1程度の誤差しかありません。

また先ほどは私がタツヤさんを飲み込んだように見せかけましたが、あれはただの演出で実際は私と一緒にこの空間に転移しているため向こうで私が拾われて~なんてことは有りません」


「それを聞いて安心した」


 セラエノの説明を受けてタツヤは頷く。

 そして同時に洋館に向けて歩みを進め始めた。

 最も危惧していたことが問題ないといわれ、タツヤの興味はすべて未知なる書物へと向けられていた。

 目指すはあまたの魔道書の眠る図書館へ、それがセラエノの罠だとも知らずに

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